No.283 ロシア軍2万人がチェチェンから撤退か?
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- 作者: ヘレン・カルディコット,クレイグ・アイゼンドラス,植田那美,益岡賢
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2009/03/28
- メディア: 単行本
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- ロシア軍2万人がチェチェン撤退か?
- ロシア下院議長、チェチェン撤兵を検討へ
- プーチン・カディロフ会談と経済危機
- スリム・ヤマダーエフがドバイで殺害された
- 「4月に大規模作戦を予定している」チェチェン独立派戦士がNGOに語る
- ヴォルガドンスクの9年後
- 北朝鮮をめぐる動きについて思うこと
- イベント案内
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■ロシア軍の一部がチェチェン撤退か? (まとめ:大富亮)
このところチェチェンに関しては浦島太郎のような状態で、ぼんやりとしているときに入ってきたニュースが、これは多分重要なものだなあ、と感じ、おもむろにチェチェンニュースを書いている次第です。
それで、最近手に入れたいくつかの記事をつないでいく形で、このニュースを考えてみます。
●ロシア下院議長、チェチェン撤兵を検討へ
(共同通信)ロシアのグリズロフ下院議長は26日、南部チェチェン共和国の治安状況が大幅に改善したとし、「経済危機の中、大部隊を駐留させる必要性について評価しなくてはならない」と述べ、連邦内務省軍の撤退を検討する方針を明らかにした。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090326/erp0903262329009-n1.htm
それはもう、是非そうしてほしいですね! こういう話は過去にも何度かありましたが、このところ聞いている話とかと総合すると、たしかにチェチェンでの戦争は下火になってきたんだな、と思います。各紙とも同様の記事を掲げています。
なお、撤退するのは全駐留軍のうち2万人で、数はわかりませんがかなりの部隊がチェチェンに残ります。完全撤退ではありません。
公式には「対テロ作戦」は、2001年に終了したと告知されてきたのですが、今になって何を言うのだろう?
また、どの記事も理由が「経済危機」と書いてあるので、本当にそういうものだろうかと疑問を持ちました。確かに経済は悪いのですが、第一次チェチェン戦争はもっとひどい状態で(通貨危機と生産減が続いてGDPが2/3に落ち込んだ)やって、その時の借金を返しなつつ第二次戦争を始めたくらいなので、ロシアが戦争する時は経済はあんまり関係ない気がします。
なにより、全紙に同じ情報が載るところが、まず怪しい。
しかしここは経済危機説もとっておきつつ、次の記事を読んでみます。訳はひどいと思います。
●プーチン・カディロフ会談と経済危機
プーチン首相とラムザン・カディロフ(チェチェン親ロシア派大統領)の定例会談が3月20日に行われ、プーチン首相はチェチェンの経済状況を話題に載せた。カディロフはこれに対して「経済はロシアで一番安定してますし、経済危機の影響がもっとも少ない地域です。(チェチェンで最近起こった)地震の影響や失業率の問題はじき解決されるでしょう」と答えた。
こういう場面がわざわざ放送されるのは、政府のきまぐれな思いつきの類ではない。とりわけ、ロシア連邦中央と地方の関係が緊張しているような時には。
普通の視聴者や読者は、「この調子なら、チェチェン復興への支出はぐっと減らせるんじゃないか?」と思うだろう。プーチンも、一時的な困難はすぐ克服できるだろう、という見通しを口にする。「いくつかのプロジェクトをリスケジュールするべきだが、どれ一つとして諦める必要はない」と。
一方、カディロフが連邦財務省から金を引き出すべく、ひどく苦労しているのも見逃せない。たとえば、今月初めにコーカサス・ノット(ロシア人権団体の連合サイト)が報じたところでは、資金不足のために、チェチェンのいくつかの工場が閉鎖され、工事延期になった現場もあるという。とくに目立つのは、首都グローズヌイのレニンスキー地区の300室の集合住宅の現場が停滞していることだ。また、発電・送電施設や、アルグンの自動車工場などが資金不足のために操業停止している。
共和国中で給料の遅配が起こっており、昨年12月分の給与がようやく支払われたとか、給与そのものが半分以下に減らされたという報告もある。
