【今日12/15】「戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ! 外務省前アピール」

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)


 500万人が難民に、660万人が国内避難民になり、2200万人の人口の半分が故郷を追われているシリア。史上空前の人道危機を作り出している張本人の一人であるプーチン大統領が、平然と来日し、安倍首相らによって歓待されようとしています。この異常事態は、戦争犯罪への共犯行為であると同時に、日本のメディア・人権状況、人権意識の表れでもあります。

 この悲惨な状況に風穴を空け、苦難の中で生き抜こうとするシリアの人々に連帯するために、15日夕方に外務省前行動を行います。この問題に関心をお持ちの研究者、NGO、ジャーナリストの方々をはじめ、多くの方に駆けつけてほしいと思います。お知り合いにも広めてください。

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【緊急行動のよびかけ】

戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ! 外務省前アピール」

 シリア・アレッポで、アサド政権軍とロシア軍による空爆が再開されました。東部では政権軍の包囲のもとで食料が底をつき、電気や水も止まり、国連高官は「このままでは巨大な墓場になる」と警告しています。また、政権支配地域へと脱出したシリア人男性数百人(子どもも含む)が行方不明になるという恐ろしい事件も発生しています。

 国際社会では、12月9日、国連総会で「即時停戦と救援物資の搬入」を要求する決議が可決されましたが、より強力な安保理での停戦決議は、ロシアと中国の拒否によって否決されています。ロシアの拒否権発動は6回目です。

 このように、ロシア軍・アサド政権軍によるシリアでの非人道的な空爆に、まったく歯止めがかかっていません。今こそ、国際社会に向けて市民が声を上げていかなければなりません。

 国際刑事裁判所条約(ローマ規程)に代表される国際人道法に照らせば、プーチン大統領チェチェンやシリアで、大規模な殺戮・文民への非人道行為に関わる「人道に対する罪」と、国民・民族集団を破壊、殺害する「ジェノサイドの罪」、さらには「戦争犯罪」にあたる行為を、ロシア連邦の指導者として計画・指導したと考えられます。裁かれるべき戦争犯罪人に他ならない人物を、日本を挙げて歓迎するような今の風潮は、明らかに異常ではないでしょうか。

 私たちは、12月7日に新倉修さんをお呼びして緊急集会を行い、プーチン大統領によるチェチェン侵攻やシリア空爆が、国際法に明確に違反するものであることを共有しました。改めて次の行動を呼びかけます。ぜひ、ご参加下さい。また、マスコミやフリーランスの方々の取材を歓迎します。

※私たちは当然ながら、米軍などの「有志連合」軍や反政府勢力、ISなどによる全ての戦争犯罪を非難します。ただ、今回のプーチン大統領の訪日を機に、空爆の規模と残虐性において突出しているロシア軍、シリア政権軍の攻撃に焦点を当てています。

◆後ろの参考記事もぜひお読みください。

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【緊急行動】
戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ! 外務省前アピール

 今、シリアの都市アレッポでは、20万人の市民がアサド政権・ロシア連合軍による空爆を受けています。毎日のように、SNSでは現地からの悲痛な声が届いています。犠牲者の数は4千人にも迫ります。

 この空爆は、民間人・病院・学校なども標的にした無差別なものであり、とうてい許されるものではありません。

 12月15日にロシアのプーチン大統領が来日し、安倍首相と首脳会談を行います。シリアへの無関心はチェチェンの悲劇の二の舞です。ロシア軍のシリアへの空爆に対して、ともに「NO!」の声を上げましょう。ぜひ、ご参加下さい。

 日時:12月15日(木) 19:00〜20:00 
 場所:外務省正門前(地下鉄霞ヶ関駅A4、B8出口すぐ)
 ※プラカード持参歓迎

〈主催〉戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ!日露首脳会談に異議ありキャンペーン    チェチェンニュース編集室

 連絡先 campaign2016dec@gmail.com 070-6564-5675(大富)
 ブログ http://putintaiho.exblog.jp/
 ツイッター https://twitter.com/campaign2016Dec

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【参考記事】

※ぜひご一読ください。プーチン大統領も例外ではありません。国際刑事
裁判所(ICC)に加盟し、最大の拠出金を出している日本も、同様の国内法を整備し、「普遍的管轄権」の行使に道を開くべきです。

<英、リブニ前外相に一時逮捕状 ガザでの戦争犯罪容疑>
(2009年12月15日、共同通信

(ロンドン共同)
 昨年末〜今年1月のイスラエル軍によるガザ攻撃の際の戦争犯罪容疑で、ロンドンの治安裁判所がイスラエルのリブニ前外相の逮捕状を出した。しかし、リブニ氏が計画した先週末の訪英の中止が分かり、逮捕状は取り下げられた。英紙ガーディアン(電子版)が14日報じた。

