エストニア、キルバッソワ事件をめぐってフィンランドを批判
(タリン発AFP)フィンランドは、人権活動家のロシアへの送還をめぐって、おなじくEUに加盟しているエストニアからの非難にさらされることになった。「フィンランドでの動きは、EU全体の恥です。私たちが人権問題でどんな二枚舌を使っているかをさらけだしています」エストニア議会のEU委員会のマルコ・ミハエルソン委員長はそう言う。
「私はフィンランドの法的システムについて批判したいわけではありませんが、マリア・キルバッソワさんの件は、ショッキングとしか言いようがありません。私たちは、人権のための戦いを広めるだけでなく、EUのなかで、私たち自身の原則とも戦わなければなりません」
また、ミハエルソン委員長はこう続ける。「キルバッソワさんのような人権活動家がロシアに戻るのは危険です。アンナ・ポリトコフスカヤのような、チェチェンに関わった人がどんな目にあってきたかを思い出せばわかるでしょう」と。
キルバッソワさんは昨年10月に、フィンランドの国籍を持つ娘のもとに渡航した。病身だった。
居住申請がフィンランド入管に拒否されたあと、キルバッソワさんはロシアへの送還と戦うために裁判闘争を開始した。
フィンランドでのキルバッソワさんの弁護士ヘルズバーグ氏は、キルバッソワさんに不利な判決が下った場合は、世論を喚起するために、ロシアでの証拠集めをするつもりだという。また、キルバッソワさんは、17日に強制送還の可能性について警察と協議することを認めている。
キルバッソワ事件は、エストニアの人々の琴線に触れてしまった。エストニアはソビエト連邦の崩壊によって解放され、2004年にEU加盟を果たした。エストニアの、旧宗主国ロシアへの態度は関係は常に強硬だ。
ミハエルソン委員長は、強制送還が実現してしまった場合には、エストニアがキルバッソワさんに難民認定をする可能性があると示唆している。エストニアはフィンランドと隣接しており、密接な関係があるが、アンシップ首相からはコメントは出されていない。