#440 渡部陽一がたどる大コーカサス山脈

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)

 今週土曜のBSジャパンの番組で、
 チェチェン人の大勢住むパンキシ渓谷が紹介されます。
 どうぞご覧ください。


  番組名:カメラマン渡部陽一がたどる再会の旅路
       秘境大コーカサス山脈チェチェン人の心と暮らし
  放送日:10月25日(土)21:00〜22:55
  放送局:BSジャパン
  公式HP:http://www.bs-j.co.jp/caucasus/


 番組の舞台はグルジアにあるチェチェン人集落「パンキシ渓谷」。
 渡部がこの地を訪れたのは、まだ無名であった26歳の時。

  熾烈を極めたチェチェン紛争を取材するためだった。約1ヵ月の滞在の中、渡部が目にしたのは、コーカサスの、目を見張る大自然と、紛争で傷つきながらも民族としての誇りを守り、伝統的な暮らしを続ける高潔なチェチェン人の姿だった。当時、「テロの巣窟」と世界中から非難を受けていたパンキシ渓谷を16年振りに再訪。駆け出し時代の命の恩人たちと再会し、これまでの危険なイメージとは違って、紛争地から復興しつつある人々の姿をタレント・戦場カメラマンではなく “ジャーナリスト”としての渡部が取材する。

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#437 ガザの人々を殺すな! 8.3 新宿デモのお知らせ

(転送・転載・引用歓迎)


 イスラエルによる、ガザへの空爆・地上侵攻が続いています。報道によれば、すでに1600人もの一般市民が犠牲になっており、国連の管理する学校に避難していた子どもたちがイスラエル軍の攻撃により死亡するなど、大変な惨事が起きています。

 もう今日なのですが、新宿で、このガザ侵攻に反対するデモがあります。ぜひご参加ください。

 デモの公式ブログに、パレスチナイスラエル研究者の早尾貴紀さんのメッセージが掲載されています。なぜイスラエルはガザを攻撃するのか? ハマスは悪者なのか? こういった疑問に、明快な回答が得られると思います。

 「ガザ大虐殺に寄せて」早尾貴紀東京経済大学) -
 http://free-gaza.hatenablog.com/entry/2014/08/02/111329

 
 
◆ガザの人々を殺すな! 8.3 新宿デモ

  <イスラエルは占領と封鎖をやめろ!>
       <安倍政権はイスラエルを支援するな!>

8月3日(日)
14時 新宿アルタ前広場(新宿駅東口)に集合
【発言】伊藤和子さん(弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
    奈良本英佑さん
    (法政大学名誉教授/「アル・ジスル−日本とパレスチナを結ぶ」代表)
    他
15時 デモ出発 (16時15分頃に終了予定)

※プラカード、鳴り物など持ち寄り歓迎。救護班も作りますが、各自で暑さ対策もお願いします。

呼びかけ:8.3新宿デモ実行委員会
 ブログ http://free-gaza.hatenablog.com/
 ツイッター https://twitter.com/freegaza_demo
[問い合わせ先]090-6185-4407(杉原)

 イスラエル軍による空爆と地上侵攻により殺されたガザの人々は、1650人を超えました(8月2日現在)。人口密集地への攻撃自体が違法であり、民間人、子ども、ジャーナリスト、学校、病院、救急車、避難所、国連施設、発電所、漁港などへの爆撃は、重大な戦争犯罪に他なりません。

 占領し、封鎖し、虐殺する。国際人道法に何重にも違反するとてつもない不正義が、私たちの眼前で繰り広げられています。

 ガザで続いているのは、「暴力の応酬」でも「戦闘」でもなく、世界屈指の軍事力を用いた無辜の市民に対する一方的な殺りくです。今必要なのは、一刻も早い停戦に留まらず、根源にある封鎖と占領をやめさせることです。

 武器輸出を解禁するなど、急速にイスラエルとの経済・軍事面での協力関係を強化してきた安倍政権は、岸副外相を派遣し何ら実効性のない停戦要請を行い、国連人権理事会でのガザ侵攻非難決議にすら棄権するなど、ネタニヤフ政権を事実上支える役割を果たしています。日本政府は今こそ、パレスチナ国際刑事裁判所に加入することを促進し、戦争犯罪を裁く道筋をつけるべきです。

