#454 毎日新聞で必読のチェチェン報告!

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)


 毎日新聞で、「チェチェンは今」という連載が続いています。明日11日の朝刊までです。
 また、「毎日動画」ではカディロフ博物館や、スイスのような山岳のリゾート地を見ることができます。
 美しいです。 http://mainichi.jp/movie/movie.html?id=886428318002

 しかしカディロフ一派に誘拐され、虐待された一般のチェチェン人の被害者や、
 私設刑務所など、危険な場所は一切取材できないという制限も感じさせます。

 とはいえ、貴重な現地ルポです。ぜひ明日の毎日新聞の朝刊をお読みください。

 以下、ネットに上がっている毎日新聞記事のURLです。
 また、最後にいままでこのニュースで紹介してきた、チェチェンに里帰りした人の話のURLも添えます。



●ロシアの「内なる外国」:チェチェンは今/中 過激な教え、当局公認 独自のイスラム復興、首長が後押し チェチェン最大のイスラム教礼拝所「チェチェンの中心」。ラマダン(断食月)中のため、夜の礼拝には多くの信者が集まっていた=チェチェン共和国グロズヌイで サラフ・メジエフ師  ...2015年07月10日

http://mainichi.jp/shimen/news/20150710ddm007030127000c.html
動画: http://mainichi.jp/movie/movie.html?id=886428318002

●ロシアの「内なる外国」:チェチェンは今/上 進む「カディロフ氏崇拝」 親プーチン氏の首長、アメとムチ...
...そのチェチェンで圧倒的な存在感を誇るのが、プーチン氏に支配の全権を与えられたラムザン・カディロフ首長(38)だ。  カディロフ氏は04年に爆弾テロで殺害された父アフマト氏(当時のチェチェン共和国大統領)を継ぎ、実権を握った。チェチェンの過激派は共和国に...2015年07月09日

http://mainichi.jp/shimen/news/20150709ddm007030122000c.html
動画: http://mainichi.jp/movie/movie.html?id=886222400002


チェチェンニュース#410 あるチェチェン人の里帰り
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20130614/1371240837

チェチェンニュース#443 最近の銃撃戦とグローズヌイ
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20141207/1417900497

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#453『チェチェン戦争を忘れるな! 』発売!

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

 ■『チェチェン戦争を忘れるな! 』発売開始!

 6月にご案内した電子書籍が、タイトル・内容を改めて再版されました。
 その名も『チェチェン戦争を忘れるな!』。ぜひお読みください。


 http://tinyurl.com/q8xywq4


 『アーティスト』でアカデミー賞5部門を受賞したミシェル・アザヴィシウス監督がどうしても実現したかった映画『あの日の声を探して』がこの春から日本全国で公開されています。

 監督が来日した際にインタビューし、解説などを加えてkindle本「『あの日の声を探して』を見逃すな!」を約一カ月前に発売しました。

 このほど、あらたに「チェチェンへの思い、再び」と題した一文を加え、その他も一部変更して新版『チェチェン戦争を忘れるな!』(kindle本294円)をリリースしました。ご購入いただければ幸いです。


※すでに旧版を購入している方は、新版に無料で切り替えられます。その場合は、上記 URL画面の一番下の右にある「カスタマーサービスに連絡」をクリック。電話が一番楽です。


チェチェン戦争を忘れるな!: (旧版:『あの日の声を探して』を見逃すな!) [Kindle版] 林 克明 (著), 寺澤 有 (著), 星野 新一 (編集)

内容紹介

1995年から16回、チェチェンを訪れ、取材してきたジャーナリストの林克明が、2015年3月、アカデミー賞受賞監督のミシェル・アザナヴィシウスと出会い、覚醒した。アザナヴィシウスはチェチェン戦争を描いた新作『あの日の声を探して』を引っさげ、来日していたのである。自分が見てきたチェチェン
映画の世界、そして現在の日本がシンクロし、林はいても立ってもいられなくなる。その思いがぶつけられたのが本書である。

