No.296【緊急】エジプトのチェチェン人学生、強制送還/拷問と虐待の恐れ

 今日、アムネスティ・インターナショナルからの緊急情報が入って来ました。

 エジプトで勉強しているチェチェン人の学生が、ロシアに強制送還されそうなのです。最近、ヨーロッパや中東で、チェチェン人を狙った暗殺作戦や強制送還が増えており、これもその一部です。

 詳しい分析は次号にあらためますが、とりいそぎ、エジプト当局にメールとファックスで要請に、ぜひご協力ください。メールの方は、次のメールを送ってください。PDFによるファックス用シートも用意しました。

 くわしい事情は下の方に記してあります。

メールのタイトル:[URGENT] Do not extradite the Chechens!
宛先:moi@idsc.gov.eg
CC: egyptemb@leaf.ocn.ne.jp

本文:
Minster of Interior Minister
Habib Ibrahim El Adly

Dear Minister

I am writing to express my great concern for Maskhud Abdullaev or any other nationals, who would be at risk of torture or other ill-treatment if returned to Russia. I urge you not to forcibly return them.

And I call on you to allow them to meet representatives of the Office of the UN High Commissioner for Refugees (UNHCR) in Cairo to assess their protection needs.

I also urge you to grant them access to lawyers of their choice to challenge their deportation, their families, and provide them with any medical attention they may require.

Thank you for your prompt attention to the above.

Respectfully Yours

あなたの名前:

Cc: Prosecutor General Counsellor Abd El-Megeed Mahmoud
Deputy Assistant Minister of Foreign Affairs for Human Rights
Ambassador of the Arab Republic of Egypt in Japan

end

そして、次のPDF書類をダウンロードして、記入してある4つの番号にファックスしてください。駐日エジプト大使館だけでもかまいません。

http://chechennews.org/dl/donot_chechens_20090622.pdf

A4一枚にすべてパッケージしてあります。ぜひご協力ください!

事情はこういうことです:

UAナンバー:UA153/09      国際事務局発信日:2009年6月17日 AI INDEX:MDA12/025/2009 期限:7月29日 国 名:エジプト ケース:強制送還/拷問と虐待の恐れ

対象者:マスクード・シュピアノヴィッチ・アブドゥラエフ(男性)、22歳、学生、ロシア人
ジーナ・ムスタパエヴァ(女性)、ロシア人
ザリーナ・タルザエヴァ(女性)、ロシア人
ウサム・アクマドフ(男性)、ロシア人
マホマド-アミン・アディカツィエフ(男性)、ロシア人
アクマド・アシモフ(男性)、ロシア人

 エジプト当局は、チェチェン出身のロシア人学生マスクード・アブドゥラエフさんを、カイロ国際空港からロシア・モスクワ行きの6月18日正午の便で強制送還する予定である。もしロシアに送還されれば、彼は拷問や虐待を受ける恐れがある。エジプトは、いかなる人も拷問を受ける恐れのある国へ送還してはならないと明確に定めている国連拷問禁止条約の締約国である。マスクード・アブドゥラエフさんは、父親のシュピヤン・アブドゥラエフさんがチェチェン武装グループのリーダーなので、拷問を受ける危険もそれだけ高い。ほかの5人も同じ日に送還されることになっており、そうなれば彼らも虐待を受ける恐れがある。全員が、カイロに留学する前はアゼルバイジャン難民認定を受けていたと述べている。彼らは現在、カイロ中心部にある内務省管轄の移民局の建物に収容されている。

 マスクード・アブドゥラエフさんは2006年2月からカイロのアル=アズハル・イスラム大学で学んでいる。彼は2009年5月27 日、国家保安情報局(SSI)の職員らに逮捕され、カイロ近郊のトラ刑務所に隔離拘禁された。ほかの4人はカイロ近郊のアル=カナテル刑務所に拘禁されたと思われる。アル=アズハル・イスラム大学に通う留学生を対象とした逮捕が相次ぐなか、ほかにも多数の外国人学生が逮捕された。

 こうした強制捜査のなか逮捕されたほかの4人のロシア人が、2009年6月9日に強制送還された。ロシア連邦保安局とチェチェン治安当局がモスクワ空港で彼らを待ち受けている姿が目撃されている。学生たちは手錠をかけられて尋問のために連行された。彼らのうち3人はその後釈放されたが、残る1人の所在は不明である。チェチェン治安当局によって拘禁され、チェチェン共和国に移送されたものと思われる。

 マスクード・アブドゥラエフさんたちの強制送還は、カイロのロシア領事館とエジプト内務省が手続を進めており、6人の身内や知人の人たちは、カイロからモスクワまでの飛行機の切符を予約するよう指示されている。それ以外の場所へ向かうことは認められていないので、彼らの行き先がアゼルバイジャンになることはない。難民認定を受けているとされるアゼルバイジャンに向かいたいという彼らの要求は拒否されたのである。


背景情報

 2009年5月27日未明に、 SSIはアル=アズハル大学の留学生を相次いで逮捕した。逮捕されたのはおもにチェチェン、イングーシ、ダゲスタン出身のおよそ35人のロシア人学生、およびタジキスタンウズベキスタンカザフスタンパキスタン、イギリス、フランス出身の学生たちだった。学生たちは正当な理由もなく逮捕され、家宅捜索を受けた。エジプト内務省の声明によれば、2009年2月22日にカイロのアル=フセイン歴史地区で死者1名と多数の負傷者を出した爆弾テロが起きたが、その捜査において内務省は複数の留学生がアルカイーダの容疑者7人とつながりがあったのではないかと疑っており、学生たちがエジプトに合法的に居住していることを確認するための予防策としてこうした措置を取ったのだとしている。2009年5月23日、内務省は容疑者を逮捕したと発表し、学生を含む複数の外国人が仲間に引き入れられていたと述べた。逮捕された学生のほとんどは数日のうちに釈放されたが、タジキスタン出身の学生など何人かは故国に強制送還されたと伝えられている。ほかの学生たちは取り調べのため、拘禁されたままになっている可能性がある。

 ロシア連邦では拘禁者が拷問や虐待を受けているとか、当局がこうした報告をきちんと調べたり、責任者を裁判にかけたりできないでいるとかいう報告を、アムネスティ・インターナショナルはたびたび受けている。チェチェンでは、捜査当局者による過度な暴力の使用、拘禁中の死亡、拷問、超法規的処刑、強制失踪、その他の深刻な人権侵害がたびたび報告されている。武装反政府勢力の容疑者の裁判は、公平な裁判に関する国際基準にあきらかに違反している。とくにチェチェンおよびイングーシ系の人たちは、強要された自白や拷問により引き出された証言にもとづき、テロリズム関連の罪で起訴されて有罪判決を受けているという信憑性の高い報告がたびたび寄せられている。

アクション

 英語、アラビア語あるいは母語で、以下のアピール文を作り、航空便、航空書簡(全世界90円)、電報、ファックスあるいはeメールで、できるだけ早く送ってください。同じ内容のアピール文が後に続きます。それをご利用ください。

−ロシアに送還されれば拷問や虐待を受ける恐れのあるマスクード・アブドゥラエフさんたちロシア人を強制送還しないよう、内務省に要請する。
−マスクード・アブドゥラエフさんたちロシア人が、彼らの保護の必要性を見極めるためカイロの国連難民高等弁務官事務所の担当者に会えるよう、当局に要請する。
−国外退去に異議を申し立てるため自ら選任した弁護士に連絡をとったり、家族と面会したりすることを許可するよう、また必要な治療を提供するよう、当局に要請する。

こちらの情報をもとにしています: http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=2453

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