 世界に広がる「虐殺やめろ!」「FREE GAZA!」の叫びの輪に、日本の市民も加わりましょう。政府を動かし、イスラエルの非道に今度こそ終止符を打ちましょう。

【デモコース(予定)】
新宿アルタ前広場出発〜新宿通り〜明治通り右折〜中央通り右折〜アルタ前を通過〜西口大ガード下左折〜新宿西口駅前〜甲州街道左折〜新宿南口〜明治通り左折〜新宿通り左折〜新宿アルタ前広場ゴール(約1時間)

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#434 ウクライナの人々の声

ウクライナの人々の声


↑(「マイダン」(独立広場)の様子)

 日本でもウクライナ関係の報道は多いのですが、欧米とロシアの陣取り合戦といった側面を強調するものが多く、普通のウクライナの人々がどんなことを考え、動いているかを伝えるものは少ないようでした。

 チェチェン問題も似ていて、「ロシアからコーカサスをもぎ取ろうとするアメリカのネオコンチェチェンを支援している」と描写して、大国間のパワーゲームの解説にひたる識者もいます。それも分析かもしれませんが、やむにやまれず独立を求めたチェチェン人の歴史や、その心を知ることも大切だと思うのです。

 そんな思いもあって、今号では、ウクライナを仕事で訪れたAさんに寄稿をお願いしました。ウクライナの人々の生の声をお伝えします。(発行人)

●「キエフは落ち着いているよ」

 キエフについたのは、ちょうどクリミア半島での住民投票の日(3月16日)だった。

 政治情勢に関する評論はもう世の中にごまんと出回っているし、そんな論評めいたことを書ける情報力も洞察力も持ち合わせない。ここでは、自分がこの数週間、特にキエフ滞在の3泊4日の間に接した人々の発言やら同行先やらを紹介することで、ウクライナの実情理解の一助としたい。紹介する発言内容は、あくまでも自分が聞いた内容で、必ずしも事実と一致しない場合もあるかもしれない。


↑(マイダンにて。「みなさん、よく考えてくれ」と大書されている)

 キエフ中心部の「マイダン」(独立広場)の抵抗勢力による占拠から武力衝突に発展して、死者が出る状況になってしまったのが2月18日。その約2週間後、知人に電話してみると、「キエフ市内は落ち着いているよ。みんな平常の市民生活をしているから。来るなら歓待する」とのこと。

 クリミアにロシア軍と思われる「自警団」が現れて(これが日本語訳の定番になっているようだが、元のロシア語は、日本の自衛隊をロシア語に訳するときのсамообороны〈自衛〉だ。自分なら「自衛部隊」と訳すか?その方が実際は「軍」であるというイメージが強い日本語になるように思うが)から数日後、仕事の相手、そして20年来の知り合いに電話すると、「これはプーチンの終わりの始まりだ」と同じ台詞が返ってきた。また、クリミアの首相になった人物はプーチンの傀儡なのだそうだ。

ウクライナ国民の覚悟

 電話で「歓待」を表明してくれた知人は、「ウクライナ軍への動員も始まっていて、軍人経験のある人が自ら進んで再登録をしているよ。もちろん俺も、万が一の事態になったら自分の命を犠牲にする覚悟もあるし」と、あまり深刻なトーンにならないように気配りながらも、はっきりと口にする。

 そういった発言から今のウクライナ国民の覚悟のようなものを感じながらも、やはり存在する不穏な空気も感じ、自分の中ではキエフ入りに対して少し気後れが生じていたような気がする。チケットを購入した旅行代理店の人、そして航空会社に、「変更不可」の条件のチケットで入国した場合、どのような状況下になったら変更が許されるのかを確認する(外務省の渡航情報の危険レベルが最高の第四段階になった場合に限られるらしい)。

 そうこうするうちに3月16日、キエフに入る日となった。乗り換えのウィーンの搭乗口、乗客の間に緊迫感のようなものは感じられない。ヨーロッパ系の人々もチラホラ見受けられる。機内も満席ではなかったものの、それなりに埋まっている。「平常通り」だ。

 到着後のパスポート審査もまったく通常通り、「ロシア語話せるの?仕事ですね?」に二つともダー、ダー、と答えてそれだけ。ただ為替レートは、半年前1ドル=8グリブナだったのが、9.7グリブナと、20%のグリブナ安(日本円も1年でそのくらい下落しているし、お隣のベラルーシ・ルーブルは2年前、ひと月で1/3に下落したりしていることを考えると、それほど劇的な暴落とも言えないような気はする)。

