#369 チェチェン難民、イタリアで強制送還の危機


 イタリアでチェチェン難民が逮捕され、ロシアへの強制送還の危機に瀕している。

 10月9日の夜、フランスのニースに在住していたチェチェン難民のリナート・イブラーエフと、ハバ・アブバカロヴナ・バンターエワの若い夫婦が(いずれも80年代生まれ)、3人の子どもとともに、イタリアのタルヴィオスの街で逮捕された。彼らはイタリアとオーストリアの国境に自動車で向かっていた。イタリアにいた友人の家族を訪問したあと、オーストリアでの集まりに参加するつもりだった。

 イタリア警察によると、イブラーエフにはチェチェンでロシアの警察官を殺害したという容疑で国際刑事警察機構ICPO)の逮捕状が出ていた。翌日、妻と子どもたちは釈放されたが、リナートはトルメッゾにある拘置所に留め置かれている。数日以内に裁判所が強制送還に許可を出す可能性が高い。

 Ichikeria.infoは、この事件に関連して、ロシア収容所元受刑者の会(OKFUL-ChRI)が発行した声明を掲載している。これによると、リナートはロシアに占領されているチェチェン共和国から、政治難民としてフランスに亡命していた。イタリアで逮捕された経験は以前にもあり、その時はフランス当局の要求で釈放されていた。リナートにかけられた容疑はすべて作り事である。

 事実は次のとおり。彼と兄弟のユヌースは、ロシア侵略軍に対する、チェチェン共和国イチケリア祖国防衛レジスタンスの正式なメンバーであった。このためにロシア当局は2005年以来、彼らと家族を迫害していた。2007年末、ユヌースはチェチェンでロシア軍に殺害され、同時に彼らの両親はFSBに誘拐され、拷問と虐待を受けた。

 拷問の目的は、リナートがどこにいるかを聞き出すことだった。こうしたことが続いたために、彼ら一族はチェチェンから逃亡しなければならなくなった。

 いま、リナートの家族は、彼の行く末を案じている。もしもイタリア当局がリナートの身柄をロシアの手に渡してしまったら、彼の命はまず確実に失われるからだ。

http://www.waynakh.com/eng/2011/10/chechen-refugee-arrested-in-italy/
Chechen Refugee Arrested in Italy
Friday, 14 October 2011