チェチェン独立派のザカーエフ、チェチェン問題の政治的解決への話し合いに応じる

BBC 7/24)チェチェン独立派外交官と、現地の政府(親ロシア派)の代表者が、ロシア南部の安定のための対話を行っていることが明らかになった。

 亡命政権の首相であるアフメド・ザカーエフ氏と、親ロシア政府の議会議長ドクヴァハ・アブドラフマーノフが、ノルウェーオスロで会談したのである。仲介者によれば、この会談は両者の間で8年前から行われていたという。

 ロシア軍は、1994年以来、二度にわたってチェチェン共和国に対する戦争を行ってきた。この紛争により、10万人以上の人命が失われてきた。
 ザカーエフ氏は、独立派の政治部門を代表してきた。同氏は「両者は政治問題を解決するためには、軍事力ではなく、政治によるべきだと話合った」という。

「私は、すべてのチェチェン人が、こうした動きを歓迎し、参加してくれるものと信じている」

 親ロシア派のアブドラフマーノフ氏は、「この会談の目的は、チェチェン共和国全体の安定と、チェチェン社会の大団結だ」と語った。

 ノルウェー人の仲介者で、人権グループ「チェチェン平和フォーラム」のイヴァール・アムンゼン氏によれば、「今回の話し合いはロシアがチェチェンに設置した政権と、亡命政権の間の、最初の真剣な政治対話だ」という。

このミーティングは、チェチェンのカディロフ大統領(親ロシア派)の公認であるだけでなく、ロシアの最高指導部との完全な協力関係のもとに開かれた。今後、ロンドンではさらに話し合いが行われる予定だ」という。

 6ヶ月前、カディロフは、「正常化プロセスは、ザカーエフ氏の参加なしにはありえない」と発言しており、先月も、ロシアのテレビでは、「チェチェン文化再興の立役者を牢獄に入れるつもりはない」と発言していた。

 7月24日、ザカーエフはBBCのロシア語サービスに次のように応えた。「私はもちろん、チェチェンに戻るつもりだ。そこには何の条件も課されていない」

広がる叛乱

 チェチェン独立派の有力人物であるザカーエフ氏は、2000年にロシア側がチェチェンを制圧して以来、イギリスに亡命していた。

 2003年、イギリス司法当局は、ロシア当局からのザカーエフ氏に対する引渡し要求を、虐待の可能性があるとして却下していた。

 2年前、独立派のドック・ウマーロフ大統領が、「西側諸国はすべてのムスリムの敵である」と宣言し、チェチェンイスラム法の導入を宣言した際に、ザカーエフ氏は(ウマーロフと決別して)イチケリア・チェチェン共和国の首相にみずから就任していた。

 専門家は、ザカーエフ氏が、親ロシア政権を支持する声明を出せば、それはすべてロシア政府を助けるものになると指摘する。

 チェチェンはここ数年で平穏さを増していた。今年4月、ロシアのメドヴェージェフ大統領は、「対テロリズム作戦」の終了を宣言し、軍部隊の一部を撤退する意向を明らかにした。

 だが、戦闘状態は終わったわけではない。今月始めにも、警察官2名、兵士2名が、チェチェン南部で独立派との戦闘のさいに死亡している。

 また、戦闘は隣接するダゲスタンとイングーシにも広がっている。この地域からの報告では、イスラム武装組織に参加する住民は増え続けているという。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8167526.stm