チェチェンのアブグレイブ

気分のよくないニュースをひとつ。チェチェン親ロシア派政権首相ラムザン・カディーロフ配下の治安部隊の間で、拘束したチェチェン市民を拷問・虐待して、その様子を携帯電話で撮影する変態趣味が流行っているそうです。9月6日付のラジオ・リバティの記事に、そうした写真が公開されています。治安部隊に蹴り倒されている赤いジャケットの女性(23歳)は、妊娠中だったにもかかわらず2時間におよぶ拷問と虐待を受けました。拷問と虐待の具体的な内容については、紹介するのがちょっとはばかられるようなもので・・・。


といいつつ結局紹介します。彼女はそもそも夫に不貞行為で訴えられたのが始まりで治安部隊に拘束されました。拘束中、彼女は殴打され、浮気を自白させられ、汚らわしい言葉を投げつけられた挙句に、全裸にされ、頭から水をかけられて丸坊主にされ、さらに全身の毛を剃られ、体中にバツ印を描かれて、蹴られまくりました。なんというか、カディーロフ部隊、人として終わってますね。よろしければ psprav@mail.ruチェチェン親ロシア政権)宛てに説教をお願いします(nyさんよりご指摘をいただきメールアドレスを訂正しました)。

もう少し続けると、チェチェンではこうした事件はあまり珍しくないようです。被拘留者への拷問が日常的・組織的に行われていたイラクのアブグレイブと同じで、現在のチェチェンが巨大な無法地帯になっているということでしょう。ちなみに、撮影されたビデオは、「市民に恐怖を植えつけ、軍隊の士気を高める」ためにネットに出回っているのだとか。もうなんなのこいつらと思いますが、ここには単なる変態趣味で片付けられないチェチェンの構造的な問題、つまり犯罪加害者が一切責任を問われず野放しになっているという現実があります。平和がなければ人権も守られなくなるのだということは、何度でも繰り返されるべき警句ではないでしょうか。