 イスラエル閣僚経験者への逮捕状は異例。ガザ攻撃で被害を受けたパレスチナ人の依頼を受けた英国の弁護士が、当時外相だった同氏を訴えていた。攻撃でパレスチナ側は約1400人が死亡した。

 英イングランドの裁判所は、戦争犯罪については国外の政治家らに対する逮捕状を発行できる普遍的管轄権を持つと国内法で規定されている。

 イスラエルのバラク防相が9月に訪英した際も、同容疑での逮捕状発行要請があったが、現職閣僚であり英国防相と会談予定だったため、不逮捕特権があるとされ、逮捕状は出されなかった。ヤアロン首相代理兼戦略担当相は、先月のロンドンでのユダヤ人団体の催しに招待されたが、逮捕の恐れがあると警告され、出席を断った。

【参考文献】
『ぼくのお母さんを殺した大統領をつかまえて。
  〜人権を守る新しいしくみ・国際刑事裁判所
アムネスティ・インターナショナル日本 国際人権法チーム編、合同出版)
http://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/ihrl/book.html


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チェチェンニュース#461 プーチン訪日に反対する相談会にご参加ください!


チェチェンニュース(転送・転載歓迎)


 チェチェンニュースの大富亮です。

 ご存知のとおり、12月15日、16日にプーチン大統領が日本を訪問します。
 これまでの来日の際にも訴えてきましたが、
 チェチェンを軍事侵攻し、20万とも言われる民間人を殺害してきた
 プーチン大統領を、日本政府が招待することには、大きな問題があります。

 そしていま、シリアでのロシア軍の空爆によって、4千人近い人々が殺害されています。
 アレッポでは20万人が包囲下での生活を余儀なくされ、避難民の数は1千万人を超えているようです。
 これはまさに、人道の惨禍です。

 何人かの方と話し合いました。
 このようなとき、言葉もなく、ただ座って見ていていいのだろうか。
 できることはないでしょうか、と。

 そこでこの間、有志による相談会を開き、
 「戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ!日露首脳会談に異議ありキャンペーン」を立ちあげました。
 ( http://putintaiho.exblog.jp/ ツイッターhttps://twitter.com/campaign2016Dec

 訪日まで約2週間ですが、できるだけ多くの方の参加をお願いしたいと思います。

 第二回の会議は、【12月3日(土)の18時から、東京ボランティア市民活動センターC会議室】で開きます。
 関心のある方はどなたでも参加できます。知恵を出し合って、訪日の機会にアピールをしましょう。
 ぜひご参加下さい。(交通アクセス: http://www.tvac.or.jp/page/tvac_access )

 なお、今のところ次の予定が決まっています。スタッフなどがまだ決まっていないので、
 ぜひお手伝いをお願いします。

 
 1.集会仮タイトル「プーチン訪日に異議あり国際刑事裁判所による戦犯追及の可能性と、シリアの人権」
 講師:新倉修さん(青山学院大学教授)
 日時:12月7日(水曜日)19:00〜20:50(開場18:30)会場:東京ウィメンズプラザ 視聴覚室B(70人)

 2.「戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ! 外務省前アピール」
 日時:12月15日(木曜日)19:00〜20:00 場所:外務省前 東京メトロ霞ヶ関駅下車A4又はA8出口すぐ


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[チェチェンニュース}#460 行ってみたくなるチェチェンの写真

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

 最近のチェチェン情報です。本文は記事のURLをご覧ください。
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目次

 ・チェチェンの写真
 ・アムネスティのモスクワ事務所、強制的に閉鎖
 ・ロシア・チェチェン・シリア 〜プーチンICCが嫌い
 ・カディロフツィ関係
 ・ベラルーシチェチェン難民
 ・プーチン色に染まる世界 〜「偏狭なナショナリズム」が次々台頭する理由
 ・日本とチェチェンが医療交流?
 ・歴史メモ
 ・イベント情報


チェチェンの写真

 行ってみたくなるチェチェンのリゾート地の写真。スプートニクより。
https://sputniknews.com/photo/201611191047621668-chechnya-mountains-tourism/

 チェチェン人の祖先は高山に墓を築いた。決して征服できない自由の土地に。
https://twitter.com/ArwenChikone/status/796056640034316289?lang=ja

 徴兵されて第一次チェチェン侵攻に投入されたロシアの若者たち。可哀想すぎ
る。 http://www.heidibradner.com/galleries/lostboys/index.html#15