これらはとりたてて大きな問題ではないーーロシア中どこでも状況は似たり寄ったりだからだ。しかし、チェチェン人は他のロシア市民よりはるかに、不平を口にする機会も権利も少ない人々である。
会談はなんともアジア的なもので、「白い」支配者と「色つき」の農奴の関係を思わせるものがあった。カディロフがこう言う:
「そうなんですよ、財務省とわれわれは、何て言いましたっけ、いい関係でして」
プーチン:「友好的?」
カディロフ:「友好的! それですよ、プーチンさん」
会話はグロズヌイに造られたアフメドハッジ・カディロフ・モスク(カディロフの、暗殺された父親にちなんでいる)に及んだ。
プーチン:そうだね、詳しく聞こうか。モスクはもう完工しているのかな。見たところそれなりの規模のイベントを開いているようだが。
カディロフ:ええ、モスクは作ってまして、宗教活動ができるようになってます。みんな、あなたのお陰だって理解しています。預言者の生誕を祝ったり。そりゃすばらしいですよ。ありがとうございます、あなたはモスクを作ってくれた最初の大統領です。
プーチン:で、もう完工しているのかな。
カディロフ:もちろんです。感謝するばかりですよ。
http://www.watchdog.cz/?show=000000-000004-000002-000075&lang=1
なんだか浪費癖の甥が金をせびりに来たとか、そういう落語みたいです。
しかしやっぱり、カディロフはじめ、チェチェン親ロシア派の金づるは、連邦予算しかないとは言えると思います。今回の撤兵にはどう関係しているのか? そして、時としてそういう人たち同士がいがみあうとどうなるかというと、、、
●スリム・ヤマダーエフがドバイで殺害された
3月28日、チェチェンの親ロシア派野戦司令官で、同じく親ロシアのカディロフ大統領と対立していたスリム・ヤマダエフ(36)が、中東ドバイで滞在していた集合住宅の駐車場で死亡しているのが発見された。現地の警察は、殺人の疑いが強いとして捜査を開始している。ヤマダエフはここ4ヶ月、ドバイに滞在していた。スリムの兄弟で、ロシア上院議員だったルスランは昨年9月、モスクワ市内で銃殺されているが、この事件も未解決のままである。
http://www.themoscowtimes.com/article/600/42/375769.htm
カディロフの政敵ヤマダエフが何者かに殺されたというニュース。これはロシアが殺したか、チェチェン親ロシア派同士の内輪もめというところでしょう。水面下ではこういうこともつづいています。
経済危機説も理由の一つではあるのでしょうが、何かそればかり見ていると他にありそうな気がする、ということで調べてみましたが、例によって結論は見えてきません。逆にチェチェンゲリラの声も聞いてみましょう。
●「4月に大規模作戦を予定している」チェチェン独立派戦士がNGOに語る
(プラハ・ウォッチドッグ)
3月25日に、ロシア議員団がチェチェンの首都グロズヌイを訪問し、親ロシア派のラムザン・カディロフ大統領との会談の場で、チェチェンにおける対テロ作戦の終了が公表された。31日にもロシア連邦レベルで決定が下される見込みだ。
ところでわれわれは、ムジャヒディーンのメンバーに電話で連絡をとり、今後の作戦予定を取材することができた。チェチェンではよく知られたフセイン・ガカーエフ司令官(28)である。コールサインは「クテイブ」。本名はアスランといい、チェチェンのヴェデノ地区出身だ。
電話取材の冒頭で、アスランはスムーズなロシア語で会話できないことを詫びた。戦争によって十分なロシア語の教育を受けられなかったという。
プラハ・ウォッチドッグ(以下PW):ラムザン・カディロフは、チェチェン山岳部にはすでに70人以下のゲリラしかいないと言っているが、この数字についてどう思うか?
クテイブ:まったく嘘ばかりだ。われわれのゴルノ・シャリスキー方面だけでも60人のムジャヘディーンがいる。ほかにもそういう勢力がいるんだ。ラムザンとか、えせ信者や無神論者たちはそういうのをどう言いくるめるのかね。まあ神のお陰で、われわれは精強だし人数も数百人いるし、それ以外にも、戦闘に参加したがっている若い者も多い。
こっちでは若者は戒律に忠実だよ。みんなロシアの憲法なんかより神の言葉の方が大事だってわかっているさ。われわれの憲法はコーランなんだから。ラムザンなんて、いないようなものさ。プーチンやメドヴェージェフだって、どうも現実感がないな。やつらは自分たちに向かって話しているようなもんさ。
PW:ロシア議会の安全保障委員会が、「チェチェンの状況は著しく好転している」と言っている。地下の勢力は壊滅していて、当局にとってはまったく脅威でないと言うんだが?
