「ロシアへの愛がなければ」-11.20 アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺追悼映画上映会に向けて

 10月2日に行われたアンナ・ポリトコフスカヤ暗殺追悼三周年の集会の後の夕食会の席で、I新聞社の記者さんから洩れた言葉、「ロシアへの愛がなければチェチェンに関心を持つこともないのではないか」を聴いて、確かにそうかもしれない、と思ったのでした。

 それはこの国でチェチェンの運命に関心を寄せる人があまりにすくない理由でもあるのでしょう。そもそもロシアのことを知っている人、ロシアに関心を寄せるひとがすくないのですから、そのロシア連邦に虐げられている小国チェチェンのことなどどうでもいい、というひとがほとんどなのが、残念ながら日本の現状ではないでしょうか。

 しかし、数少ないロシア文化を愛するひとに、例えばずっとロシアの唄を原語で歌い続ける石橋幸さんがいます。それも、アウトカーストソングと銘打つだけあって、登場するのは孤児や盗賊、ふられた女、ジプシー、亡命者、などなど。

 10月6日(この日付も意味深です)に紀伊国屋ホールで行われたコンサートの第二部のタイトルにもなっていた、「友への祈り」Молись кунак...を最後に聴きました。

 チェチェンのチの字も出てこないし、作詞作曲は帝政時代の亡命ロシア人、ヴェルルチンスキーのはずなのに、この歌詞は、異郷にあるチェチェン人に向けて歌っているとしか思えない。一緒に行ったともだちと、終わってから思わず顔を見合わせてしまいました。

 しかも、聞き慣れないこの кунакという言葉が気になって帰ってから辞書を引いてみたら、研究社、露和辞典によると(カフカスの山地民の間で助け合い、親交の誓いをたてた)盟友-と、書かれているではありませんか。

 ますます、です。ヴェルチンスキーの原曲の歌詞は知る由もありませんが・・・

 これが15年ぶりに出したという石橋さんのCDのタイトルにもなっています。

 石橋さんにお便りしたら、11.20のアンナ・ポリトコフスカヤ追悼映画上映会、『アンナへの手紙』、文京区民センターにもCDをもってきてくださるとのことでした。

 11.20は 300人のホールを、ロシアを愛し、北コーカサスにこころを寄せるひとびとで埋めつくしたいとおもっています。

村山 敦子