 1995年のグローズヌイ攻防戦。前線に送り込まれたり、捕虜になった若いロシ
ア兵士を探す母親たちが訪れた。彼女たちの探索を手助けする野戦司令官シャミ
ーリ・バサーエフチェチェン側は命を助けたロシア兵士に対して、「二度とチ
ェチェンと戦わないこと」を約束させていた。
https://twitter.com/ChechenCenter/status/800084826518941696?lang=ja



アムネスティのモスクワ事務所、強制的に閉鎖

 アムネスティのモスクワ事務所が強制的に閉鎖された事件は、当局が家賃を滞
納しているとして閉鎖に及びました。しかしアムネスティ側は10月まで家賃を支
払っており、当局側は何の証拠もなく強行手段を取りました。市民団体への弾圧
が強まっています。
https://twitter.com/amnesty_or_jp/status/794013254255132673 2016年11月2日



■ロシア・チェチェン・シリア 〜プーチンICCが嫌い

 ロシアのシリア介入は20年前に防げていた。チェチェン侵攻の不当性に気がつ
いていたのに沈黙していた西欧諸国の責任を問う。ガーディアンより。
https://www.theguardian.com/world/2016/nov/02/russia-intervention-syria-stopped-20-years-ago-chechnya-war

 フセイン国連人権高等弁務官は国連安保理で「アサド政権軍と同盟国によるア
レッポ東部への無差別爆撃が圧倒的市民の犠牲を引き起こしている」として戦争
犯罪として国際刑事裁判所(ICC)への付託を求めた。(ロイター記事)同盟
国はロシアのこと。川上泰徳さん ‏@kawakami_yasu 10月21日
http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-warcrimes-idUSKCN12L0VX

 プーチン大統領国際刑事裁判所に「ロシアは加盟しない」と宣言した。「国
際刑事裁判所から脱退相次ぐ 裁判所の信用低下に懸念」NHKより、11月17日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161117/k10010772111000.html

 トランプ勝利によってシリアの人道危機が凄まじいレベルに。米国がオバマ
期になり、次期政権がプーチンとアサドに甘いトランプということで、ロシア軍
とアサド軍は何でもアリ状態。樽爆弾、クラスタ焼夷弾、塩素ガス弾を、市街
地・住宅地、市場、病院、学校に落とし放題 
黒井文太郎さん ‏@BUNKUROI 11月20日
https://twitter.com/BUNKUROI/status/800353140650307584

 トランプ狂想曲を聞かされている間にロシア海軍の空母クズネツォフはシリア
沖に到着しているし、アサド軍も総攻撃を準備。国連が搬入した食料も既に底を
ついたと報じられているアレッポ東部に取り残された20万人以上の人々は、世界
に見捨てられたまま破局に直面している。
https://twitter.com/palinfo_jp/status/797830036577349632
パレスチナ情報共同デスク ‏@palinfo_jp 11月13日



■カディロフツィ関係

 国境なき記者団は、プーチン大統領チェチェンのカディロフ首長を「報道の
敵」と宣言した。相次ぐメディア弾圧と記者の行方不明に抗議して。
11月2日付 モスクワタイムスより
https://themoscowtimes.com/news/reporters-without-borders-declare-putin-and-kadyrov-enemies-of-the-press-55980

 チェチェンではメディアに一切の表現の自由がなく、SNSyoutubeで不満を表
明した人は下着姿を公開されたり、家族とともにテレビで自己批判させられる。
チェチェンの伝統的価値「自由」はどうなるのか?カディロフはすべてのチェチ
ェン人に「SNSでの発言は、一語一句監視している」と警告して萎縮させてい
る。逆に言うとSNSで人々が結びついて、権力を脅かされるのを恐れているのだ
ろう。また、人々を辱めるやり方は、彼が権力を失った瞬間に自分に跳ね返って
くる。暴君のパラドックスアルジャジーラより
http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/06/chechnya-power-public-humiliation-160623111855166.html

 チェチェン文化省(親ロシア派)は、伝統的な結婚の様式を守るために「結婚
式警察」を創設した。結婚式での飲酒やダンスを禁止し、正しい式を行わせるた
めに、警察が臨席して取り締まる。カディロフ政権下の「伝統」とはこういうも
の。10月28日付 ラジオ・リバティより http://www.rferl.org/a/28081500.html

 チェチェン南部の山間部の村で、カディロフ派公務員の腐敗を告発していたラ
マザン・Dzhalaldinov氏が行方不明に。復興資金の横領や、教師の不当解雇など
の状況を動画で訴えていた。その後ロシアの人権活動家と連絡が取れたという情
報も。11月8日付 ラジオ・リバティより
http://www.rferl.org/a/chechen-whistle-bloser-complained-about-corruption-disappears-again/28102755.html