●マイダン(独立広場)で献花する

 迎えに来てくれている友人は笑顔だが、「毎日嫌なニュースばかり見させられて、軽い鬱状態かもな」という。「でも、先週は仕事でウィーンに行ってたし、生活はほぼ元通りだよ。車の量も変わらなくて、渋滞も、まったく減ってない、どころかマイダンが閉鎖されているせいで中心部の渋滞はひどくなってるかもな。ところでFacebookであったろ、サハリンで住民投票して1945年の国境に戻すってヤツ、クリル諸島(「北方四島」のこと)でも住民投票をやって日本に返したらいい!(笑)。俺らから言えば、クリミアが惜しいわけじゃない。ロシアがそんなにほしけりゃ、くれてやっていい、でも、どうして軍隊を侵攻させる必要がある!?〈自警団〉?笑わせてくれる!」


↑(マイダン。献花が列になっている)

 等々と話をしながら、途中で花を買ってマイダン(独立広場)に着いた。まず献花くらいはさせてくれ、という希望を聞いてくれたのだった。クリシャーチク通りが始まるところで手作りバリケードに出迎えられる。バリケードの手前にも、亡くなった方々の写真が飾られ献花できるところがある。バリケードの一部が開けられて通路になっている部分にはひっきりなしに人の往来がある。一般の人たちが訪れている様子だ。友だち同士、恋人同士、家族連れ、小さい子供もたくさん見受けられる。友人も3歳になる男の子を平気で連れて歩く。

 20代後半のこの友人は、あの日のことについて「最高会議や地域の党本部を占拠したりしたのは、煽動に違いない、でも、誰がどう煽動したのかまだよくわかってないんだよな」という。彼によれば、マイダンを長期占拠していた人の大半がウクライナ西部からわざわざ出て来た人たちだそうだ。西部出身でキエフ在住のこの友人の交友範囲でも、大学時代の同級生、そして妊娠8ヶ月だった友だちの夫の二人が命を落としている。

 花はいたるところに手向けられている。とてつもない量だ。広場のど真ん中あたりにはステージが設けられていて、何人かの中高齢の男性たちがマイクを持って一生懸命なにかを話しているが、基本ウクライナ語なので、残念ながらよくわからない。ステージ前の人だかりは、せいぜい150人というところか。回りを散歩?しているその他大勢の人々は、その集会を尻目に写真を撮ったり、散策を続けたり。まだ焼け跡がそのままになっている広場中央部の角の建物が痛々しい。

●「ロシアから、たくさんの扇動家が来ていた」

 滞在先の家庭に着く。一軒家に三世代、三家族で住んでいるという、首都キエフでは珍しい生活環境。それぞれが活動的なので休日の昼に全員が揃うことは滅多にないのだが、日本からの客人のためか、それとも少し活動を控えているのか、孫4人を含めた10人が一同に揃っている。今の政治状況を話し始めたら止まらなくなるかと思っていたが、そうでもない。とはいえ、様々な話を聞く。


↑(クリシャーチク通り(この先が独立広場)。すでにお土産スタンドのようなもの(一応「愛国的な」モノが主なようだが)も出始めている)

 「マイダン占拠の長い期間、たくさんの人たちを家に泊めたよ。マイダンまで出向いて自分たちの電話番号を配って回ったの」「でも、キエフの人もたくさんマイダンに行っていた」「ウクライナの政権中枢には、たくさんの元ロシア国籍の政治屋がいたんだよ。諜報機関でさえもそうだから、重要な情報はロシアに筒抜けさ」「マイダンの武力衝突の前後、ロシアからたくさんの扇動家がキエフにも来ていて危なかったから、市民がパトロールをしてたのよ、この中心から遠いエリアで、私たちも」「チモシェンコが、プーチンと対話できる唯一の候補だとか言って、大統領に推す動きもあるけれど、チモシェンコが当選したらまた元通りよ。基本、もう彼女を信じている人は多くないと願ってるけど」などなど。

 翌日、仕事上のカウンターパートと打合せをし、夜は彼の友人たちと飲んだ。彼らは自分たちの通信を確保するためにトランシーバーを購入して、使い方の確認をしていた。すでに安い4チャンネルや6チャンネルのトランシーバーは大量に出まわっていて、万が一の場合、回線が塞がる可能性が高いということで、彼らは16チャンネルのものを入手していた。さらに、念のために妻子を西の方に明日連れて行く、という人もいた。あくまでも、起こる可能性は低いであろう最悪の事態にも備えておく、ということのようだ。