【目次】
1.チェチェンへの思い、再び
2.ストーリー
3.ミシェル・アザナヴィシウス監督インタビュー
4.チェチェンで何が起こったか
5.「チェチェン戦争」とは何か?
6.3つの見どころ

フォーマット: Kindle
出版社: インシデンツ (2015/5/31)


 なお、『あの日の声を探して』は、多数の映画館で上映が予定されています。
 くわしくはこちら: http://ano-koe.gaga.ne.jp/theater.html


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#452『あの日の声を探して』バリアフリー鑑賞会のお知らせ

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)


 ■『あの日の声を探して』バリアフリー鑑賞会のお知らせ


 チェチェン戦争映画『あの日の声をさがして』が好評公開中ですが、視覚障害者向けの「バリアフリー鑑賞会」というものが、6月21日(日)に浦和で開催されます。

 上映後のお茶会では、ジャーナリストの林克明さんが、チェチェン戦争の実際についてお話しされます。

 視覚障害者の方々が、この映画を見てどんなことを感じとられるか、その点でも、興味深い機会だと思います。

 もちろん、通常の字幕もあります。晴眼者でも参加できますので、まだご覧になっていない方、お近くの方は、ぜひご参加ください。以下、お知らせです。 (大富)



アカデミー賞R5部門に輝いた『アーティスト』の監督が“どうしても”描きたかった
激しく心揺さぶるテーマに挑んだ衝撃の感動作!

【ストーリー紹介】
 両親と声を失った9歳の少年、戦争を止めることなどできない35歳の無力なEU職員キャロル。
 戦いの闇の中、2人の運命が交錯する─
 1999年、チェチェンに暮らす9歳のハジは、両親を銃殺されたショックで声を失ってしまう。
 姉も殺されたと思い、まだ赤ん坊の弟を見知らぬ人の家の前に捨て、一人ロシア軍から逃げる。
 街へたどり着いたハジは、フランスから調査に来たEU職員のキャロルに出会う。
 自分の手では何も世界を変えられないと知ったキャロルは、せめて目の前の小さな命を守りたいと願い始める。
 また、何事もなく普通に暮らしていた19才のロシア人の青年コーリャは、軍隊に強制入隊させられる。
 彼ら3人の運命は?
 
 【鑑賞会詳細】
 劇場:ユナイテッド・シネマ浦和(JR浦和駅前)
 鑑賞作品:『あの日の声をさがして』
 視覚障害者向けに、音声ガイドと字幕朗読付き  晴眼者の方もご参加できます。
 主催:バリアフリー映画鑑賞推進団体 シティ・ライツ ( http://www.citylights01.org/ )
 
 日時:6月21日(日曜日) 遅い午後の回を希望中。(6月16日頃に決定)
    上映時刻は、お申し込みの方に個別お知らせします。

 集合: 誘導ボランティア希望の方は上映1時間前にJR浦和駅改札口正面付近。(改札は一箇所)
 鑑賞料: 800円。(晴眼者も一律)
 ガイド方式: 音声ガイドはライブの実況。晴眼者の方にもラジオを貸し出します。当日お申し出ください。
 申し込み締め切り:6月17日(水曜日) 24時
 映画を語る会:映画鑑賞後、劇場近くのカフェでご飯を食べながら、感想などを語り合います。
     参加は希望者のみ。各自、注文したものを精算する形式です。(夕方を予定)

  ゲスト:林克明氏(ジャーナリスト)
  お茶会の冒頭で、チェチェン戦争の実際を語っていただきます。

   【林氏プロフィール】
   95年から1年10ヶ月、モスクワに住みチェチェン戦争を取材。
   主な著書『カフカスの小さな国 チェチェン独立運動始末』(小学館
   『プーチン政権の闇』(高文研)『チェチェンで何が起こっているのか』(高文研)