 チェチェン共和国への2017年連邦予算が削減されそうな雲行きに対して、親ロ
シア派の首長カディロフは「もし削減されたらチェチェン社会は停滞する」と強
く抗議している。モスクワタイムスより
https://themoscowtimes.com/news/chechen-leader-rails-against-budget-cuts-55956

 チェチェンのカディロフ首長が「プーチン大統領の指示があるにもかかわら
ず、なぜか『チェチェン石油化学工業』をチェチェンに戻すことにウリュカエフ
経済発展相がブレーキをかけていた。今になってようやく彼にサインをさせる方
法が分かった(=賄賂を渡すべきだった)」と表明。きな臭い話だ。
http://www.vesti.ru/doc.html?id=2823316&2823316
駒木明義さん ‏@akomaki 11月19日

 カディロフ、トルコで逮捕された3人のチェチェン人の引き渡しをエルドアン
首相に要請。「3人は警察、市民に対する攻撃に参加した」。自分に歯向かった
から許せないという意味。同様にウクライナでも。在外チェチェン人の心安らか
でない日々が続く。タス通信より http://tass.com/politics/910592


ベラルーシチェチェン難民

 ポーランドで難民申請しようとしたが追い返され、結局ベラルーシに行かされ
チェチェン難民。やはりチェチェンでは弾圧が厳しくて暮らしていけないよう
だ。アル・ジャジーラより
http://www.aljazeera.com/indepth/features/2016/09/asylum-seekers-stranded-europe-dictatorship-160919191015494.html


プーチン色に染まる世界 〜「偏狭なナショナリズム」が次々台頭する理由
 トランプ現象と共鳴する新たな国際潮流 笠原 敏彦

 「プーチン大統領がシリアに軍事介入した真の理由とは何なのか 彼らはプー
チン大統領の真意について異口同音に「ロシアを大国として復活させることだ」
と断言したのである。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48174?page=2
(現代ビジネス)


■日本とチェチェンが医療交流?

 日本人医療関係者がチェチェンを訪問する見込みか? チェチェン・がんセン
ター設置に向けて Construction.RUより:
http://russianconstruction.com/news-1/25496-japanese-to-take-part-in-cancer-center-construction-in-chechnya.html


■歴史メモ

 1991年の10月27日、チェチェンで最初の民主的な選挙が行われ、ジョハール・
ドゥダーエフが大統領に選出された。

 ロシアの植民地主義に対するチェチェンのたたかいは、不正義に対する世界的
なたたかいの一部だと、フランスの知識人グルックスマンは主張していた。2015
年11月に没。
https://www.facebook.com/groups/ChechnyaGlobalInitiative/permalink/661506847351462/



■イベント情報

11月25日(金)13時〜 やめろ! イスラエルとの軍用ドローン共同研究 
軍需企業/防衛装備庁申し入れ 集合地:東京駅丸の内南口改札外。
装備庁申し入れは18時より市ヶ谷・防衛省前 参加費なし。
https://twitter.com/AntiArmsNAJAT/status/800318033386274817

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チェチェンニュース#459 チェチェン人のジャーナリスト「良心の囚人」に

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

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チェチェン人のジャーナリスト「良心の囚人」に

 チェチェン人ジャーナリストのザラウディ・ゲリーエフ氏が、麻薬所持の容疑で懲役3年の判決を受けたが、本人は現在も容疑を否認。チェチェンを支配する親ロシア派のカディロフ首長らによる人権侵害を伝えていたところ逮捕されていた。ロシアの人権団体「メモリアル」は、同氏が「良心の囚人」であると認定した。(10/17 リバティ)

http://www.rferl.org/a/russia-chechnya-geriyev-political-prisoner-memorial/28058778.html


■ISに協力? チェチェン人4人起訴

 ポーランドの都市Bialystokで、4人のチェチェン人がISの資金調達に協力したとして起訴された。ヨーロッパではISがらみで時々チェチェン人が逮捕されているようだ。(10/27 リバティ)

http://www.rferl.org/a/poland-chechens-charged-islamic-state-terrorism/28078132.html


■カディロフ、子どもの格闘技参加で批判される

 カディロフ首長が、自分の3人の子どもをテレビ中継つきの格闘技に出したことで批判が高まっている。映像にはリングの周囲でけしかける大人たちがいる一方、子どもたちが負傷し、流血する様子も。ロシアMMAの代表者は「防具もなしに子ども同士を戦わせることなど決して認められない」と声明。(10/7 インディペンデント)

