アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件の容疑者に関する続報

アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件に関しては、容疑者が逮捕され、事件の真相が究明されるか、との希望が持たれたが、その後の展開を見ると、どうもそうではなさそうだ。チェチェン連絡会議が昨年行った集会、「アンナとリトビネンコ」の中でも紹介されたように、プーチンはどうしてもベレゾフスキーがアンナの殺害指令を出した、ということにしたいらしい。以下はエコーモスクワの記事から(A.M)

エコーモスクワ、9.03 2011
アンナ殺人事件容疑者は捜査当局と取引をした
その結果、ドミートリー・パヴリュチェンコフはより「軽い」刑事罰を受けることになった、と『コメルサント』紙は書いている http://kommersant.ru/doc/1765746 。
暗殺の組織者は、捜査当局によれば、現在15年の刑に服しているチェチェン人実業家ロムアリ・ガイトゥカーエフ*である。新聞報道によれば、公判前の協定書で、パヴリュチェンコフは現在国外にいる暗殺指令者でありうる人物の名前を挙げている。もしもこの協定が破棄されなければ、彼の事件は別件とされ、特別に検討されることになり、それによって禁固20年という最大の刑期を逃れることができよう。将来この判決はこの事件の他の参加者の有罪性の証拠として利用されるかもしれない。
*『イズベスチア』紙9月2日付け記事によると、ロム-アリ・ガイトゥカーエフはチェチェンとの文化・社会的交流を目指す社会団体“新時代”の設立者であると同時に、他のビジネスと共に契約殺人をモスクワ、ロシアの他の地域、および国外で請け負っている首都モスクワ”アラザン“グループのリーダーの一人である。捜査資料によれば、契約殺人の受注に関わっていたのはガイトゥカーエフであった。

エコーモスクワ 9.16
『ノーヴァヤ・ガゼータ』記者、アンナ・ポリトコフスカヤ殺しの注文主はボリス・ベレゾフスキーとされる可能性がある

捜査委員会は現在以下のような説明を準備中である。
元モスクワの捜査員であったドミートリー・パヴリュチェンコフは失寵した富豪の名前を挙げ、取調官たちはあらゆる関心を引く状況に関して尋問を行った、と本日のコメルサント紙は書いている。殺人の被告である退役中佐は捜査のキーパーソンとなり、裁判で最も軽い刑を宣告されるのと引き換えに証言することを承知した。彼はアンナ・ポリトコフスカヤ殺しの首謀者はチェチェン人の重鎮、ロム-アリ・ガイトゥカーエフで、後者はロシアに入国できない注文主との合議のためにウクライナにでかけた、と述べている。新聞報道によれば、取調官たちはこの注文主の役割をビジネスマン ボリス・ベレゾフスキーに当てはめようとしている。その際、捜査当局によれば、注文主は殺人がまさにウラジーミル・プーチンの誕生日である10月7日に行われるように、と言い張ったとのことだ。ちなみに取調官たちは以前にもベレゾフスキーの名前を挙げており、その際ポリトコフスカヤが殺されたのは単に政府に反対する側に居たからで、そのことが犯罪組織者たちにとって都合が良かったのだ、と断言していた。ベレゾフスキー自身は、捜査委員会の説は、当時大統領だったプーチンがすでに犯罪の痕跡はロンドンに通じているとほのめかしていたので、彼にとっては目新しいものではない、と昨日コメルサントに説明していた。一方、『ノーヴァヤ・ガゼータ』の編集長、セルゲイ・ソコロフは、取調官たちの古い考えは新たな血を得たが、殺人の注文主はロシアに住んでいる、と確信している。

なお、元警官のドミートリー・パヴリュチェンコフ、と現在別件で服役中のロム-アリ・ガイトゥカーエフ、およびセルゲイ・ハジクルバノフの対審がまもなく行われることになっている。