 【申込方法】
 以下の内容に従って、メールでお申し込みください。
 件名に『あの日の声』と書いて、宛先は
 doukou@citylights01.org
 
 ▼本文に以下1〜5の項目を明記してください。
 1:お名前(ハンドル名でも可)
 2:参加人数(視覚障害者と晴眼者の内訳)
 3:誘導の要・不要(誘導ボランティア希望の方は、誘導ボラとお書きください)
 4:ご本人の携帯番号(緊急連絡のため)
 5:映画を語る会参加の有無(映画を語る会のみの参加もお受けします)
  お問い合わせ電話番号は、080-3918-9913(高橋まで)

 ご参加お待ちしています


 なお、『あの日の声を探して』は、多数の映画館で上映が予定されています。
 くわしくはこちら: http://ano-koe.gaga.ne.jp/theater.html

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#450 映画『あの日の声を探して』いよいよ公開!

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

 今月24日から、チェチェン戦争を扱った映画『あの日の声を探して』が、いよいよ全国で公開される。

  http://ano-koe.gaga.ne.jp/

 この映画は、1999年に始まった第二次チェチェン戦争で、両親を殺害されて孤児になる少年と、それを助けようとする国際機関職員をめぐる物語。

 異色のモノクロ・サイレント映画『アーティスト』でアカデミー賞を受賞したミシェル・アザナヴィシウス監督と、俳優ベレニス・ベジョの二人が、もっとも戦争の激しかった時期を克明に描いている。

 実際にコーカサスでロケをしており、戦争のシーンにも街頭のシーンにも、確かなリアリティが宿っている。また、デジタル映像ではなく、フィルムで撮影しているので、陰影が深い。物語とあいまって、人の心に染みるものがあった。

 チェチェンに関心を持っている人には、ぜひ見てほしい作品だ。個人的には、もう映画が始まった最初のシーンから泣けた。

 パンフレットに解説文を寄稿しました。よろしければお買い上げください。

 (大富亮)

チラシのダウンロード:http://chechennews.org/dl/20150424anohino_koe_leaf.pdf

 ●公開予定

 東京 TOHOシネマズシャンテ 4/24
    新宿武蔵野館 4/24
 神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 4/24
      TOHOシネマズ川崎 4/24
 千葉 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ 4/24
 愛知 TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ 4/24
    伏見ミリオン座 4/24
 大阪 TOHOシネマズ梅田 4/24
    TOHOシネマズなんば 4/24
 京都 TOHOシネマズ二条 4/24
 兵庫 シネ・リーブル神戸 4/24
 福岡 KBCシネマ 4/24

 これ以外にも多数の映画館で上映が予定されています。
 くわしくはこちら: http://ano-koe.gaga.ne.jp/theater.html

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#449 ネムツォフ暗殺事件:容疑者の逮捕報道について

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


ネムツォフ暗殺事件:容疑者の逮捕報道について

 モスクワで反政権政治家ボリス・ネムツォフ氏が暗殺された事件で、ロシア連邦保安局(FSB)が「容疑者を逮捕した」と発表した。モスクワアパート連続爆破事件(1999年)の犯人を、いまだに見つけられないFSBにしては、驚くべき早い仕事だ。

 ロシア野党指導者暗殺、容疑者2人逮捕(時事)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150307-00000037-jij_afp-int

 報道によると、逮捕されたのはコーカサス系住民2名。一人の名前はチェチェン人っぽい。またこのパターンか。ロシアにとって都合の悪い事件は、いつもチェチェン人のせいにされる。

 しかし、この「暗殺容疑者逮捕」というニュースとほとんど同時期に、こんなニュースが流れた。どちらが先だったのだろう?