クテイブ:アラーにかけて言うけれども、ムジャヒディーンはまったく弱っていない。繰り返すがわれわれは十分な人数がいて精強だ。今年2009年は勝利の年になるだろう。2003年から05年にかけては若者の募集が進まなかったんだが、今はすすんでやってくる。コーカサスに、アラーの他に神はないって真理を行き渡らせようとしているんだ。
PW:ロシアのグリズロフ下院議長は、経済危機が起こっているから、チェチェン駐留の連邦軍を減らすと言っている。撤兵があったら、カディロフは自分の勢力を維持できるだろうか?
クテイブ:カディロフはそもそも小物だが、ロシア軍が撤退するとなれば、やつは心臓を失うようなものだな。やつらの精神は弱い。以前はロシア人たちが掃討作戦をしていた。今はそれをカディロフ一派がやってるわけだが、実際弱いんだ。根性がないからだな。知っているか。やつら働きに行かないんだ。経済危機とやらで金が払われないから。顔を合わせればチェチェンから逃げ出す話ばっかりさ。
PW:今年が「勝利の年」になるという根拠は?
クテイブ:ここ2年間、ノジユルトや、ベデノ、シャトイの山間部の村で生活していた。そういうところでは、ムジャヒディーンはおおっぴらに活動している。いまじゃ生活だって堂々としているんだ。それまではそんなことできなかった。民衆がわれわれを理解して、支援してくれているからだ。
PW:だがカディロフはロシアを味方につけてる。資金、兵力、武器、どれをとっても君のところの千倍はある。
クテイブ:そうだな。やつにはプーチンとメドヴェージェフがいるし、軍がいる。だがもし奴らがアメリカを味方につけたって、神はこちらにいる。われわれには信仰があるし、武器もある。それは祈りだ。資金もそれなりだ。全員がドッカ・ウマーロフ(司令官)を支えている。彼は愛すべきわれわれのアミールだ。
PW: すでに春季・夏期の作戦には入っているのか?
クテイブ:3月中に、ムジャヒディーンは全員森から出てきて、村の近くで生活している。普通に車で移動しているが安全性に問題はない。4月は大規模作戦を実施する。ベデノ、グロズヌイではすでに着手している。詳細は話せない。
PW: カディロフ一派にも協力者はいるか?
クテイブ:もちろんだ。彼らの中にもこちらのアミールに連絡をとって、われわれのために働いているものがいる。主に情報提供だ。それもあって、去年はカディロフを追い詰めたこともあった。
http://www.watchdog.cz/index.php?show=000000-000005-000004-000172
なんと言っていいかわかりませんが、ロシア軍の撤退それ自体は、山のゲリラにとって悪い材料ではありません。
今回のニュースには盛り込めませんでしたが、イングーシとダゲスタンでは複数の民間人の遺体が発見されるなどというニュースもありました。ですから、チェチェンだけを見ている、まるでコーカサスが平和に向かっているように見えてしまうかもしれないのですが、今後もモニタリングが必要だと考えています。
次の記事は、1999年にロシア各地のアパートが連続爆破された事件の後日譚です。リャザンの一件はつとに有名ですが、ヴォルゴドンスクという小さな街で、その事件のあとどんな変化があったか、ということを克明に記録する、ノーヴァヤガゼータ紙の記事です。
ご多分に漏れず、この事件も解決されていません。
ミラン・クンデラの言葉だったでしょうか、『権力に対する民衆の闘いは、忘却に対する記憶の闘いである』というのは。今は重要な事実を掘り起こして、次の運動につなげていく時期のように思います。
■ヴォルガドンスクの9年後
(3/18 ノーヴァヤ・ガゼータ エレーナ・コスチェンコ記者)
あの猛烈な爆発が起きてから9年の間、その町の生活がどうなったかに関心を抱くものはほとんどいなかった。この町にテロ事件などなかったということになったらしい。
1999年9月16日午前5時58分、ヴォルガドンスク市の住宅街でヘキソーゲン爆薬を積んだトラックが爆破された。その威力はTNT火薬2トン分ということだった。それで39棟の住宅が破壊され、1万5,280人が被災した。この人数は全市民の10分の1にあたり、他のどのテロ事件よりも被害者数が多かった。うち、19人が死亡。普通なら死者はもっと多いはずだったが、不幸中の幸いは、爆心にあった住宅の建物の耐震性が高かったことだった。
2004年の1月2日に、モスクワ市裁判所は 非公開の裁判で北コーカサス出身のアダム・デクシェフとユスフ・クリムシャムハロフをヴォルガドンスクとモスクワの住宅爆破の罪で終身刑とした。そのたった二人が、国が示した犯人のすべてだ。
国はこんなテロ事件のことはさっさと忘れるべきだという。しかし、どうして忘れることができようか?
