チェチェン総合情報

チェチェン戦争10年 2004/12/11 14:44

チェチェン戦争が始まって10年、なんと不毛な時間が過ぎたのでしょうか。
日本は表面上は平和ですが、その平和と繁栄は世界中の悲惨さの上に成り立っています。
すぐさま解決できるような問題はありませんがあきらめずにできることを積み上げていこうと思っています。
寄付金を5,000振り込みました。ご活用ください。

希望を捨てずに 2004/11/05 20:41

http://chechennews.org/chn/0437.htm についての感想
ポリトコフスカヤさんの記事には、いつも考えさせられるところが多々あります。
どうすれば過激派テロと国家テロを止められるのか。彼女の提案はどれも理にかな
っているものばかりで、改めてチェチェン問題に対する視野の深さを感じました。
でもプーチンとその仲間たちがいる限り、この提案が使われることも無いのでし
ょう。ブッシュ再選確実でプーチン大喜びな状況ですが、希望を捨てずに今後も
チェチェン問題を見ていきたいと思います。

女子高生から見ると、ぶっちゃけた話、2004/09/16 22:53

私はAO入試でロシア学校占拠事件について、発表しようと思い調べていました。最初はテロなんかしてひどいって思いしかありませんでした。しかし先生とかに話を聞くと、テロに至るまでの背景があるのだとわかりました。それをインターネットでもっと探そうと思ったらここを発見していろんな意見を聞いているうちにチェチェンはひどい侵略行為で虐殺までされているのでした。

しかも今も独立を許してくれず、侵略も続いているそうです。こんなことロシアからされたらテロをしてしまってもしかたないのでわないのかと思いもしました。しかしそれでは暴力ばっかりで絶対解決しない。どっちも傷ついてしまう。そんなのはいやです。時間はいっぱいかかるかもしれないけど何回も何回も話し合いをして結果をだしてほしいと思います。どっちもなっとくできるような…こんなことを考えるのですが心の中ではロシアのジャイアニズム(石油が欲しいからって独立させない)をなくせばすべて解決するでわないかって思ってしまいます。でもいろんなことがおりまざってこの事件がおきているので、そんな簡単なことで終わるならとっくに解決してますよね。

私はロシアとチェチェンは共存はできないと思います。だってチェチェンがロシアのものになったら石油とられちゃうし、いじめられちゃうじゃないですか。だから個々の国としてやっていって欲しいと思います。だってぶっちゃけ悪いのはロシアじゃないですか。チェチェンよりの意見だと思いますが今持っている情報しかないので、これしか書けません。とりあえずみんなが幸せになって欲しいです。政治情勢とかはしりません。しかし私がいえることは武力公使は絶対に解決しないです。ロシアもテロリストも。どんなに長くても話し合って欲しいと思います。修学旅行で沖縄に行きましたが、本当に戦争なんてものはいりません。核なんてものもいりません。欲しいのは暖かい心です。こんなちっちゃくてバカな女子高生だって知ってます。誰か一人でもわかってくれるひとが増えることを祈ります。

たくさんよくわからないところがあると思います。すいません。文にするのが苦手なので…気持ちだけでも伝わると嬉しいです。

テロは絶対に肯定できないけれど・・・

2004.09.07 J.J.イギリス在住

はじめまして。以前からチェチェンのことは気になりながらも、何も調べずに過ごしていた者です。昨年からイギリスに住み始めいろんな国の人にあうごとに世界中の問題について興味を持つようになって、ある日チェチェンについて調べたところ、こちらのサイトに行き着きました。

侵略行為と報復行為について考え出すと、いつも結論がでません。今世の中で起こっているテロのほとんどには理由や原因があるし、単なる無差別な暴力ではなく、非情な侵略行為に対する命がけの抵抗だと思っています。どんな形であれ暴力はいけない、暴力はあらたな暴力を生むと世間はいいますしもっともな意見でそれが理想ですが、自分の国が侵略され残酷な手段で民族浄化されようとして抵抗せずに受け入れる事は非常に難しいのではないかと思うのです。またテロという形で抵抗するかしないかは別として、うけ入れる必要もないと思います。どんな国にだって独立する権利があるし、それを決めるのはそこに住んでいる人々ですから。

テロは絶対に肯定できないけれど、しかしそれしか生き伸びる手段を持たない人々を作り出している国とそれを知りながら放置してる私たちがいる限りテロのない世の中は絶対にこないと思います。ただテロが起こるとそれを口実として大国が大規模な攻撃に出るのでそれが恐いです。時々テロがあったほうがいい口実になるとでも大国は思ってるのでは、とすら考えてしまいます。テロ行為すら利用しているように感じるのです。

ロシア、アメリカ、中国のような大国が資源や軍事的要地などの目的で他国を侵略してるいる限り、日本や他の国のようにそれを見てみぬ振りしている限り、絶対にテロはなくならないですよね。

