イングーシ反体制派リーダー、またも銃殺される

 2009年10月26日モスクワタイムス

 イングーシの著名な反体制活動家マクシャリプ・アウシェフ氏が、25日に近隣のカバルディノ・バルカリア共和国で銃殺された。同日午前10時、彼が乗車してカフカス道路を走行中のラーダに、何者かが60発の銃弾を打ち込み、同乗していた女性も重傷を負ったと、当局が発表した。

 アウシェフ氏は即死、女性(氏名未公表)は病院に運び込まれた。発表によれば、犯人たちは少なくとも2種類の銃器を使い、銀色のVAZ車から銃撃を行ったのち、逃走した。

 反体制派の Ingushetia.org は、この女性がアウシェフ氏のいとこだとしている。

 HRWのタチアナ・ロクシーナ氏はアウシェフ氏について、「彼が人権活動に参加し始めたのは、2007年に息子と甥が誘拐され、それを釈放させてからでした。彼はイングーシで人権擁護活動を始め、誘拐と闘いました。とても勇気のある人でした。北コーカサスでは、人権擁護活動や野党としての活動をすることは、言ってみれば自殺行為になってしまっているのです」と語る。

 アウシェフは、マゴメッド・エブロエフ(イングーシの弁護士でジャーナリスト、反体制Webサイト Ingushetia.org のオーナー。2008年に暗殺された)とともに働いていた。エブロエフはイングーシ警察に逮捕されたあと、『警官の武器を奪おうとした』ために殺された。のちに裁判所は「逮捕自体が違法」との判断を下した。

 アウシェフは、エブロエフの後を継いで活動を続けていたが、ロシア政府がイングーシのジアジコフ大統領を辞任させたあとで活動から身を引き、ビジネスをしていた。

 ジアジコフの後任となった現在のイングーシ大統領ユヌースベク・エフクロフ大統領は25日、アウシェフ殺害犯を逮捕するために可能な限りの手段をとると発表した。エフクロフ自身、6月に爆殺未遂事件に遭っている。

 エフクロフは「マクシャリプは、イングーシでは非常に尊敬されている人物である。この殺害の目的は、この地域での安定を阻害しようとするものだ」との談話を発表した。ロシアのユーリー・チャイカ検事総長も、直属の組織にこの件を捜査させると声明した。

 アウシェフについては、9月にも誘拐未遂事件が発生している。ingushetia.orgには、親戚や友人たちがアウシェフの家を次々に訪問している様子を掲載している。「マゴメッドやマクシャリプがこんなことになった今、いったい誰が当局に立ち向かったり、真実を語れるというのだろう」とも記されている。

http://www.themoscowtimes.com/news/article/ingush-opposition-leader-shot-dead/388118.html