私はヴォルガドンスク市をニーナ・クラフツオワと一緒に歩き回った。彼女はやたらに何でもないところでつまづき、わたしはどうやら間に合って支えてやる。爆発のあと視神経麻痺が始まったからだ。彼女には世界の8%しか見えていない。
ここの人たちの共通点は何か? 大きな声で話すことだ。ほとんど全員の耳が遠い。みんな眼鏡をかけており、いつでもパスポートを所持している。見ず知らずの人にも遠慮なく病気のことを話す。誰の話もテロ事件のことから始まる。
今でもガラスが身体から突き出してくることを熱心に話す人がいる。「まず、肌がむずむずしてきて、吹き出物かなと思っているうちに、キラキラしたものが出てくる」と。
起こりっぽく、すぐいらいらする。大きな音にぎょっとする。目覚まし時計もしないのに、毎日6時に目覚める。それがヴォルガドンスク市民だ。
爆発が起きた場所には何もない。事件のあと壁の残骸をむき出しにしていた住宅は今、明るい色の金属製の板に覆われている。壁のパネルの隙間を金属が埋めている。住宅のあいだの空き地にテロ事件の犠牲者の記念碑が建っている。それは頭を膝の間に隠した人物像だ。そばにプラスチックの花輪がおいてあり、生花はもうずっと前に絶えている。
この事件を経験した人々は、その悪夢の舞台装置の中で眠りにつき、また目覚めることを繰り返している。爆破された住居V−YとV−16は特別な耐震構造だった。それで、爆心にあった住宅はトランプの家のようにつぶれてしまわず、骨組みが耐え抜いて人々は救われた。そして生き残った人々はその記憶の虜となった。
ヴォルガドンスク市は爆破された住宅を修復し、被災者は元の住宅に戻らせることを決定した。反り返った壁を無理やり継ぎ合わせ、隙間を漆喰で埋めた。オクチャブリ通り355番の家までーーこれは事件の直後に専門家が「直ちに撤去しないと崩れる」と言った家まで修復して使わせた。
実際、ほとんどすべての住人がもといた家に戻った。他にどうしようもなかった。ある娘は最初の半年は夜な夜なベッドにじっと座っていた。壁がいつ倒れてくるかと恐れていたのだ。トゥトーエワさんは左足を爆破で負傷し、いま、やっとの事で壁に近寄ってみて壁を叩いてみる。うつろな木材の響き。これだけで崩壊から守っている。
元住民たちは集会を開き、住宅に戻るのを拒んでみた。これに対する答えは元の住宅に戻らないならホームレスになるということ。住宅供給の責任者イシチェンコは最大の敵だ。この男は頭がはげていて目が飛び出しているが、彼のせいでたくさんの偏執狂が生まれた。
精神科医の話では、人々が家に戻されたあと、精神科には被災者の列ができた。誰もが、頭のはげた目の飛び出した男を見るなり殴りつけて目をむくような目に遭わせたいという押さえがたい欲求にとらわれたのだ。
それでもどうしても再建できない部分があった。モスクワでは、ルシコフ市長が被災者のための住宅建設の資金を提供した。その「ルシコフの家」に入ろうとして、被災者たちは喧嘩にならんばかりだった。しかし、完成した119の住宅のうち45はまったく事件と無関係の人たちが入居した。軍人、連邦保安局(FSB)職員、検察官、裁判官、原子力発電所管理部勤務など。もっとも「ルシコフの家」はそれほど住みよいものではなかった。壁にはひびが入り、ある家では壁から手を突き出して外気温を知ることができるほどだ。
夕方、一緒に行動しているクラフツォワがコーヒーを買いに外に出て、私は文書をしらべるために残っていた。彼女は出がけに、何も怖がってはいけないと言い置いた。
彼女の犬が、閉まったドアに向かって吠えている。はじめは自信なさそうに、それからだんだん大声になってますます大声になり、うなりはじめた。床に伏せ、爪を立て、穴を掘ろうとしているかのようだ。そのあとうなり声がうめきに代わった。家の奥深くからきこえてくるような。壁はきしみひび割れていく、犬は横倒しになり身体をけいれんさせている。
10分後にニーナが戻ってきた。その頃には犬はもう吠えているのではなく、のどがかすれている。ニーナは身をかがめて習慣的に頭をなでている。「うちの犬は狂っているの。皆、犬を安楽死させたけれど、わたしにはできなくて」
ヴォルガドンスクではテロ事件でペットも被災者なのだ。
http://www.novayagazeta.ru/data/2009/027/
(訳 T.K. 次号につづく)
■北朝鮮をめぐる動きについて思うこと
最後に、北朝鮮関連です。日本にいて平和の問題を考えたり、少しでも関わったりすると、どうしても朝鮮半島問題は避けて通れないような気がしてきたこの頃です。
引用を続けると、『私たちは、私たちの〈敵〉による行為よりも、私たち自身の行為に、もっとも重い責任を負わなければならない』と言ったのはチョムスキーでよかったと思います(汗)。
