モスクワで裁判官射殺事件

 4月12日、モスクワで、モスクワ市裁判所刑事部裁判官エドゥアルド・チュヴァショフが自分の家を出る時に射殺された。ロシア検察庁捜査委員会は、彼の裁判官としての仕事の内容が原因と見ており、今後、殺人と武器の不法所持の捜査が行われる。

 事件は12日午前8時15分ごろ発生し、監視カメラに映像が残っている。薬莢は残されていない。犯人の特徴は、スラブ系、身長175〜180センチ、通常の体格で目立った特徴なし。

 チュワショフは最近、異民族排外主義にかかわる犯罪での裁判で有名だった。4月8日、民族主義暴力集団のリーダー、アルトゥール・ルィノとパーヴェル・スカチェフスキーの事件で判決を言い渡したばかりだった。また、2月25日には「白いオオカミたち」という民族主義集団のメンバーに判決をくだしている。この集団は非スラブ系民族の人々を殺害してきた。判決は陪審員の決議によるものだった。

 検察庁は今回の殺害の動機が、チュワショフが民族主義による襲撃の事件を審理していたことだと見ている。今年3月6日に行われた民族主義者の会合で、「国民の敵」のリストが配られたが、そこにチュワショフの名が上がっていた。

 チュヴァショフは2005年に、ガガーリン地区裁判所の裁判官として、巨額な詐欺と横領事件が世論を騒がせた「ケイストウン」という建設会社の社長エレーナ・クリメンコワ被告の事件を担当していた。

 その後、警察の高官に有罪判決をくだした。また、モスクワ郊外のクラスノアルメイスク市の元市長ミハイル・ブルガーコフと地元の商工会議所会頭セルゲイ・ステノク会頭が900万ドルの恐喝をした事件で有罪判決を下したことでも、広く報道された。このときの処罰は重刑収容所での懲役刑だった。

 チュバシェフは47歳。同僚はとても高く評価している。モスクワ市裁判所の第一審の刑事裁判を担当していた。1996年から2008年までの間、モスクワでは裁判官が23回も襲われており、ほとんどの被害者は死亡している。最近では2008年11月25日にも、サマーラ市でサマーラ州裁判所のリュボーフィ・ドラズドーワ裁判長の公用車が銃撃され、彼女は銃弾を腹部に受ける事件があった。幸い彼女は生き残り、今も裁判所で働いている。

 今日の緊急会議では、裁判官に対する保安措置の強化も検討された。(TK訳)

http://www.svobodanews.ru/content/article/2009716.html