 「「仲間の戦死をロシア兵証言」=ウクライナ軍事介入裏付けか―ネムツォフ氏ファイル」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150307-00000068-jij-int

 こんなニュースを打ち消すためなら、ロシア政府はなんでもやるだろう。

 よく、こうやってチェチェン人が逮捕されるが、最後まで裁判が続く場合はほとんどない。だいたい証拠がなくて、途中でうやむやになる。「うちの息子は別の容疑で、この事件の前から警察に捕まっていたのに、なぜここで容疑者にされるの?」などということもあった。微罪や濡れ衣でチェチェン人を勾留するのはわけのないことだ。

 ロシア政府のウクライナ侵攻を正当化するために、批判的な政治家を誰かが暗殺する。そして、罪をチェチェン人になすりつける。今起こっているのは、そういうことではないだろうか。引き続き注目したい。(大富亮)

 関連記事:
 http://www.reuters.com/article/2015/03/07/us-russia-crisis-nemtsov-idUSKBN0M30AQ20150307
 http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/11456484/Breaking-Two-arrested-over-Nemtsov-murder.html
 http://nationalinterest.org/feature/no-exit-nemstovs-murder-will-heighten-us-russia-standoff-12340

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#448 ネムツォフ暗殺とチェチェン

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


 2月27日に、モスクワで、ロシアの政治家ボリス・ネムツォフ氏が暗殺されました。ネムツォフ氏は対ウクライナ戦争にも強く反対していたということです。過去にチェチェンに関しても、プーチン政権の高圧的なやり方に抗議してきた人物です。

 これは2009年の記事ですが、彼の問題意識がよくわかる文章がありましたので、和訳しました。

 このような立場の人物なら、現在のウクライナへの干渉にも反対するでしょうし、プーチン政権にも睨まれることでしょう。そしてこの15年間、ロシアではプーチン政権にとって邪魔な人物は、次々と消されてきました。チェチェンだけでも、つぎのようなリストができてしまいました。

 「殺害されたジャーナリスト、人権活動家、政治家一覧」 http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090913/1252944622

 いろいろな意見があるとは思いますが、やはり、ウクライナに対する軍事侵攻は、チェチェンと同様の非道な行いだと考えます。

 私自身は、西側の情報源に多くを負っていますから、認識にいくらかバイアスがかかっている可能性も否定はしません。

 しかし、チェチェンへの不法な軍事侵攻をロシア政府が行い、「惨劇」としかいいようのない出来事が起きてきたことは、動かせない事実です。プーチン政権にはっきりと反対してきた人が、おそらくそのために暗殺されたことに、悲しみを感じずにはいられません。(大富亮)


 関連:ニューズウィーク記事:ネムツォフ暗殺?でロシア野党は壊滅状態 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/03/post-3569_1.php



コーカサスを覆う「戦争の雲」――プーチンの政策は決して平和を呼ばない

 ボリス・ネムツォフ 「連帯反体制運動」代表/元ロシア連邦副首相:
 2009年8月26日、ウォール・ストリート・ジャーナル


 この10年間、ロシアを支配し続けているプーチンの最大の嘘は、「北コーカサスが安定化している」というプロパガンダだろう。これほど真実から遠い話もない。1994年、99年、そしていま、私たちは三度目のコーカサス戦争を目にしている。

 今年(2009年)6月22日に、イングーシのエフクロフ大統領が銃撃され、チェチェンでは人権活動家のナターリヤ・エステミーロワや、ザレーマ・サドゥラーエワが殺害された。先週も、ナズラニでテロが起こり、数百人が死傷する惨事となった。それだけでなく、ダゲスタンでは毎日のように警察官が襲われ、今年前半だけで128人もの死亡者が出た。

 チェチェンの人権状態もひどい。人権団体がまとめただけでも、今年74人が強制失踪し、16人が殺害された。こういった事実は、北コーカサスに広がる流血のカタログのたった1ページに過ぎない。