今の自分にできることは正確な情報をできるだけ多くの友達に伝える事だと思っています。そのためにこのサイトはとても役立ちます。私たちは日ごろ新聞やTVなどの情報に偏りがあったり、都合よく変更されていたりということを意識していない気がします。真実だと思っていたことが実は大国の都合のいいように捻じ曲げられた嘘だったりすることが多々あるように思えるのです。そういった現状でこのような形で情報を正確に提供しているサイトの価値ははかりしれないものだと思います。どの情報が真実でどれがそうでないかを正確に見極める力が自分にどれだけあるかはわかりませんが、少なくともメディアの無責任な報道よりこちらのサイトの情報が正しいということはわかります。

罪のない人々を大量に殺害したテロリストとそうさせたロシア政府に一番の責任はあるでしょうが、自分の国が他国を侵略している事実を放置している国民にも少しは責任があるかもしれません。やはりロシア国民が過ちに気付いて政府の間違った体制を変えるよう動くしか、解決の道はないように思えます。世論が現体制を変えるか倒すかしない限り、絶対にこの報復の繰り返しは終わらないと思います。今回の悲しい事件が悪いほうに進まないよう、ロシアとチェチェンがお互いを尊重しあって個々の国として発展していけるよう願っています。

これからもっと情報を得て自分のできることをやろうと思います。個人的な意見ばかりですみません。思うことはたくさんあるのですがうまく文章にできません・・・。

チェチェンや同じような状況にある国々が一日も早く独立し、平和で安心した生活が送れますように。無謀な侵略行為を繰り返してる国が早く自分達の過ちに気付きますように。

J.J

【編集者より】
私も日本にいて、インターネット上の情報を調べて書いている関係上、いろいろなバイアスから逃れることはできないと思っています。それでも、そのバイアスの種類と性質を知りつつ進めたいものです。

暴力という問題については・・・結局、今回のような形であらわれたテロリズムというものを批判するのは、非常に簡単なのだとわかります。誰もが賛成するような意見に賛成したり、逆に誰もが反対することに反対したりすることは、とてもたやすい。今回のメディアの報道は完全にそういうものでした。

チェチェンのテロ」に大騒ぎする人はいくらでもいるのに、ロシア政府による残酷な弾圧のことを非難する人々の、なんと少なかったことか。

それでも私たち、私だけでなく、このサイトに協力してくれている、人たちにとって、あなたが綿密に読んでくれたことは、なにより嬉しいです。真実はやはりわからないまでも、少なくとも事実を、抑圧されている人の立場を考えつつ読みかえてくれたことに、感謝します。

ロシア憲法記念日の危険

2003.12.10 T.K. 女性、会社員

(ロシア式民主主義の文脈について) ロシアは憲法を守っており、民主主義が一歩進んだと選挙結果を評価したのは 優秀な法学生だったプーチン大統領。大統領の作戦は大変じょうずで、合法主義をうたっている。けれどもあまりにつじつまがあっていることは、まず、疑ったほ うがいいと、このごろ思う。 私たちの生活を見て、あるいは自分の行動でもいい、人間の行動や、いろいろな出来事の流れというものは、言葉をつづって跡づけられるほど筋道が通って いないのが現実だ。なのにロシアで起こる、コーカサス、あるいはチェチェン のテロリストの仕業と見られる事件は、あまりに分かりやすい説明や理屈が用意されている。 スターヴロポリの列車爆破は選挙の勝利を確実にさせるだめ押し、結果的に合 法的に見えた選挙結果に対する西側からの批判をかわすための再度のテロ、チェチェンで天涯孤独にさせられて絶望している未亡人を買い取ってのテロは大い にあり得て、そのシナリオを書いているのはいつもの通りFSB(ロシア連邦 保安局)ではないのか?政権側が根拠もなく「チェチェン独立派の仕業と見て・・・」と潜在意識に広 めていくあの手法で、こちらも、「FSBの仕業と見られる・・・」と言って しまいたいくらい。12日はロシア憲法記念日。記念日の催しにいちいち道連れにされるロシア国民に、同情を禁じ得ない。FSBやCIAにとって、一般 市民ほど勘定に入れる必要のない存在はないだろうから。

チェチェン人とロシア人は共存できるはず

2003.08.02 S.K. 男性、教員

「寺沢潤世上人のお話を聞く集い」に参加させていただきました。前日、ネット上で偶然、この催しがあることを知り、足を運んだ次第です。何故、そのサイトにたどり着いたかと言うと、「ロシアの声」モスクワ放送局からの日本語放送を聴いていて、少し気になったからです。そこでは、7月5日モスクワのロックコンサート会場で発生した「チェチェン自爆テロ」に対する日本人からの投書が、何通か紹介されていました。それは、「自分の主義主張を押し通すための、何の関係もないロシア人を犠牲にした無差別テロに、言いようのない怒りを感じる」といった内容でした。

