#312 ノルド・オスト7年

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* モスクワ劇場占拠事件(ノルド・オスト)から7年
* Good News! ロシア人権活動家にサハロフ賞 相次ぐ殺害で政権を批判
* 「自由コーカサスグルジア訪問団についてのリリース
* エステミローワへのインタビュー映像(日本語字幕あり!)
* 毎日「チェチェン・虚構の安定」(連載)
* 国境なき医師団の報告
* 読売「露が核使用条件緩和へ、地域紛争で先制攻撃も」
* AMNESTY:メドヴェージェフは人権活動家への攻撃に終止符打つ行動を
* 「暗殺・リトビネンコ事件」がDVDに!

* イベント情報

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■モスクワ劇場占拠事件(ノルド・オスト)から7年

 2002年10月23日から26日にかけて、モスクワのドゥブロフカ文化宮殿で、チェチェンゲリラによる占拠事件が起こってから、今日で7年が過ぎました。この7年間、事件に関する捜査は何も進んでいません。もちろん、毒ガスを使った治安部隊の強行突入によって129人の人質が殺された点について、責任をとった人間もないままです。

 次のニュースは欧州議会のサハロフ賞について。古参の人権派、セルゲイ・コヴァリョフ元下院議員も受賞しました。事件当時、コバリョフ議員が発表した文書を再掲します。

http://chechennews.org/chn/0246.htm

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■Good News! ロシア人権活動家にサハロフ賞 相次ぐ殺害で政権を批判

 【モスクワ共同】欧州連合(EU)の欧州議会は22日、人権擁護活動への貢献をたたえる今年のサハロフ賞を、ロシアの人権団体「メモリアル」を率いるオレク・オルロフ氏ら3人に授与すると発表した。

 欧州議会側は「ロシアの人権活動家を取り巻く恐怖と暴力を断ち切りたい」と表明。活動家の言論の自由が守られるべきだと訴えた。オルロフ氏は、エステミロワさんの殺害に同共和国のカディロフ大統領が関与したと非難し、裁判で罰金の支払いを命じられていた。

つづきを読む
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102201000868.html

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■「自由コーカサスグルジア訪問団についてのリリース

 「自由コーカサス」は、代表者のイサー・ムナーエフを中心としたグルジア訪問団を組織し、10月11日から15日にかけて、グルジアを訪問した。ルスダン・ギルベリッゼ第一副代表、イリアス・ムサーエフ組織委員長、会員ウマール・イディゴフ、デンマークの大学教授カール・エリック・フォヴェルスコフが同行した。

 訪問団はグルジア議会ダヴィッド・バクラッゼ議長ならびに、ルロン・ガゴシッゼディアスポラ担当相、ムグザール・ツィクラウリ海外居住者委員長、ガーラ・ハマラッゼ・コーカサス財団副理事長、大統領府職員マッコイ・ハンガシビリ氏、コーカサス研究者のマムカ・アレシッゼ氏、およびグルジア在住チェチェン人の代表者らと会談を行った。

 ドゥダーエフ元大統領(独立派)の未亡人で、イチケリア・チェチェン共和国文化相のアッラ・ドゥダーエワ氏も、訪問団とグルジア在住チェチェン人代表者との会合に参加した。この会合の参加者の全員が、彼女への深い敬意を表したことを特記する。

 会合の主な目的は、「コーカサスディアスポラ国際会議」の枠組み作りであった。グルジア当局者は、コーカサス人民の連帯と、脱植民地化に向けたロシア帝国との闘争を目的とする「自由コーカサス」の活動に対して、最大限の支援を行うことを表明した。

http://tinyurl.com/2009-10-delegation-of-free-cau

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エステミローワへのインタビュー映像(日本語字幕あり!)