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/chechnya-leader-sons-mma-for-kids-contest-ramzan-kadyrov-criticism-a7348481.html


■モスクワ劇場選挙事件から14年

 130人が死亡した2002年のモスクワ劇場占拠事件から、10月23日で14年が過ぎた。ドゥブロフカ劇場前では、300人が参加して追悼の集いが行われた。遺族の一人はインタビューに「救出作戦にも、医療にも、その後の捜査にも不満です。政府は欧州人権裁判所が提起した質問のどれにも、答えていません」と答えている。(10/26 カフカスキー・ウーゼル)

http://www.eng.kavkaz-uzel.eu/articles/37336/


■「国連人権委からロシアを外すべき」NGOなど声明

 HRW、難民インターナショナルなどの80団体が、シリアを空爆しているロシアの国連人権委員会メンバーへの立候補は不適切であり、選出に反対する共同声明を発表した。声明の関係者は「ロシアはシリアで、市街地や市民を標的とした爆撃を繰り返し行なっている。このような国が国連人権委の議席を占めるのは疑問だ」と批判している。(10/24 ニューアラブ)

 人権委員会への立候補はロシアだけでなくサウジアラビアも。ロシアはチェチェンに軍事侵攻、シリア空爆で大勢の市民の命を奪い、サウジアラビアは中東最貧国のイエメンを空爆している。こちらは背後にアメリカをはじめとする武器輸出国家群。こんな国々に人権を委ねることはできない。(編集部)

https://www.alaraby.co.uk/english/news/2016/10/24/exclude-russia-from-un-human-rights-council-ngos-demand


■「ロシアの影の戦争 IS参加チェチェン人を根絶 ロシア軍シリア空爆の狙い」

 ロシアのシリアでの空爆が続いている。ロシアが過激派組織「イスラム国」(IS)ではなく、アサド政権に敵対する反体制派への攻撃に重点を置いていることも鮮明になっており、米欧との対立が激化している。当のロシアはあくまでもテロとの戦いを強調しているが、チェチェン系過激派の根絶やしを狙ったプーチン大統領の“影の戦争”が浮かび上がってきた。(10/5 wedge 佐々木伸/星槎大学客員教授)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5450


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#458 プーチン訪日予定、最近のチェチェン報道

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

 日本語でのチェチェン報道をピックアップしてお届けします。本文は記事のURLをご覧ください。


プーチン露大統領:東京行き調整 12月、山口での首脳会談翌日

 10/13 毎日新聞 ロシアのプーチン大統領が12月中旬に訪日する際、山口県長門市での首脳会談の翌日に東京に立ち寄る案を両国政府が検討していることが12日わかった。日露外交筋によると、多数の財界人がプーチン氏に同行する見込みで、ロシア側は経済会議を開くために東京訪問も必要だと主張。日本側は北方領土問題などを静かな環境で話し合う点を重視し、山口訪問に特化したい考えとみられ、両政府間で今後調整する。
 日露両政府は9月2日にロシア極東ウラジオストクで首脳会談を開いた際、プーチン氏が12月15日に日本を公式訪問すると発表。安倍晋三首相の地元山口県で会談する以外には、期間や日程に触れていなかった。

http://mainichi.jp/articles/20161013/ddm/002/030/043000c


ヒョードルの次女が襲われる チェチェンの独裁者カディロフ派の犯行か

 【モスクワ時事 10月13日】日本でも活躍したロシアの元総合格闘家エメリヤーエンコ・ヒョードル氏(40)の次女ワシリサさん(9)が、モスクワの路上で何者かに胸部を殴打され、病院に搬送された。ロシアのメディアが12日に伝えた。
 ヒョードル氏は、南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長(40)を批判しており、国内では、カディロフ派が襲ったとの見方が広がっている。

http://news.livedoor.com/article/detail/12139066/


アレッポに蘇るチェチェンの悲劇

 10月14日(金)11時00分 ニューズウィーク日本版 マーク・ガレオッティ(ニューヨーク大学教授)

 街は爆撃で瓦礫の山となり、人々は逃げ、隠れ、廃墟の中で死んでいく。世界が恐怖のあまり傍観しているうちに。
 ロシアの戦闘機が爆弾を落とし、ロシアの銃や発射装置から砲弾やロケットが火を噴く。これがシリアのアレッポの現状だ。少し前まで、チェチェン共和国の首都グロズヌイも同じだった。
 ロシアの対シリア軍事戦略を理解するには、ウラジーミル・プーチン大統領が初めてロシアの最高司令官として戦った、99〜09年の第2次チェチェン紛争を分析するのが賢明だろう。両者はまったく異なる戦いだが、プーチンが反乱勢力を相手にしたときに重視する点は共通している。残虐性の価値だ。
 ロシアは第2次チェチェン紛争によって、残虐さを見せつけることは戦略的に価値があると証明した。グロズヌイは今のアレッポのように、大砲や空爆核兵器に次ぐ破壊力を持つといわれる自走ロケット砲TOS−1「ブラチーノ」でずたずたにされた。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6026.php