個人的な話で恐縮ですが、私は1997年にモスクワ大学学生寮で生活をしていた経験があります。そのときの隣人は、アフガン帰りの元兵士で何年も留年をしているロシア人。そして彼の大親友は、ウクライナ人と学生結婚をしていたチェチェン人でした。私たちは毎晩、夜を徹し、チェチェン戦争やロシアの将来について、市場経済や西側との国際関係などについて語り合いました。やがて私は帰国し、彼らも大学を卒業。しかしチェチェン人の彼とは連絡が取れていましたから、私がモスクワを訪問した際には再会できました。ところがその後、モスクワの連続アパート爆破事件を挟んで、音信不通となりました。彼の住所まで足を運んだこともありましたが、すでに別の住人がいて、手掛かりも無くなりました。

現在でも私は、経済の研究・調査のため、毎年ロシア各地へは行っています。そこで、第二次チェチェン戦争の激化・長期化につれて実感するのは、地元マスコミの一面的な報道とロシア人の反チェチェン感情の高まりです。両者の対立は、もう修復不可能なところまねじれてしまった感があります。そして、9.11テロやモスクワ劇場占拠事件以後、ロシア人のみならず、各日露友好団体からも疎外感を感じるのは、私の気のせいでしょうか。ただ、先に挙げた旧モスクワ放送のスタッフは賢明な方々ですが、プーチン政権成立以降は再び検閲が強化されたこと、また日ロ友好団体はチェルノブイリ問題などには前向きに取り組んでいること、これは私もよく知る事実です。

話を戻します。コンサートに興じていたロシア人を標的とした「チェチェン自爆テロ」に、私は反対です。しかしながら同時に、彼らが訴えたかったものや事件の背景を、私は考えずにはいられないのです。チェチェンでのロシア軍による無差別殺戮・ジェノサイドも、即刻やめるべきです。あえて極論を言います。コンサートの観衆だったロシア人らは、チェチェン問題に無関心だったかも知れませんが、本当に無関係だったと言い切れるでしょうか。そして日本にいる私も、厳密な意味では、無関係ではないのだと思います。

私は今、ある宗教系の私立高校で、社会科の教員をしています。NPO平和運動を推進しているかつての教え子も何人かおりますが、私自身は現在、日本で労働運動に取り組むことぐらいしかしておりません。ですから、チェチェン問題などで活動をしているNPOやジャーナリストの方々に対しては、怠慢で勉強すらしていない私などは頭が下がる思いです。チェチェン民族独立をめぐる国境問題や歴史的な強制移住の問題、石油天然資源ないしパイプラインをめぐる利権、軍産コンプレックスと軍需産業ないし政治の問題などなど、私には知識が足りません。しかしこんな自分でも、ひとつだけ言えること、言いたいことがあります。それは、実際に庶民レベルでそうだったように、チェチェン人とロシア人とは、平和的に共存できるということです。

【編集者より】
寺沢上人のお話を聞く集いにお運びいただいたとのこと、ありがとうございました。寺沢上人のお話の中身、問い合わせもいただいていますので、なるべく早めにサイト上でも紹介したいと思っています。

学生時代にご覧になった平和的共存の姿、私もフィクションの中で、垣間見たことがあります。プリスタフキンの小説「コーカサスの金色の雲」はそういう小説でした。共存の可能性があること、私も同感です。今は、チェチェン人だけでなく、ロシアの市民も命の危険にさらされています。寺沢さんがおっしゃっていましたが、選択肢は、共生か、破滅かのいずれかでしょう。私は今のロシアの対チェチェン政策が、破滅を指している気がしてなりません。

蛇足ですがお住まいが近くですね。ピザのヒッコリファーム、ご存知ですか?(地元の人以外わからないネタ)。いつかお会いできればうれしいです。

石油はチェチェン戦争の本質ではないと思う

2003.07.03 T.Y. 男性、商社員
(チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

Yです。チェチェンとロシヤと石油利権について、ぼくの考えを追記いたしたく。イラク・アフガンとチェチェンの状況はまったく違うことははっきりさせたいのですが、

1.イラク:ブッシュさんのための戦争。フセイン=悪で大量破壊兵器を持っている → 俺は正義だ。やつは悪だ。だから滅ぼせという大義名分を持って石油独占のために戦争を行ったことはみなさんも心で思っていられるのでは?そこで、たとえば、湾岸戦争後、フセインが新たな人物に倒されており、その人物が同様の独裁者であっても、石油資源を米・英系メジャーと非常に協調的なビジネス展開、利権付与を行っていたら、今回のイラク戦はなかったのはないでしょうか??ブッシュさんの地元のテキサス系石油企業ががっぽり儲かるように協力的なイラク政権だったら、イラク戦争はなかったのでは?