●「スラブの兄弟だと思っていたのに・・・」

 ある運転手はこんなことを言っていた。「クリミアの住民投票は、普通にやっても多分過半数がロシアとの合併に賛成しただろうに。自警団だかなんだか知らないけど送りこんでおいて『俺たちの軍じゃない』、そんなバカな話が通じる訳がない。スラブの兄弟だと思っていたロシアが、ウクライナに対してまさかこんなやり方をするなんて。この遺恨は、数年とかって単位じゃ消えないよ・・・」。

 ちなみに、この住民投票においては、セバストーポリ特別市の賛成票数が住民数の125%に当たる数になってしまっていたそうだ。そんなデータに接しても、ウクライナ人の大半が「少し粉飾を大げさにしすぎたんだろ」という感じで、投票結果の不正は当たり前で、この現実の前では取るに足らない、というムードだった。

 クリミア併合の調印式の前のプーチンの演説。ある友人は「もう聞いてるだけで吐き気がしてきた」という。「何回も拍手が鳴り響いて、ソ連に戻ったようだった」と。

 プーチンの演説を放映したウクライナ国営テレビの社長に、政党「スバボダ」の有力議員が暴力で無理矢理辞表を書かせた、という動画も出回った。友人は呆れた顔で、「こういうバカな連中がいるから、ロシアに『ウクライナファシスト政権』と宣伝する材料を与えるんだ」と言う。せっかく民主的な政権に移行しようと、希望を込めて現状を見守り行動しろうとしている市民の一般的な反応だろう。

 3月19日の朝、同じ友人の家に電話があったそうだ。「プーチンは少なくとも21日まではタイムアウトを取ることにしたらしい(少なくとも軍事行動には移らない、ということだそうだ)。それまでには子どもは西部に連れ出しておいた方がよさそうだ」と。その根拠は定かではないが、おそらく様々な情報が飛び交っているのであろう。幸いこれを書いている25日現在、まだ戦火は広がっていない。

●「人生、生き急げよ」

 ある組織の所長は、ヤヌコービッチ大統領の豪華な私邸が公開された時「ロシアのツァーリでさえもあんな贅沢はしていなかったはずだよ」と言っていた。

 今回の大衆蜂起の原因はそこにあるのだろう。ヤヌコービッチが政権に付いた瞬間から、どれだけその政権の腐敗についての不満を聞かされてきたか。

 僕がキエフを出発する直前に会った時、その所長は、今の情勢を一通り嘆いた後、ふと僕の目をじっと見て「人生、生き急げよ」と言った。いまだにその言葉の真意を探っている。

 帰国後、ウクライナどうだった?と聞かれると、とりあえず「キエフは平穏だよ」と答えてから、こう付け加えることにしている。「少なくとも表面上は」。


↑(クリミアは世界的にはほぼ無名だが、コニャック(旧ソ連では「コニャック」の名称をまだ平気で使っている)の産地。ポケットボトル付きのコニャックを見つけてしまって、買わずにはいられなかった。
ウクライナに民主的政権が現れ、ロシアが〈脅し〉を諦めた時にこれで祝杯をあげるか。Акцiя=Action>「行動を!」?と思ってしまうかもしれないが、単に「ボトル付きのキャンペーン」ってこと)

ウクライナへの軍事介入の中止を求める、ロシア大使館あてファックスアクションにご協力ください。くわしくはこちら: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20140303/1393811785

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#433 野戦司令官ドック・ウマーロフ死亡


■野戦司令官ドック・ウマーロフ死亡

 3月中旬の各種報道から、チェチェンの野戦司令官ドック・ウマーロフが死亡したことが確実になりました。世界中の報道機関でニュースが掲載されましたが、主な情報源は「カフカスセンター」の記事だったので、ここにその抄訳を掲載します。

 人物情報: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20140120/1390230153
 共同通信http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031901001026.html
 読売新聞: http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140319-OYT1T00850.htm


コーカサス首長国のドック・アブ・ウスマン首長が殉教(追悼記事)