■政権批判の記者殺害10年 露紙、真相解明訴え
 毎日新聞10月8日 大阪夕刊

【モスクワ真野森作】ロシアのプーチン政権を批判していた女性記者アンナ・ポリトコフスカヤさん(当時48歳)が射殺された事件から7日で10年になった。実行犯ら計6人が実刑判決を受けたが、殺害を指示した黒幕は今なお不明。ポリトコフスカヤさんが所属した独立系紙ノーバヤ・ガゼータは7日、黒幕の解明に消極的な政府当局を批判する特集記事を掲載し、事件の真相解明を訴えた。

http://mainichi.jp/articles/20161008/ddf/007/030/024000c


■首謀者 今も判明せず ロ紙「国家のうそ」に怒り−プーチン政策批判の記者殺害10年
 10/10 静岡新聞 朝刊

【モスクワ共同】7日付のロシア紙ノーバヤ・ガゼータは、プーチン大統領の対チェチェン政策を批判していた同紙の女性記者アンナ・ポリトコフスカヤさん=当時(48)=が10年前の10月7日にモスクワで射殺された事件について「解明されていない」と訴えた。複数の実行犯に実刑判決が下されたが、首謀者は判明していない。
 同紙は、殺害を指示した首謀者を当局が捜そうとせず「国家の代表は事件が解明されたとうそをついている」と「怒り」を表明した。


■サウジを「破門」? イスラム教内部に新たな亀裂
 スンニ派の盟主サウジを蚊帳の外に置いたチェチェンの国際会議とは

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 By YAROSLAV TROFIMOV 9月27日

 中東ではサウジアラビアが主導するイスラムスンニ派とイランが主導するシーア派の政治紛争が、すでに宗教戦争に変わってしまった。いまやスンニ派内部の神学論争がこの地域に新たな政治的亀裂をつくり出している。その亀裂はロシア南部のチェチェン共和国で行われた、当初はあまり知られていなかった会議の結果として生じたものだ。
 チェチェンの指導者ラムザン・カディロフ首長は、スンニ派の流れをくむ「スーフィー」の信奉者だ。この異端で神秘主義的なイスラム信仰の分派は、サウジが求める厳格なイスラム主義と長く対立している。サウジの主流派は、18世紀のイスラム法学者ムハンマド・イブン・アブドゥル・ワッハーブの教えに基づく厳格なイスラム主義(同じくスンニ派に属し「ワッハーブ派」と呼ばれる)を信奉する。...
 しかし、ロシアが昨年からイランと同盟を組むシリアに介入し、新たに中東への影響力を強めたのに刺激され、カディロフ氏は8月下旬にチェチェン共和国の首都グロズヌイで開いた会議に、イスラム世界で最も有名な指導者の一部を招き入れることに成功した。

http://jp.wsj.com/articles/SB12281053434115554903104582336861633789988


■米国:NY爆発容疑者、アフガンから移住 テロ「自己喪失」共通 イスラム教と西洋文化、葛藤
 09/28 毎日新聞 夕刊

【ロサンゼルス長野宏美】米東部ニューヨークの繁華街などで起きた爆発事件は27日で発生から10日を迎えた。捜査当局の調べで、殺人未遂容疑などで訴追されたアフガニスタン系米国人の男が過去、イスラム教の教えと西洋文化との間で、アイデンティティーを巡る葛藤があったことが判明。...米メディアによると、今回の事件のアハマド・カーン・ラハミ容疑者(28)の父親はアフガン南部カンダハル出身。...
 13年のボストン・マラソン事件の容疑者はチェチェン系米国人。昨年12月のカリフォルニア州と今年6月のフロリダ州の乱射事件の容疑者も、イスラム教国から移住した親の下で米国で生まれた。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、これらの事件の容疑者について、「(イスラム教と西洋文化の)二つの世界のどちらにも適応できなかったことで、意味のある人生を見つけられず、容易にイスラム過激派の殉教思想に取り込まれる」と分析した。