近い問題に目をつぶっていると、いつの間にか家の前の道路を一発5億円のミサイルを積んだトラックが走り回ったりすることになります。いや、もうなりました。
チェチェン問題という視点から今日の日本の状況を見ると、二つの相似点が見えてきます。
ひとつは、声高に叫ばれる、もしかしたら日本人にありがちなのかもしれない朝鮮人への憎悪感情が、ロシア人のチェチェン人嫌いに通じて見えること。つまりやつらはみんなテロリスト。将軍様マンセー。
もうひとつは、歴史の中での始点の設定の恣意性というんでしょうか。金日成、金正日といった北朝鮮の指導者への尊敬を私は持ち合わせないのですが、彼らが独裁権力を握るにいたった前提が日本の植民地支配だったのは間違いのないところで、拉致問題が問題の出発点だと考えるのは、あまりに都合がよすぎると思うのです。
チェチェン戦争で言うと、16世紀に帝政ロシアがチェチェンやコーカサス地域を侵略した歴史を無視して、せいぜい1990年代からの歴史だけを見るなら、チェチェン人は過激な分離主義者というような見方しかできなくなってしまいます。
歴史上こじれた問題を、また力で解決しようとすることの問題を感じずにいられません。
長くなってしまいました。もう一点だけ。私は仕事をしながらNHKのFMを聞いていることが多いのですが、最近ニュースの時間になるたびにミサイル防衛システムの話ばっかりで、これはメディアが煽りすぎもいいところだと思います。
そもそも、ミサイル防衛システムは未完成というか、まず完成する見込みのないシステムです。この点については「当たらないだろう」という某「政府筋」が正しい。この点はどうしてNHKがラジオで報道していないのか疑問です。
まだ出版されたばかりで詳しい紹介ができないのが残念なのですが、作品社から出た『宇宙開発戦争〈ミサイル防衛〉と〈宇宙ビジネス〉の最前線』(ヘレン・カルディコット/クレイグ・アイゼンドラス著 植田那美/益岡賢訳)は、この問題を考えるための必読書になると思います。ぜひご一読ください。
https://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/book/shakai/tanpin/22162.htm
アメリカの国家情報長官さえ「北が発射しようとするのは人工衛星」と判断しているとか。今の日本の空気は、確かに異常です。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2009/03/11/0200000000AJP20090311000400882.HTML
このメールの末尾に、明日の防衛庁前での抗議行動についての案内を掲載します。私もできることを考えて行きたいと思います。
(大富亮/チェチェンニュース)
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■イベント
4/1 市ヶ谷:「迎撃」名目のミサイル防衛発動を許すな!4.1 防衛省行動
北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」に対して、
自衛隊のミサイル防衛システムが動き始めた。
戦後初の戦闘準備態勢に抗議の声を上げよう(このメールの末尾に詳細あり)
http://www.geocities.jp/nomd_campaign/boueisho090401-2.html
4/16 渋谷:アジア記者クラブ4月定例会
「経済恐慌下、日本の貧困はここまできている」
高校生の10人に1人が学費を滞納するなど、
貧困が日本社会に加速度的に広がっている。
10年にわたって貧困の現場を取材した毎日新聞の東海林智記者
からの緊急報告。
4/18 大崎:ユーラシア研究所20周年記念シンポジウム
「よみがえるユーラシアーその光と影」
亀山郁夫「黙過-ドストエフスキーと現代」、
月出皎司「露呈したメドベージェフ・プーチン「タンデム」政権の弱点」
前田弘毅「グルジア問題(仮)」
http://www.t3.rim.or.jp/~yuken/
5/30 渋谷:広瀬隆講演会
「二酸化炭素温暖化説はなぜ崩壊したか エネルギー消費の正しい解決のために」
揺らぐ二酸化炭素温暖化説を科学的に議論する。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090327/1238165947
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http://d.hatena.ne.jp/al-ghad/archive
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■映画・写真展など
