【転送・転載歓迎】#317
いよいよ冬になりました。今日の東京は冷たい雨です。
あす20日、東京で『アンナへの手紙』を上映します。連休前なので、他にもいろいろなイベントが開かれます。知人が企画しているものもあるので、これは少ない人の取り合いだあ、と思います。
けれども、たとえ同じ日に、別の場所で集うとしても、信頼関係があれば、互いに紹介しあうことができるわけで、とても素晴らしいことだと思います。社会に関心を持つ人々がたくさん集まり、すべてのイベントが成功する──そんな相乗効果があることを祈るばかりです。
一方、上映会の準備で忙しくしていて、大事な情報をお伝えすることができていません。ロシアからは、また悪いニュースが伝わってきています。昨日のニュースですが、カリニングラードでジャーナリストのオリガ・カトゥンスカヤさんという人が飛び降り自殺したというニュースです。何か政治的な裁判が関わっていたようで、新しいニュースがありしだいお伝えします。
また、16日には、ロシアの反ファシズム運動「アンティーファ」のリーダーの、イワン・フトールスキーさんが、モスクワの自宅前で銃殺されました。年齢はわずか26歳。国家主義者の過激派から脅迫状を受け取っていたそうです。
このニュースを聞いて、すぐに思い出したのは、アナスターシア・バブーロワ記者のポートレート写真でした。今年初めに、マルケロフ弁護士とともに殺された、ノーヴァヤ・ガゼータの記者で、同じ26歳でした。
(写真: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090913 )
彼女も反ファシズム活動家だったそうです。それにしても、こんなきっぱりとした明るい表情の人が、簡単に殺されたこと──いまも彼女のことはほとんど知りませんが、写真を見るだけでいつも胸が苦しくなります。アンナの後を追ってジャーナリストを目指し、社会を少しでもよくしようとした、貴重な人の芽が摘まれてしまったわけですから(ロシアのファシズム運動の動向についてご存知の方はぜひ情報をお寄せください)。
チェチェン問題が続いてきた何年もの間、繰り返されてきたのは、こうして「芽が摘まれる」ということでした。アンナ・ポリトコフスカヤの死は、ごく普通の人々が平和な生活をするという「希望」が摘まれようとしていることの象徴でした。
それだけに、あすの映画を少しでも多くの人に見てもらいたいと思っています。排外主義と暴力によって、よいものの芽が摘まれていくのは、日本の社会も変わりがないと思うからです。
とうとう日本に来ることのなかったアンナの姿や声を、私たちの記憶のノートに書き入れて、明日の世界を考えるきっかけにしていければ、と思います。
ぜひ、足をお運びください。(大富亮)
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■アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年・追悼特別上映会のお知らせ
ドキュメンタリー映画『アンナへの手紙』
エリック・バークラウト監督作品(83分)
情報ページ: http://tinyurl.com/ap1120
日時 2009年11月20日(金)19:00〜21:40
会場 文京シビックホール・小ホール
http://www.b-academy.jp/b-civichall/access/access.html
参加費 1,000円
共催:チェチェン連絡会議/(社)アムネスティ・インターナショナル日本
★上映後、トークイベント開催!
特別企画:鼎談「アンナ・ポリトコフスカヤを語る」(仮題)
林 克明(ジャーナリスト)×寺中 誠(アムネスティ日本事務局長)
×大富 亮(チェチェンニュース)
チラシ: http://chechennews.org/dl/20091120_anna_leaf_omote.pdf
http://chechennews.org/dl/20091120_anna_leaf_ura.pdf
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■イベント情報
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★11/20 池袋:シンポジウム 新疆ウイグルとチベットでの騒乱をどう見るのか
反革命暴動なのか、民族自決を唱えた抵抗闘争なのか。
新疆ウイグル自治区とチベット自治区で続く少数民族と中央政府との対立。
宗教、海外の干渉、報道、資源、社会主義体制への反発を多角的に検証する。
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★11/20 高田馬場:「映画と文学にみる「慰安婦」」
http://www.wam-peace.org/jp/modules/topics/details.php?bid=26
戦後の日本社会は、戦時性暴力にどう向き合ってきたのか?