http://mainichi.jp/articles/20160928/dde/007/030/024000c


■ロシア下院選、与党圧勝、4分の3確保、プーチン氏基盤強化。
 09/20 日本経済新聞 朝刊

 【モスクワ=古川英治】ロシア中央選管は19日、下院選(定数450)で与党・統一ロシアが343議席を確保したと発表した。事前の苦戦予想に反して比例代表で50%強得票し、議席の4分の3を支配した。無党派層の関心が低く、投票率が過去最低に落ち込んだことが同党に利する結果となった。プーチン大統領は2018年の次期大統領選に向け、権力基盤をさらに固めた。...
 地方で不正疑惑 モスクワなど主要都市と地方での投票行動のズレも目立った。統一ロシアのモスクワでの比例代表の得票率は37%にとどまった半面、南部カフカスチェチェン共和国では得票率が96%に達した。有力紙ベドモスチ紙は、地方では行政圧力などを使った不正が報告されていると伝えた。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO07422490Q6A920C1FF8000/


チェチェンと医療交流

 メディカルツーリズム・ジャパン 09.26
 チェチェン共和国立がんセンターと国際医療交流、医療開発の協力に関わる提携調印を行いました。
チェチェン共和国立がんセンターとメディカルツーリズム・ジャパンは国際医療交流、医療開発の協力に関わる提携調印を行いました。 チェチェン共和国の医療発展の為に当社は尽力いたします。

http://jp.medical-hokkaido.com/press.cgi


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#457 映画『あの日の声…』DVD化とその解説

チェチェンニュース(転送・転載歓迎)

 第二次チェチェン戦争を描いた映画『あの日の声を探して』がDVD化されました。レンタルもできるようなので、見逃していた方はぜひこの年末年始にご覧ください。

DVD公式サイト: http://dvd.gaga.ne.jp/ano-koe/

 この映画の劇場パンフレットのために書いた解説文を見つけたので、この機会に掲載します。映画とあわせて読んでくださればと思います。


■私たちとチェチェン ―『あの日の声を探して』をより深く理解するために―

 大富亮(チェチェンニュース発行人)


 映画『あの日の声を探して』の舞台であるチェチェン共和国は、ロシア連邦を構成する国の一つで、黒海カスピ海に挟まれた、コーカサス山脈の北側にある、岩手県くらいの大きさのごく小さな国だ。

 ここには、独自の「チェチェン語」を話すイスラム教徒のチェチェン人100万人ほどが住んでいる。約400年前の帝政ロシアの時代から、北コーカサス地方に対する軍事侵攻が始まり、激しい抵抗ののち、チェチェンロシア帝国に併合された。しかし独立は人々の悲願であり、1991年のソ連邦崩壊をきっかけに、当時のドゥダーエフ大統領のもとでチェチェンは独立を宣言した。その後ロシアとの間には二度の軍事衝突があった。

 この映画は、1999年に始まった、いわゆる「第二次チェチェン戦争」をめぐる物語である。

 この年の9月、ロシア各地の都市で謎の爆弾テロ事件が続発し、プーチン首相(現大統領)は、「犯人はチェチェン人であり、すでにチェチェンに逃亡した」と断定して、いきなりチェチェンへの無差別な空爆と地上軍の侵攻に踏み切った。いまだに犯人は逮捕されていない。

 これによって、およそ20万人の民間人の命――チェチェン人の5人に1人が殺されるという人道の惨禍が起こった。この「テロとの戦争」の残虐な内実を、私たちはこの映画によって目撃することになる。主人公であるEU職員キャロルが、戦争で孤児となったハジと出会うイングーシ共和国には、当時30万人ものチェチェン難民が流入していた。映画はその混沌とした様子を、コーカサス山脈の見えるグルジアでのロケと、多くのチェチェン人の出演と、陰影の深いフィルムによる撮影によって、きわめてリアルに描き出すことに成功している。

 一方、ロシア軍に徴兵された青年コーリャの悲劇も、この戦争の一つの現実だ。実際に徴兵された多くのロシアの若者たちが、ろくに訓練も受けないままにチェチェンに連れて行かれ、命を落としてきた。軍の内部は腐敗しており、映画に描かれるような新兵に対するいじめも横行している。

 ロシアが、こうまでしてチェチェンの独立を認めない理由は何なのだろうか。ひとつには、コーカサス地方の豊富な地下資源を手放したくないためだ。しかしそれ以上に、チェチェンを独立させれば、他の共和国に波及して、ついにはロシア連邦の崩壊につながるのではないかという危機感がある。経済崩壊を経験したロシア社会は、かつての超大国としてのプライドを大きく傷つけられた。その上、チェチェンのごとき少数民族まで西側陣営に走ることは許せない――つまりはメンツの問題であり、ここにはチェチェンの人々や歴史についての考察は何もない。その結果、あのような残虐な戦争につながっていくのである。