●『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン
● 『★CHEチェ 28歳の革命 39歳別れの手紙』
カストロとともにキューバ革命を成功に導いた、
チェ・ゲバラの生涯をソダーバーグ監督が映画化
●『ビリン・闘いの村』
パレスチナ暫定自治区、ヨルダン川西岸のビリン村。
若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。
http://www.hamsafilms.com/bilin/
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発行部数:1577 発行人:大富亮
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以下、転送です:
………………………転送・転載歓迎/重複失礼…………………………
● 「迎撃」名目のミサイル防衛発動を許すな!4・1防衛省行動
◇4月1日(水)午後6時 集合 午後6時15分より(7時頃まで)
◇防衛省正門前
最寄り駅:市ヶ谷(JR、有楽町線、南北線)、曙橋(都営新宿線)
※要請書を読み上げて防衛省職員に手渡します。横断幕などを掲げて
アピールし、各地からの発言なども受けます。遠方からも事前に要請
書をお送りいただければ、一緒に提出します。プラカードや鳴り物持ち
寄り歓迎。
飛来するミサイルを撃ち落すとされる「ミサイル防衛(MD)システム」
の初の実戦運用が開始されています。戦後初めて臨戦態勢が敷かれました。
しかも、自治体や住民を、この臨戦態勢に巻き込もうとしています。
この運用は、4月4日から8日に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が
打ち上げようとしている「人工衛星」を「ミサイル」とみなし、それが日
本に落下する場合に備えるという名目で行われています。しかし、元々信
頼度の低いMDを用いて、打ち上げ失敗により突然落下するロケット部品
を撃ち落すことは事実上不可能です。
ロケットが日本に向けられたものでないことは明らかにもかかわらず、
その迎撃を想定した今回の実戦運用は、米国向けミサイルを撃ち落すとい
う、憲法で禁じられた集団的自衛権の行使をも射程に入れたデータ収集と
予行演習となる恐れもあります。
今回、北朝鮮は宇宙条約に加盟して事前通告などを行い、「人工衛星」
発射の正規の手続きを踏んでいます。「『人工衛星』も『ミサイル』も実
質的に同じで脅威」というなら、日本の人工衛星も周辺国への「脅威」と
なってしまいます。
北朝鮮のミサイル開発が、日米による北朝鮮敵視政策の結果であること
も指摘せざるを得ません。日米のMDシステムも、米軍による北朝鮮への
先制攻撃への反撃として発射されるかもしれないミサイルの迎撃を念頭に
置いて配備されています。北朝鮮の対抗策が、今回のMD初運用をはじめ
とする日米のさらなる軍備強化をもたらしてしまう悪循環が続いています。
いたずらに「不安と恐怖」を煽り、MDの正当性を演出する実戦態勢の
発動は、軍需産業を潤し、軍拡競争に拍車をかけるだけなのです。
「迎撃」名目のミサイル防衛の発動を許さず、自衛隊部隊の即時撤収を
求めて、防衛省への要請行動を行います。ぜひご参加ください。
<なお、北朝鮮政府に対しては、打ち上げ中止を求めるメールを送ります。>
呼びかけ:「迎撃」名目のミサイル防衛発動を許すな!4・1防衛省行動実行委員会
平和の声・行動ネットワーク(入間)
パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会
ヨコスカ平和船団
非核市民宣言運動・ヨコスカ
核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
※実行委員会は、首都圏のPAC3が配備された地元の市民団体などで
構成されています。今まで、PAC3の移動展開訓練に反対する防衛
省へのデモ(08年2月3日)や米国での実射試験に反対する防衛省要請
行動(08年9月14日)などに取り組んできています。
[連絡先]核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
(E-mail)kojis@agate.plala.or.jp
(TEL・FAX)03-5711-6478
(HP)http://www.geocities.jp/nomd_campaign/
(第2HP)http://www.anatakara.com/petition/index2.html
以上です。