 2014年3月18日16時9分

 コーカサス首長国指導部は、ドック・アブ・ウスマン首長が殉教したことを正式に公表した。

 ドック・アブ・ウスマン(ウマーロフ)氏は、1994年のロシア軍のチェチェン侵攻を知ると、すぐにモスクワでのビジネスをなげうってチェチェンに戻り、ジハードに加わった。

 第一次チェチェン戦争のあと、アスランマスハードフ大統領はウマーロフ氏を安全保障会議書記に任命し、マスハードフを継いでチェチェンの首長となったアブドゥル・ハリム・サドゥラーエフが2006年に殉教した後で、イチケリア・チェチェン共和国の首班となった。

 2007年、ウマーロフ氏は一神教を是認する文言の書かれた横断幕を掲げ、「コーカサス首長国」を宣言した。

 この動きは、さまざまな方面の世俗主義者の反発を呼んだが、コーカサス一帯のムジャヒディーンたちははっきりと支持し、この横断幕のもとに結集した。

 ウマーロフ氏は、人生の最後の20年間をジハードに捧げた。ひたすらに働き、優しく、調和のとれた人格は、すべてのムジャヒディーンに愛されるところとなった。

 そして、世界中のムジャヒディーンたちからの尊敬を一身に集めた。彼の意見は傾聴され、彼の言葉は戦うムスリムたちの心に響いた。

 ウマーロフ氏は最後まで、アッラーとの契約によって深い信心に満たされた人々と共にあった。

Kavkaz Center
http://www.kavkazcenter.com/eng/content/2014/03/18/19017.shtml
 
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#432 ウクライナへの軍事介入に抗議しよう!

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)

ウクライナへの軍事介入に抗議しよう!

 軍事介入を止めるために、東京のロシア大使館へのファックス抗議用紙を作りました。
 ここからダウンロードして使ってください。大使館のファックス番号は、03-3505-0593 です。

http://d.hatena.ne.jp/toudenfubarai/files/fax_russian_embasy.doc
http://d.hatena.ne.jp/toudenfubarai/files/fax_russian_embasy.pdf


 ロシア下院が、ウクライナへの軍事介入を可決しました。すでにクリミア地方ではロシア軍部隊が展開を開始しています。

 また、アメリカはロシアに対する経済制裁を検討するなど、緊張の度が深まっています。

 しかしこの問題の根本は、ロシアがウクライナの政治に干渉を続けてきたことにあります。そして、ロシア寄りのヤヌコビッチ政権を、ウクライナの人々が自力で倒したということを、ロシアをはじめ、国際社会は尊重しなければなりません。

 今、ここで軍事介入が進んでしまうと、数日のうちに2008年のグルジアのような事態になりかねません。

 ウクライナは小さな国です。チェチェンのような悲惨な紛争が繰り返されないよう、ご協力をおねがいします。


チェチェンニュースについて: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20140209/

#431 ウクライナ情勢とチェチェン

chechen2014-03-01

(転送・転載・引用歓迎)

 (大富亮)

 ウクライナの首都キエフで、親ロシア派のヤヌコビッチ政権と、それに反対する野党勢力の間で、激しい政変が起こった。ヤヌコビッチは大統領を解職されたが、これからしばらくは、ロシアと西側のどちらがウクライナを獲得するか、いろいろなレベルで争いが続くだろう。

 今、大統領を解職されたヤヌコビッチはロシアに逃げ、プーチン政権に保護されている。その一方、正体不明の軍部隊が、ロシア系住民が多数を占めるウクライナクリミア半島の空港と空軍基地を一昨日から実力で掌握している。

 ロシア系住民が圧倒的多数のクリミア地域の特性を考えれば、この事態の解決は一筋縄ではいかないのだろう。しかし、ウクライナの政治にロシアが不当な介入をしているのは明らかだ。

 そんな動きの中で、気になっていたことがある。1月の中旬、野党勢力のリーダーの一人のユーリー・ルツェンコが、こう叫んでいた。

 「私たちがいま諦めたら、チェチェンの二の舞になってしまう。あの、ロシアに占領されたままのチェチェンだ」
 https://twitter.com/VitaliiSediuk/status/426056000475373570/photo/1

 ウクライナ人には、これで何が言いたいかわかるらしい。たぶん旧ソ連の国々なら、どこでも通じる訴えなのだろう。

 ところが、チェチェンのカディロフ首長はこう言い出した。「ウクライナは西側に支援されたテロリストによって政権を奪われた。虐待されている人々を守るために、平和維持軍を派遣する準備がある」と。
 http://www.themoscowtimes.com/news/article/chechen-leader-kadyrov-offers-to-send-troops-peacekeepers-to-ukraine/495326.html