 「安定化」が失敗している理由はこういうことだ。プーチンは「地域の有力な氏族」と連携してこの地域をロシアの支配下に置こうとしているが、それがまず間違いだ。巨額の連邦予算と、白紙の小切手と引き換えに、腐敗した犯罪集団の忠誠を買い取り、彼らが言うところの「選挙」を支援する。その結果、この地域は連邦の法など通用しない地域に成り下がり、現地の権力者たちはますます市民を抑圧し続ける。

 ヒューマンライツ・ウォッチの報告によれば、親ロシア派のチェチェン当局は、反対勢力に参加したと疑われた人の非合法処刑や、その家族の住む家を焼くなど、ひどい人権侵害を繰り返している。チェチェンで活動する人権団体「メモリアル」の活動家は、常に当局の監視を受けている。暗殺された活動家・エステミーロワは、まさにチェチェンで起こっている「強制失踪」の問題を追っていた。

 一方で、プーチンが支援しているチェチェンの親ロシア派・カディロフは、これこそ個人カルトとしか言いようのないものを作り上げている。その裏付けは、現地の税収の7割から9割に及ぶ巨額の金を、ロシアが彼に与えていることだ。ところがそのために、この地域はほとんどロシアの法の埒外になってしまっている。

 ロシア連邦政府ののコーカサス政策のもうひとつの誤りは、民主的手続きを排除してしまったことにある。彼らにとって「選挙」とは、プーチンの政党である「統一ロシア」が100%の支持率のもと、100%を得票する行事のことだ。チェチェン、イングーシ、ダゲスタンは、もはやソ連時代に戻った感がある。政府に対する市民の影響力はすべて排除された。ロシアが頑迷にもイングーシで元KGB将軍のジャジコフ元大統領を支持し続けたことが、この地方での暴力的な反体制運動の原因になっている。

(中略)

 こうした一連の惨劇による教訓は何か。それは、今のようなシニシズムや抑圧は、北コーカサスの政治・経済と安全保障の問題に、何の解決ももたらさないということだ。これらの問題は、民主的で法に則った政策と、そこに住む市民に対する十分な配慮によってしか、解決されないのである。

http://fb.ilcannocchiale.it/?id_blogdoc=2321183

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#447 イスラーム国人質事件への私たちの立場

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


 イスラム国による人質事件のことです。

 チェチェンを取材する人にとっても、何者かに拉致され、人質になってしまうということは、他人ごとではないと思います。

 たとえば1999年にも、ロシアのアンドレイ・バビツキー記者がチェチェン戦争を取材中に誘拐される事件が起こりました。(ただし、この事件はロシア治安機関による仕込みの疑いが強い)

 そこで、「ガザの人々を殺すな!実行委員会有志」の見解を、賛同しつつ紹介します。

 特に、湯川さん、後藤さんが誘拐されていることを知りながら、中東を歴訪して、イスラム国を刺激してきた安倍首相に対しては、怒りを感じずにはいられません。イスラム国を挑発し、人質を見殺しにし、そのうえ事件を憲法改正のきっかけにしようとする政権のやり方は、「卑怯」を通り越しています。

 また、ジャーナリストの杉本祐一氏のパスポート返納強要事件にも、大きな問題があります。危険なチェチェンウクライナに行こうとするジャーナリス
トや人権活動家が、いきなりパスポートを取り上げられたら、誰がチェチェン問題を世の中に知らせることができるでしょうか。

 ぜひご一読ください。




【見解】
イスラーム国」による人質・殺害と安倍政権の対応に関する私たちの立場


イスラーム国」を名乗る武装集団(以下IS)は、昨年8月から10月頃、湯川遥菜氏、後藤健二氏を人質に取り、身代金などを要求した。ISは、要求
が容れられなかったとして、今年、湯川氏と後藤氏を殺害したと発表、殺害場面をネットで公開した。政府は、両氏の救出に失敗した。また、捕虜にしたヨルダン空軍パイロットの殺害を示すという動画を公開した。正確な詳しい情報は得られていないが、日本の民間人2人とヨルダンの軍人1人が、残忍な方法で殺害されたことは間違いないと思われる。この悲劇的な事件に当たって、私たちは次のように考える。