戦争文学が描く戦場の性を、作家の彦坂諦さんが語る。
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★11/24 高円寺:『ビリン・闘いの村』佐藤レオ追悼上映会+トーク
http://d.hatena.ne.jp/al-ghad/20091125/1257910578
ヨルダン川西岸地区で、イスラエルが建設する分離壁に対抗して
闘ってきたビリン村の村人たちを描いたドキュメンタリー。
先月急逝し、各方面に波紋を呼んだ佐藤レオ監督をしのんで。
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★ 11/24 新大久保:インドネシア人看護師・
介護福祉士候補と研修制度化するEPAスキーム
http://www.nindja.com/modules/eguide/event.php?eid=25
インドネシアとの協定で来日した看護師・介護福祉士候補たち。
国試を通じた日本での定住化の可能性もあるものの、
実態は離職率が高い日本人看護師・介護福祉士の補充が主目的。
制度の問題を考える。
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★ 11/25-28 帯広:JVJA写真展「世界の戦場から in 帯広」 ★
http://www.jvja.net/obihiro.htm
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★ 11/26 六本木:アムネスティ・チャリティライブ2009 ★
http://www.amnesty.or.jp/?concert09
西アフリカの吟遊詩人グリオが伝える大地のリズムと
五大陸が育んだ奇跡の歌姫マイア・バルーの世界を楽しもう!
そして私たちとアフリカの人々の幸せは、つながっているか?
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★11/27 表参道:ビルマ・タイ国境の町で
「みらいの法律家学校-ピースローアカデミーでの活動報告」
http://hrn.or.jp/activity/event/1127-/
ビルマ・タイ国境に作られた「人権のための法律学校」からの報告。
ビルマの若者や人々が置かれている現実と、
私たちに何ができるかを考えるために。
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★11/29 四谷:反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉09
誰かを殺して 成り立つ世界 誰かを支配することで 保たれる社会
そんな生活はイヤだ! 智恵を絞って 「抵抗を発明」しましょう
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★12/5 蒲田:「終焉に向かう原子力」(第9回)
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091028
小出裕章氏(京大原子炉実験所)「原子力の場から視た地球温暖化問題」
藤田祐幸氏(物理学者)「電源としての原子力と軍事としての原子力」
広瀬隆氏(作家)「いよいよ迫る東海大地震と浜岡原発」
力を合わせて、危険な原子力の時代を終わらせよう。
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★12/5-14 都内:東アジア死刑廃止大会2009
http://www.abolish-dp.jca.apc.org/asia/front.html
もし裁判員に選ばれたなら、あなたは死刑判決を下せますか。
今、立ち止まって、考えてみませんか。死刑囚という人生を。
そして、私たちの暮らす、この社会のことを。
日本や韓国など東アジア各国から、作家や研究者、宗教者、NGOが集います。
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★12/5 大崎:公開シンポジウム「ヨーロッパとアジアのエネルギー安全保障」
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091104/1257297629
藤岡明房(立正大学経済学部教授)「世界と日本のエネルギー事情」
世界第4位の石油企業トタルの日本法人社長の講演、
「世界におけるトタルの活動と今後のエネルギー需要の動向」など。
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★12/6 猿楽町:〈危機〉のネットワーク
治安管理/安全保障から日本とイスラエルを考える
http://midan.exblog.jp/12764691/
9.11をきっかけとした世界的な管理/監視体制の進行は、
『危機管理先進国』イスラエルにも、私たちの日本にも大きな影響を
与えた。周辺諸国から孤立しつつ、アメリカとの二国関係に依存してきた
イスラエルと日本。二つの国を同時に照らし出す視角はあるか。
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★12/9 麻布台:インド・ナガ紛争:両者が納得のいく解決策の提示を
http://www.jummanet.org/notice/2009/11/129.html
インド・ビルマ国境地帯で独立を宣言したナガ民族の人びと。
1997年、武装勢力とインド政府が停戦合意を結んだが、状況は不透明。
ナガのカトリック神父で研究者のE・ロタさんに解決の可能性を聞く。
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■映画・連続講座
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★ 連続講座:ジャーナリスト実践養成講座
マスメディア業界を目指している方、フリーで取材する方、
ブロガーなど記事文章の上達を目指している方にお薦めの実践養成講座。
「ジャーナリストのための実践英語入門講座」など幅広く。
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★『鶴彬 ーこころの軌跡ー』
万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た──
数多くの鋭い反戦川柳を詠んで戦争反対を貫き、獄中に果てた鶴彬の生涯。
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★『沈黙を破る』
http://www.cine.co.jp/chinmoku/
考えるのをやめたとき、僕は怪物になったーー
「祖国への裏切り」と非難されながらも加害行為を告白する、
若いイスラエル兵士たちがいた。
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★『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン
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★『ビリン・闘いの村』
http://www.hamsafilms.com/bilin/
パレスチナ暫定自治区、ヨルダン川西岸のビリン村。
若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。
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