 プーチンの傀儡であるカディロフの言おうとしていることははっきりしている。腐敗した政権を倒したウクライナの人々を「テロリスト」と呼び、クリミアを拠点にしてロシアの権益を守る先兵になろうということだ。

 旧ソ連で、国連などとは関係なく派遣される「平和維持軍」というものは、昔から、じつにいかがわしい。常にロシア政府の意向にしたがって動く、ロシア軍部隊の別称にすぎない。

 一方、シリア方面では、一人のチェチェン人が、シリアの反体制派に加わったという疑いでロシア政府に訴追されつつある。実際はかなりの人数のチェチェン人が参加しているようだ。彼らはチェチェンからではなく、亡命先のヨーロッパからシリアに入っている。要するにチェチェンを追い出された人々だ。アサド政権を支えているのはプーチンのロシアであり、こうしたチェチェン人の動きを、ロシアはとても警戒している。

 こんなふうに各地で、チェチェン人がさまざまな立場で登場している。

 ロシアと周辺諸国で起きている紛争を読み解くなら、チェチェンで何が起こってきたかを、もう一度思い起こす必要があると思う。


 ところで、今発売中の雑誌『フライデー』3月14日号では、「決死の現地ルポ ウクライナ革命」として、貴重な写真入りの記事が掲載されている。それはいいのだが、よく見ると佐藤優氏のコメントも掲載されていて、それによると「日本がロシア側につけば、北方領土の返還はぐっと近くなる」のだという。

 言っていることが15年前から変わらない……。あの頃はチェチェン紛争で、「ロシアの味方をすれば北方領土の返還は近くなる」だった。ついていくほど遠くなる地平線のようだ。そろそろマスメディアも、こういう人を重用するのはやめた方がいい。

チェチェンニュースについて: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20140209/

#429 ソチオリンピック会場近くで人権活動家を拘束

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)

 ふたたび、アムネスティ・インターナショナルの声明を紹介します。

 「プーチン辞めろ」と歌って勾留され、釈放された
 パンクバンド「プッシーライオット」のメンバーが、
 またソチで一時拘束されました。

 ロシア政府は人権活動家、そして国際世論を恐れています。


ロシア連邦:開催中のソチオリンピック会場近くで、新たに9人を拘束
 2014年2月20日 [国際事務局発表ニュース]国・地域:ロシア連邦


 2月16日、プッシー・ライオットのメンバーや、活動家、ジャーナリストら9人が拘束された。

 拘束されたのは、女性パンクバンドのメンバー、ナジェージダ・トロコンニコワさんとマリア・アリョーヒナさん、人権センター「メモリアル」のセムヨン・シモノフさん、ラジオ・フリー・ヨーロッパの記者数人、ロシア独立系日刊紙のノーヴァヤ・ガゼタさん、地元の市民権活動家デイビッド・ハキムさんらだ。

 当局の発表では、拘束された人びとのうちの数人は、滞在中のソチのホテルで起きた窃盗に絡む容疑で拘束された。

 しかし、プッシー・ライオットの2人は、ソチでの一連のいやがらせの本当の理由は、現在企画中のミュージックビデオ「プーチン流、母国の愛し方(Putin will teach you how to love your Motherland)」にあるという。

 プッシ―・ライオットは2012年1月、モスクワのロシア正教会の首座聖堂で政府を批判する歌を歌い拘束された元「良心の囚人」で、今回で3度目の拘束となる。

 ハキムさんは前日、良心の囚人エフゲニー・ヴィティシュコさんを支援する一人ピケを張っていて拘束された。

 オリンピック会場周辺をはじめとして、ソチでは、今、毎日のように活動家が拘束されている。

 人びとは、自分たちの思いを単に平和的に表現しただけで標的にされている。

 プーチンのロシアで当局は、世界の希望と努力のシンボルである五輪の輪を、自由を拘束する手錠に変えてしまった。

 言語道断というしかない。

 当局は、拘束された人々を速やかに釈放するとともに、悪化の一途をたどるこの人権侵害を直ちに止めるべきである。

 また、国際オリンピック委員会は、この事態を招いているロシア当局を厳しく非難すべきである。

 アムネスティ国際ニュース 2014年2月18日
 http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0220_4474.html


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