アムネスティ・アップデート:アンナ・ポリトコフスカヤの遺志を受け継いで

2010.10.07通巻441号より一部を引用

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アンナ・ポリトコフスカヤの遺志を受け継いで

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チェチェンやめられない戦争』(NHK出版)という本があります。2002年に執筆され、日本では2004年に翻訳版が発行されたアンナ・ポリトコフスカヤの著書です。ジャーナリストであるポリトコフスカヤは何度もチェチェンを訪れ、戦争に巻き込まれた普通の人たちの生の声を聞き、チェチェン戦争を支える政財界の暗部を調べ、それを本にまとめました。

本のあとがきにこんな一節があります。「この時代は個人個人がどうであるかなど関係のない時代で、『テロのない明るい未来』を築くために数千人の命が吹き飛ばされることをまたもや許してしまった冷血の時代なのだ」

日本で本が出版された2年後の2006年10月7日、アンナ・ポリトコフスカヤは暗殺されました。その後もポリトコフスカヤと気持ちを同じくするジャーナリストや弁護士などが、チェチェン紛争下で殺されたり行方不明となった人びとの犠牲を調べ、その責任を追及し続けています。そして、やはりそのために暗殺された人たちも少なくありません。

チェチェンでの人権状況を監視しているNGOは、「当局からの圧力が強まる中、国際社会からの支持と支援がなければ、私たちはロシアで活動を続けることはできないでしょう」と語りました。

アンナ・ポリトコフスカヤの遺志を継いで、身の危険を感じながらも活動を続けるジャーナリストやNGOスタッフたち。彼・彼女たちへの国際的な強い支援の声が求められています。

▽ロシア:窒息寸前の自由、「消される」人びと
http://amnesty.or.jp/?russiahumanrights&mm=1

フランスや日本では2010年、「ロシア文化年」としてロシアの文化や文化遺産を紹介する数多くのイベントが開催されています。この機会に、フランスを中心に日本、英国、イタリアなどのアムネスティ支部が、ロシア大統領に向けた署名活動を始めました。人権擁護活動家やジャーナリストの暗殺や脅迫を止めさせ、チェチェンなどコーカサス地域の人権侵害に対する徹底した調査と公正な裁判を実施させるために、オンライン署名に参加してください。署名はフランス支部が集約してメデヴェージェフ大統領に送ります。

▽ロシア:人権の尊重と保護を求めるグローバル署名
https://www.amnesty.or.jp/modules/bmsurvey/survey.php?name=webpetition_RussiaHR&mm=1