#424 チェチェンとアルカイダの関係

chechen2014-02-02

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


チェチェンアルカイダの関係

 「チェチェンをはじめとする北コーカサスには、中東からアルカイダが入り込んで、テロを起こしている」という説が、まるで事実のようにマスメディアで流通しています。これについて、ロシアの歴史家パーヴェル・ストロイノフが語っているインタビューを読んでみます。また、ここではシリア情勢におけるロシアの意図についても考察します。

 このインタビューは、「チェチェンセンター」に転載されているのを見かけたのですが、最初に掲載されたのは「クラリオンプロジェクト」という、イスラムの穏健化を図るというような目的のサイトで、時期も2012年ですが、情報そのものは真実に近いと思いますので紹介します。


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アルカイダに近いイスラム・テロリストがロシアで活動しています。ロシアとアメリカは共通の敵と直面しているのでしょうか?)

ストロイノフ: それは完全にロシア政府のプロパガンダですね。これまでも彼らはチェチェン人とアルカイダを結びつけようとしてきましたが、そんなものは最初からないのです。もともとチェチェン独立運動は宗教的なものではなく、民主的なナショナリストたちのものでした。ソ連が崩壊したとき、他のどの連邦構成共和国もそうであったように、チェチェン人は独立を望んだのです。

 1996年の第一次戦争での勝利の後、チェチェンイスラム国家として独立してから、イスラム主義者たちはチェチェンを目指しました。そしてロシア政府はそれを支援しました。イスラム主義者の諸団体内部に紛れ込ませたエージェントを通して。そうすることでチェチェンの信頼を落とすことができましたし、チェチェン内に浸透することもできたからです。

 その結果、ロシアはチェチェンの指導部を民主派とイスラム派に分裂させることができました。ただ、公然の秘密ですが、チェチェンの「イスラム派」リーダーたちは、実はそのイデオロギーを信じてなどいません。単に中東の金持ちのスポンサーを金づるにするか、ロシア連邦保安局(FSB)に操縦されているだけです。

 FSB内部告発者であったアレクサンドル・リトビネンコが暴露したように──文字通り命を代償にして──、アルカイダのリーダーであるアイマン・アル・ザワヒリは、FSBのエージェントでした。テロ組織の「エジプトイスラム聖戦」のリーダーだった当時から、ザワヒリは長年、最重要のテロリストとして国際手配されてきました。1997年、彼は突然ロシアに現れました。北コーカサスのダゲスタンにあるFSBの秘密基地で特殊訓練を受けるためです。その後、彼はアフガニスタンに送られ、ビン・ラディンのナンバー2としてアルカイダに参加しました。

 これが明らかになると、ロシア政府は説明を迫られたので「ザワヒリ不法入国者として北コーカサスで逮捕されたが、本人と特定できなかったため、国外退去処分にした」と説明しました。ただ、世界中で最重要手配されていたテロリストの一人を捕まえておきながら「特定できなかった」ので追い出したというのは、なかなか信じがたい言い訳です。

 そして、この時期に外国からやってきたイスラム伝道者のほとんどは、モスクワを経由して北コーカサス入りし、ロシア政府の正式のビザを持っていただけでなく、流暢なロシア語を話しました。だからチェチェンの人々は、彼らがどんな人々であるかすぐに気がついたのです。

(ロシアはシリアのアサド政権を支援していますが、これはアサドがロシア海軍の基地の設置に賛成しているからだと言われています。もしシリア反政府勢力も基地に賛成したら、ロシアは反政府側に鞍替えするでしょうか?)

ストロイノフ: それはないですね。基地の件だけではないのです。ロシアがアサドを支持するのは、西側の介入を躊躇させるためです。その思惑は成功しています。

 1970年代にサダトが西側に叛旗をひるがえして以来、シリアは中東におけるロシアの同盟国でした。ゴルバチョフが、ハフェズ・アサドに対してアラブ世界の盟主になることを勧めていますが、ゴルバチョフが言ったことも、それまでの政策を踏まえています。

 ではモスクワがシリアを支援してきた理由は何かということですが、それはイランをはじめ、他の独裁者やテロリストを支援してきたのと同じです。要はごたごたを起こしたいのです。かつてはイデオロギーのためでしたが、今はトラブルのためのトラブルですね。最大の理由は、単純に石油価格の上昇という狙いです。また、あらゆる国際紛争に関わることで、西側に対するカードを握っておきたいのです。

 だから、アサドに価値がある限り支援を続けるでしょう。たとえばグルジアや、東ヨーロッパのミサイル防衛といった問題で、ロシアはカードを切り、西側からの譲歩を勝ち取りたいわけです。海軍基地というのは問題の一部でしかありません。

 シリア反政府勢力の勝利は、どんな勢力がトップに立つかによるでしょう。反政府勢力はロシアのことを「敵の味方」と、正しく理解しています。シリアを国際社会のゲームのポーン(歩)にし、シリア人の命を取引の道具にしようとしていると。だから彼らはダマスカスの通りでロシアとイランの旗を焼きはじめたのです。

 シリアが民主化された場合、プーチンとの同盟は終わりを告げるでしょう。しかしもっともありそうで不吉なシナリオは、西側のだめな外交によって、チュニジアやエジプトのように、イスラム主義者が勝利することです。そういう場合、彼らはプーチンと手を組んでもめごとを起こしたり、石油価格の引き上げたりするのを、プラグマチックなやり方だと考えるかもしれません。そうなった時には、彼らの方から基地の設置を求めるでしょうし、われわれはまた一歩後退することになるのです。

http://www.clarionproject.org/analysis/soviet-jihad-connection-interview-pavel-stroilov

ChechenCenter.info
The Soviet-Jihad Connection: Interview with Pavel Stroilov, Extract About Chechnya
Written by Administrator
Saturday, 01 February 2014 03:24

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