#446 イスラム国に関連する声明

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


 イスラム国に拘束されている2人のための、いくつかの声明を紹介します。なお前号で紹介した日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)の声明は、英語版、アラブ語版が公表されました。
 http://www.jvja.net/JVJA_IS.htm



 「内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても、国民の命を守る責任があるはずです。」 (安倍晋三総理大臣、2014年5月15日)

 「イスラム国による二人の日本人の殺害警告に深い悲しみを表明いたします。・・・イスラムは本来、「愛」「敬意」「平和」を説いています。ISIS による今回の人質事件は、ISISがイスラムや他の宗教とはほど遠いものであることを露呈しています。」 (日本アハマディアムスリム協会、1月21日)

 「しかし、おそらく最も重要な理由は、日本はイスラム国を含め、いかなる国に対しても宣戦布告をしない世界で唯一の国であるということです。なぜならば、日本の領土が侵された際の自己防衛の場合を除いて、いかなる軍事活動も、憲法によってはっきりと禁止されているからです。」 イスラミックセンタージャパン、1月22日)


 「イスラム国の皆さん、健二はイスラム国の敵ではありません。解放してください。日本は戦争をしないと憲法9条に誓った国です。70年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。」 (後藤健二さんの母・石堂順子さん、1月23日)

 
 以下は、各声明の全文です。

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安倍内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0515kaiken.html

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ISIS(イスラム国)による日本人人質事件に対する
日本アハマディアムスリム協会の非難声明


日本アハマディアムスリム協会は、ISIS(イスラム国)による二人の日本人の殺害警告に深い悲しみを表明いたします。

この日本人二人の人質事件は非常に邪悪な行為です。イスラムは本来、「愛」「敬意」「平和」を説いています。ISISによる今回の人質事件は、ISISがイスラムや他の宗教とはほど遠いものであることを露呈しています。

アハマディアムスリム協会はカリフ、ハズラト・ミルザ・マスルール・アハマド師の指導の下、いかなる理由があろうと過激派の存在を否定します。

私たちは日本人の皆様とともに、イスラム国によるこの卑劣な行為を非難し、また、人質となっているとみられる湯川遥菜氏と後藤健二氏のご家族の思いと同じく、無事に解放されるよう祈っています。

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Islamic Center Japan
イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質を殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。

(2015年1月22日 東京にて)
イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質、後藤健二さんと湯川遥菜さんを殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。イスラム国は数カ月に渡り、彼らを人質として拘束しています。

我々は、イスラム国が重大な過ちを犯しているとみなしています。そして、イスラム国が良識的な意見に耳を傾け、人質を即座に且つ無条件で解放するように要求します。

上記を主張するにあたり、以下の様な理由が挙げられます。

・日本は、パレスチナイスラエルが紛争をしている際に、パレスチナに対して支援をする等、多くの場面において、相対的に公正な立場をとってきました。欧米社会から激しい圧力があったにもかかわらず、日本は長年このような公正な姿勢を貫いてきました。

・日本はパレスチナにとって、最大の援助国です。ガザ地区、及びヨルダン川西岸地区において、数多くの復興プロジェクトを実施してきました。それらは、日本政府及び日本の団体からのみの資金援助によりなされてきたのです。

・日本では、我々イスラム教徒は平和的に過ごしています。欧米諸国で見受けられる様な、イスラム教徒に対する差別やハラスメント、そして屈辱を受けるといったことも、日本ではありません。ヒジャーブ(頭につけるスカーフ)やニカーブ(目以外を覆い隠す格好)をしたイスラム教徒の女性に対して、危害を与えるといったような事例は一つもありません。

・日本にいるイスラム教徒は自由に宗教活動を実践しています。モスクを建てたり、イスラム教の啓蒙活動を行う際に、政府から干渉を受けることもありません。

・しかし、おそらく最も重要な理由は、日本はイスラム国を含め、いかなる国に対しても宣戦布告をしない世界で唯一の国であるということです。なぜならば、日本の領土が侵された際の自己防衛の場合を除いて、いかなる軍事活動も、憲法によってはっきりと禁止されているからです。

・よって、日本の首相は「テロと戦う為」に2億ドルを拠出することを表明しましたが、決してイスラム国に対する軍事的行為を支援するものではありません。
その2億ドルの支援金は、長期の紛争によって住む所を失ったシリアとイラクの難民を支援するためのものだと、すでに計画されていました。日本社会そして日本のメディアも、今では、支援金を言い表すのに、首相は「テロとの戦い」という言葉を使うべきではなかったと認識しています。なぜなら、その支援金はテロとの戦いの為ではなかったし、そのような目的の為には支援金を使えないからです。

一方で、我々イスラミックセンタージャパンは、イスラム国に対して警告します。日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与えることでしょう。このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだと主張します。なぜなら、日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もないからです。

人質の殺害は、コーランの教えにも反します。アッラーが、コーラン
Al-Mumtahana(試問される女)章8節で述べられています。

アッラーは、宗教上のことであなたがたに戦いを仕掛けたり、またあなたがたを家から追放しなかった者たちに親切を尽くし、公正に待遇することを禁じられない。本当にアッラーは公正な者を御好みになられる。」

従って、我々イスラミックセンタージャパンは、ただちに、そして無条件で人質を解放するように、重ねてイスラム国に要求します。

イスラミックセンタージャパン

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 後藤健二さんの母石堂順子さんが23日発表した声明の全文は次の通り。

 私は石堂順子と申します。ジャーナリスト後藤健二の実の母親です。多くの外国人記者の皆さんにお集まりいただき、感謝します。日本国民・日本政府の皆さん、諸外国の皆さんに健二が大変ご迷惑をおかけしていることに心よりおわびします。私はこの3日間、ただただ悲しくて、泣いていました。表現できません。

 健二は幼い頃から心の優しい子でした。健二はいつも「戦地の子どもたちの命を救いたい」と言っていました。中立な立場で戦争報道をしてきました。イスラム国の皆さん、健二はイスラム国の敵ではありません。解放してください。日本は戦争をしないと憲法9条に誓った国です。70年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。日本は唯一の被爆国です。アメリカによる広島と長崎への原爆投下で数十万人が亡くなりました。あと残された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救ってください。


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