「新しいチェチェンのリーダーは穏健派だ」──ザカーエフが西側メディアのインタビューに答えて

記事について: 独立派の穏健派、ザカーエフ氏が、今回のチェチェン指導部交代について論評したインタビュー記事。ザカーエフと、ウマーロフはことごとく対立してきたが、新指導部であるバダーロフが、ザカーエフに言わせると「穏健派」であるというのが事実とすれば、チェチェン北コーカサスで戦う抵抗勢力の権力構造は大きく変化したことになる。だが現在のところ、情報の一つとして読むのが妥当。(富)

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http://mainichi.jp/select/world/news/20100803ddm007030052000c.html


ロイター、8月4日: ロンドンに滞在しているチェチェン独立派のザカーエフ氏は、最近ドック・ウマーロフに後継者として指名されたアスランベック・バダーロフ氏について、「穏健派であり、市民への攻撃を否定している」と評した。

 安全保障関係のアナリストたちは、先週末に唐突に発表された、チェチェン独立派の指導部交代──ドック・ウマーロフから、無名の人物アスランベック・バダーロフへの──についての説明に窮しているところだが、この程ロンドンに滞在している、チェチェンの元外務大臣アフメド・ザカーエフ氏が、ロイターのインタビューに答えた。

 「私は彼のことをよく知っている。彼は第一次の時から戦っている。軍事的な意味で、チェチェンがロシアに勝利するのは不可能だと知っている。したがって、新指導部が指向しているのは、ロシアとの和平交渉──ただし慎重なものだ。われわれ(穏健派)にとって許しがたいのは、何より市民に対する攻撃であり、これまでも、常にテロには批判をしてきた」

 「私はヴァダーロフと定期的な連絡を取っているし、支援している。また、私自身はチェチェン独立を含めた平和的な交渉のために、ロシアに帰国することも、考慮している」

モスクワにとって不利な展開か?

 イスラム過激派が穏健化し、西欧寄りの価値観を表明するようになることは、ロシア政府にとっては、悩みの種になっていくだろう。西欧やアメリカの政治家たちは、テロは批判するものの、チェチェンの独立についてはシンパシーを持っているからだ。また、ロシア政府の強権的な政策や、人権侵害にも批判的だ。

 「アルカイダチェチェンにはいないし、これからも決して来はしない。ドックは、いつも声明文でチェチェンは国際的なジハードの一部だと語っているが、結果として、アフガンやイラクチェチェンが、同じような問題だと西側に思い込ませる役割を果たしてしまっている」

 「彼は今もチェチェンにいる。彼は殺されるか、国外追放されるか、どちらかだろう。彼はモスクワの地下鉄爆破事件などにも、犯行声明を出している。新しいチェチェンの指導部(バダーエフ)は、こうした作戦に反対をしている」

 「私はチェチェンに戻ることも考えている。しかし、チェチェン人を虐殺してきたカディロフや、プーチンのために働くことは、決してありえない。何があろうと。他方、ロシアとの、長期的な視点に立った平和と共存のための政治的プロセスに参加するつもりはある。私のためではなく、後世の人々のためにだ」

http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/LDE6721VX.htm