 アムネスティのブログより。チェチェンやイングーシなど北コーカサスの人権状況について告発しようとする人権擁護活動家、弁護士、ジャーナリストは、嫌がらせや脅迫を受け続けています。

 下の映像は、8月に殺害されたナタリア・エステミロワが、生前にアムネスティのインタビューに答え、チェチェンの強制失踪について語ったものです。

続きを読む
http://ameblo.jp/amnesty/

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毎日新聞チェチェン・虚構の安定」(連載)

 「警官はイスラム寺院を出た従弟をいきなり射殺した。さらに遺体を車で引きずり回したんだ」

 ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイ近郊に住む20代の男性は、匿名を条件に証言した。外国に暮らす従弟が今夏、一時帰国していた際、数時間前に起きた警察官殺害事件の容疑者として警官にその場で殺されたというのだ。その後、従弟のアリバイから無実が証明されたが、「警察の報復が怖かったので告訴しなかった」と男性は話した。  

 1999年10月に本格的に始まった第2次チェチェン紛争は今年4月、連邦軍チェチェン独立派の制圧に成功したとして「テロ作戦体制」を解除。実際、大規模な戦闘はなくなり、治安も大幅に改善された。市民は普通の生活を取り戻している。だが、共和国ではロシア政府の後押しを受けるカディロフ大統領(33)が権力を掌握し、反対する者への不当な逮捕や拷問などが後を絶たない。 

つづきを読む
http://mainichi.jp/select/world/news/20091008ddm007030044000c.html

                                                                                                                                        • -

国境なき医師団の報告

 ニュースリリース「イングーシ:平和への希望が絶望に変わってしまった国」によると、現在もチェチェンからの避難民が1万8千人程度が、不安定な状況で生活しているという。治安の不安定から、人々の心が蝕まれている。武力紛争が心的外傷のきっかけとなっている例がうなぎ上りに増えてきた。

つづきを読む
http://www.msf.or.jp/news/2009/10/2060.php

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■読売新聞「露が核使用条件緩和へ、地域紛争で先制攻撃も」

 というとんでもない話が。チェチェンに見るとおり、自国民に対する武力行使を辞さないのは、ロシア政府の問題であって軍組織の非効率や非常識といったレベルの話ではありません。しかし今回、連邦保安局(FSB)出身のパトルーシェフ安全保障会議書記から「地域紛争でも核兵器を使用する可能性がある」と臭わせています。

 実際の策定段階ではどうなるかわからず、世論の出方をみる観測気球の一種と思われますが、チェチェングルジアウクライナといった場所で核を使う可能性もあるという警告でしょう。最低です。

 私個人はオバマ核廃絶アピールは実際の結果が出てこない限りは信用できないと考えますし、ノーベル賞受賞に関してはありえねーとしか思えませんが、この記事の結びの意味のわからなさは気になります。軍縮する気ないじゃん。

 いわく『メドベージェフ大統領は、米国との核軍縮を進める一方、国防の柱と位置づける核戦力を増強する方針を示している』 

つづきを読む
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091014-OYT1T01110.htm

 どのくらい軍縮するつもりがないかというと、こういう爆弾作りもしています:
http://blog.livedoor.jp/emi_sugawara/archives/51685440.html

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■AMNESTY:メドヴェージェフ大統領は人権活動家への攻撃に終止符打つ行動を

 アムネスティは、彼女の殺害に前後して出された政府高官のコメントを強く非難する。

 ロシア連邦議会の議員であり、チェチェン共和国ラムザン・カディロフ大統領と盟友関係にあるアダム・デリムカノフが7月初旬にチェチェンTVに出演し、「人権擁護活動家と呼ばれているテロリストの支援者」を脅す発言をした。ラムザン・カディロフ大統領は、ナタリア・エステミロワの殺害直後に行われたラジオ・リバティでのインタビューで、彼女の活動を意味のないものだとはねつけ、彼女を「好ましからざる恥知らずな人物」と表現した。

 「ナタリア・エステミロワ、スタニスラフ・マルケロフ、アナスタシア・バブローワそしてアンナ・ポリトコフスカヤの殺害に関する調査を独立かつ中立的な方法で行うこと、また根拠があれば政府高官を含む政府当局者が関与している可能性の調査まで踏み込むことが極めて重要だ」と、アイリーン・カーンは述べた。

つづきを読む
http://tinyurl.com/yktoeu2

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■「暗殺・リトビネンコ事件」がDVDに!

