難民を餓死から救うためのアピール
日本の難民問題について、精神医学者の立場から重要なアピールがありましたので、ご紹介します。
平成21年5月28日
難民を餓死から救うためのアピール
多文化間精神医学会*1 理事長 野田文隆
社団法人日本精神神経学会*2 理事長 小島卓也
平和と人権の国日本で,日本政府が難民を餓死させようとしています.
日本では,従来から難民認定申請者*3に対する生活費(保護費)の支給額は,信じられないほど低いものでした.内訳は,1日の生活費1500円,住居費月額4万円および医療費の実費です.生活に必要なお金は,日本人と難民で異なるわけではありません.この金額では,最低以下の生活しかできないことは明らかです.
しかるに,2009年5月,日本政府は予算額の不足を理由に,難民認定申請者の約半数に対して,この最低以下の生活しか保証していない保護費すら,一方的に打ち切ると発表しました.
日本では,法務省による難民認定申請の期間は平均1年8ヶ月以上の長期におよび,その間難民認定申請者の大多数は許可を受けて就労することも,国民健康保険などに加入することもできません.保護費を打ち切られた難民認定申請者は,住居を失って一家離散し,日々の食事を得ることさえ困難になっています.人間として生活する基盤を剥奪され,餓死の危機に直面している難民認定申請者には,日本政府の軽挙の結果として,今後様々な心身の疾患が発生するものと思われます.
私たちは,国籍を問わず,人間には健康な生活を送るための権利が保障されるべきであると考えます.日本政府が,国際連合憲章の「人権の普遍的な尊重」を遵守し,難民認定申請者への保護費打ち切りをただちに取りやめ,難民認定申請者への保護体制を,日本人への支援に準じて施行するよう強く要求します.