1) 「日本人」というだけの理由で民間人を人質にとり、プロパガンダのために殺害したISのこのような行為は、いかなる理由があったとしても許されるものではない。ヨルダン軍捕虜虐殺についても同様である。

2) 一方、日本政府、とくに安倍首相がとった、湯川氏と後藤氏の救出に関する対応を始め、この間の中東政策、さらにその後の国内における様々な対応が適切なものであったかどうか、非常に疑問である。

3) 安倍首相は、両氏が人質となり身代金を要求されていることを十分承知のうえで、今年1月にエジプト、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府)を訪問した。エジプトとヨルダンの公式の場では、「ISILと闘う」これらの国に対する「支援」を公言した。真剣な人質解放交渉が行われていたとすれば、この種の発言がIS側を刺激し、交渉進展にとって大きな障害になることは、常識的に分かるはずである。

4) また、安倍首相は、イスラエルでは、昨年5月の軍事協力を含む両国間の「パートナーシップ」が「着実に進んでいることを高く評価する」と公言した。昨年の7月から8月にかけて、イスラエル軍によるガザ攻撃で約2,200人が殺され、多数が負傷、ホームレスとなった後の発言である。

5) このガザ攻撃に当たっては、国連人権理事会が国際人道法・人権法に対する違反行為を調査する委員会設置を決議した際、日本政府は棄権した。日本政府は、その後も、国連調査委員会のガザ立入り調査に対するイスラエルの非協力を容認している。また、パレスチナ国際刑事裁判所加盟に関して、日本政府は、米国やEU加盟国などによる、パレスチナへの圧力を黙認し続けている。

6) 日本政府のこうした対応や発言が、中東地域の人々をどれほど憤激させているか、安倍首相に理解できないはずはなかった。

7) 今回の事件には政治的背景がある。とくに21世紀になって、日本政府は、「中東には、植民地支配という負の遺産がない」「憲法9条をいただく平和国家」という外交上の資産ともいうべきものを自らの手で壊してきた。アメリカなどによる、2003年のアフガニスタン攻撃、2004年のイラク攻撃と占領、こうした理不尽で破壊的な軍事力の行使により、殺傷され、生活を破壊され、難民になった人々は、その正確な数さえわかっていない。このような戦争を「後方支援」「国際貢献」の名で支えてきたのが、日本政府である。「テロとの戦い」の名を借りた一連の戦争によって家族や親しい人々を殺され、家を焼かれ、故郷を追われた人々。このような暴力こそが、あらたな「テロリスト」を産み出し、彼らは、日本をも「敵」と見なすようになったのではないのか。

8) にもかかわらず、安倍政権は、このような戦争加担をさらに進めようとして、「武器輸出三原則」の廃止、集団的自衛権の合法化を閣議決定した。さらには「憲法改正」によって「戦争出来る国」「戦争する国」を目指しているように見える。加えて、杉本祐一氏のパスポート返納強要など、メディアやジャーナリストに対する報道や取材の自由を束縛する、「表現の自由」や「人権」を無視した目に余る暴挙も行われている。

9) ISによる今回の非道な行為は、断じて許されるものではない。しかし、だからといって、今回の安倍政権の対応、ここに至る日本政府の政策に対する批判を躊躇すべきではない。安倍政権が、今回の不幸な事件を踏み台にして、「テロとの戦い」の名のもとに、より積極的な欧米の中東に対する軍事介入への加担を進めようとするなら、私たちは、あくまで抗議・抵抗を続けるべきだと考える。

2015年2月14日
ガザの人々を殺すな!実行委員会有志
http://free-gaza.hatenablog.com/entry/2015/02/14/181054

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