 支援者のOさんから教えられて知りました。10月4日、アップリンクから、あの「暗殺・リトビネンコ事件」のDVDが発売されました。お見逃しの方は、ぜひご購入ください。

彼は、なぜ死ななければならなかったのか?元ロシア工作員の暗殺事件の真相を追った衝撃のドキュメンタリー!

  2006 年11月23日、ひとりの男がロンドンで放射性物質ポロニウム210を飲まれされ、暗殺された。彼の名は、アレクサンドル《サーシャ》・リトビネンコ。イギリスに亡命中の元FSB(ロシア連邦保安庁)中佐である。彼は、チェチェン戦争の裏側にある、FSBプーチン政権の腐敗を告発していた。

 生前のリトビネンコへのインタビュー、何者かによって銃殺されたジャーナリストアンナ・ポリトコフスカヤプーチン大統領と決裂し、リトビネンコを支援した政商ベレゾフスキーをはじめとする関係者の証言、膨大なニュース映像、そして、死後、遺された彼の家族の姿…リトビネンコと親交のあったアンドレイ・ネクラーソフ監督によるこのドキュメンタリーは、カンヌ国際映画祭において急遽上映され、論争を巻き起こした。

 「私の身に何かあった時は、このビデオを公表し、世界に伝えてほしい。彼らは暗殺など平気だし、実際にやってきている。国内でも国外でも…」

 本作はリトビネンコのこの遺言めいた言葉から始まる。イギリスへの亡命から5年。元FSB中佐であるアレクサンドル(サーシャ)・リトビネンコは映画監督アンドレイ・ネクラーソフと数百時間を一緒に過ごし、自分の反抗の原因や10年前からのロシアでの警察国家の擡頭について話していた。そのリトビネンコが、何者かに放射性物質ポロニウム210を飲まされ、暗殺されたのだ…。彼は、なぜ死ななければならなかったのか?

amazon.jp 価格は3,990円なり。アマゾンでは少しディスカウント。
http://tinyurl.com/yk92nxh

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■イベント情報

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★11/20 文京:アンナ暗殺3周年・追悼特別上映会「アンナへの手紙」
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090821

 チェチェンを追いかけたジャーナリスト、
 アンナ・ポリトコフスカヤアンナの死をめぐるドキュメンタリー。
 彼女を知る人々がつづる「手紙」。

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★10/24-11/8 全国:アムネスティスピーキングツアー「奪われた人生」
                グアンタナモ収容所の真実を語る
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090905/1252121385

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★10/29 表参道:エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ULTRA002」
http://www.spiral.co.jp/e_schedule/2009/10/-002.html

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★10/31 三島:Chechen・Russia and You...未来への想いは国境を越えて
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091007/1254871015

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★11/1 白金:公開シンポジウム 「1968年と2009年」
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091014/1255476488

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★11/7 大崎:ミニシンポジウム「グルジア 映画・文化・歴史」
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091014/1255476488

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★11/29 四谷:反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉09
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/


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■映画・連続講座

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★『鶴彬 ーこころの軌跡ー』

 万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た──
 数多くの鋭い反戦川柳を詠んで戦争反対を貫き、獄中に果てた鶴彬の生涯。
http://tsuruakira.jp/

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★『沈黙を破る』

 考えるのをやめたとき、僕は怪物になったーー
「祖国への裏切り」と非難されながらも加害行為を告白する、
 若いイスラエル兵士たちがいた。

http://www.cine.co.jp/chinmoku/

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★『チェチェンへ アレクサンドラの旅』

 孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン

http://www.chechen.jp/

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★『ビリン・闘いの村』

 パレスチナ暫定自治区ヨルダン川西岸のビリン村。
 若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。

http://www.hamsafilms.com/bilin/

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