 「コーカサスのフランス人」。ある人がチェチェン人の姿を評した言葉である。彼らは自由と平等をこよなく愛する民(たみ)。劇中にはチラリとしか現れないが、チェチェンのゲリラはロシア軍が全力をあげてもなかなか倒せなかった難敵で、第一次チェチェン戦争ではロシア軍を完全に追い出して戦争を終わらせた。その一方で「チェチェン人を敵に回せば最悪の敵だが、味方にすれば最良の友だ」というぐらい、信義に篤く、もてなし好きだ。

 ロシア兵士の母親たちが、息子を探しに戦火のチェチェンを訪問するという運動があった時は、チェチェン人たちはゲリラたちも含めて、すすんでロシア人の母親たちを助け、兵士と肉親をロシアへ帰国させていた。この映画の原題は『The Search(捜索)』は、母親を探すチェチェンの少年の探索を指しているが、その逆の探索もあったことを記しておきたい。

 チェチェンの人々の運動能力の高さは、子どもの時から親しんでいる高度なダンスにも現れている。劇中でも、孤児のハジがこっそりと、しかし見事なダンスを踊ったり、難民キャンプに流れてきた人々が、民族音楽にあわせて円舞する場面がある。どんなに苦しくても、いや、苦しい時だからこそ、人々は踊りや歌に没頭して、慰めを見出してきたのだろう。

 国際社会はといえば、このチェチェンの悲惨な状況を知りながらも、わずかな人道援助でお茶を濁すだけだった。キャロルは最後の望みを託してEU議会でチェチェン戦争の現実を訴えるが、まばらに議席につき、たいした関心も示さない議員たちの姿は象徴的だ。あの時、私たち日本人は、議員たちのさらに後ろに座っていたといってもいい。

 じつは殺戮が続いていた1999年11月、日本の政府系金融機関である国際協力銀行は、資金難のロシア政府に対して7億ドルのアンタイドローン(使途を定めない融資)を行なった。表向きは産業近代化のための融資として。しかしロシア軍による人権侵害が国際的な問題だった時期に、あえて巨額のフリーハンドの資金を与えたことは、軍事侵攻を容認する「ゴーサイン」の役割を果たした。ある意味で、私たちもチェチェンに対する戦争に加担していたのである。

 その後、アメリカでの9.11事件をきっかけにして、アメリカ政府もまたイラク、アフガンで「テロとの戦争」にのめり込んでいく中で、チェチェンは孤立を深めた。そんな中、精強だったチェチェンのゲリラもじりじりと敗退し、今は親ロシア派のチェチェン人、ラムザン・カディロフ首長がチェチェンを暴力で支配している。

 物語の中で、次第にキャロルは国際社会というものに幻滅していく。だが、彼女のようにチェチェンの苦しみに深く共感した人が、国際社会は単なるパワーゲームに過ぎず、チェチェンのような小国に生きる道などないというようなシニシズムに染まって、官僚としての出世だけを目当てに人生を送ることはないと思う。

 彼女が立場を離れてハジとともに生きる決意をしたように、少しづつでも、私たちが無関心でいることをやめて、手を差し伸べることで、チェチェンの悲しい現実を変えることはできる。そう信じたい。映画のエンドロールは流れ終わっても、チェチェンの物語――歴史は今も続いている。救いを求めるハジやライサ、そして無数の子どもたちとともに。

2014年12月28日



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#456 新刊書籍『チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム』

チェチェンニュース

 チェチェン問題を研究している富樫耕介氏(ユーラシア研究所・研究員)の著書『チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム』が、12月28日に明石書店から刊行されます。主に、第一次〜第二次チェチェン紛争戦間期に焦点をあてた研究書とのことで、あまり知られていなかった時期に光をあてる一冊になりそうです。ぜひ多くの方に手に取っていただきたいと思います。

 以下は出版社による書籍の情報です。

 
 『チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム』
  富樫 耕介 著 明石書店刊 本体7,000円+税

 ソ連崩壊に伴いロシアで唯一紛争へと発展した民族問題であるチェチェン紛争チェチェンではなぜ平和定着に失敗し、紛争が再発したのか。第一次紛争と第二次紛争の移行過程に着目し、チェチェンが「二重の対立構造」を抱え「複合的ディレンマ」に陥っていたという紛争のダイナミズムを明らかにする。日本で唯一のチェチェン紛争を主題とした本格的研究書。

目次
序章
第1章 比較と理論の中のチェチェン紛争――本書の分析枠組み
第2章 第一次チェチェン紛争とその後の課題
第3章 マスハドフ政権の平和定着の試みと挫折(1997−99)
第4章 平和定着の失敗の多角的検討
終章

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