アフガンで石油利権がからむには、イランの立場が微妙です。ブッシュさんのアフガンへの攻撃は、まずアルカイダ殲滅ありき。中央アジアのパイプラインの権益も絡めよう、アフガン通してイラン通して大洋に内陸の石油を出そうという案は、アルカイダ殲滅に付属的な政策としてでてきたのではないでしょうか。

ただし、重要なのはアメリカは石油のために戦争をするとしても、民族を皆殺しにするために戦争をしているわけではないのではないと思います。いちおう民主主義国家のリーダーとして。ロシヤとの大きな差はそこにあります。ポイントはロシヤ軍は、チェチェンで石油がでようがでまいが、チェチェン民族を皆殺しにしようとしているのであって、しかもそれが帝政ロシア時代から300年近く脈々と続いているということです。そこで最初の疑問にもどるのです。なんで戦争となったの?300年もなんでロシヤはチェチェン人を弾圧するの?チェチェン戦争における石油は300年戦争の理由の1ページではありますが、本質ではない、と思っとります。

【編集者より】
チェチェン戦争の原因論ですね。後半でYさんが書かれている「民族の皆殺し」を、私もしばしば現実のこととして感じます。ただ、チェチェンの石油は、埋蔵量の推計すらありません。戦争の要素から排除することも、逆に強調することも、今の段階では難しいような気がします。

石油利権や「統一国家」に、いかに立ち向かうか

2003.07.01 出口綾子 編集者
(チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

私はインドネシア関係のNGOアチェ問題を考えています。チェチェンのこと、ロシアのことには素人ですので、一読者の感想として。

アチェも、天然ガスが多くとれるところで、インドネシア国軍による度重なる人権侵害で、人びとは独立を求めています。ほかの国のことを考えるとき、「安易にインドネシアと比較するのではない」ととがめられるのですが、やはりアチェでの経験をもとに考えると、Yさんの「石油利権の話であれば、話し合いで決着がつく」というのは、少々疑問です。アチェだけでなく、イラクもアフガンも同様の(石油利権)と言われていますが、話し合いで決着がついているでしょうか。チェチェンでも、そんなに簡単なものではないのではないか、と想像します。

また、O.I. さんの、統一国家としてのロシアを保ちたいのではないかという意見は、説得力があるように思います。インドネシアも、「インドネシア統一国家」が極めて重要視され、国際社会、とりわけ日本がそれを「尊重」することで、インドネシア国内の「紛争」が起き、激化してきました。石油などの利権や「統一国家」の名の下に、多くの命が奪われ、多くの人がまともに生きる権利を奪われてきた、そのことに、いかに私たち市民が立ち向かっていけるかということが重要だと思います。

【編集者より】
> いつも、ほかの国のことを考えるとき、「安易にインドネシアと比較するのでは
> ない」ととがめられるのですが、やはりアチェでの経験をもとに考えると、

僕はそれ、大切だと思っています。きちんと調べて話すことはもちろん必要ですが、いくつかの地域を重ね合わせて考えてみる作業は、出口さんと僕らチェチェン関係者が知り合ったことの成果ではないでしょうか? 「統一国家」の問題も見逃せません。

原因がロシアなら、ことはやっかい

2003.06.23 T.H. 男性
(チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

石油よりも重要なのは、チェチェンが不安定であれば、それをロシアが政治カードに利用できる、戦争をあおってプーチン政権の国内的な支持を集められる、そちらのほうに、はるかに重い価値をおいているので、プーチンは戦争をやめる気がないのだということが、ぼくのベースとなる考えです。そしてチェチェン人がなぜ戦うのか。これも集約すれば、ロシア側がチェチェンで「殺す・奪う・破壊する」からです。 (記事より)

説得的な解釈です。山内昌之氏が以前「民族問題を「温存」しておくことによって、ロシア人の求心力を維持する」というようなことを書かれていて、やりきれない話ですが、説得的でした。

プーチン就任とチェチェン戦争の「あまりのタイミングの良さ」への言及も。ソ連崩壊によって「ただの発展途上国」におちぶれてしまったロシアの民衆の自尊心をつなぎとめるためにも、戦争は必要だったのだと。 実際、チェチェン戦争についてのロシア人の支持率の高さは異常です。しかし、そうなると、ことはやっかいです。問題はロシアの内にあるからです。ゆがんだ優越感に基づく「大国」意識を乗り越えることは、ロシア人民それぞれの課題だと思うからです。

パレスチナ問題の解決」がひっきょうイスラエル人民の意識改革(「ユダヤ人国家」という幻想からの自己解放)にかかっている(と私は思うのですが)ように、これは一朝一夕でカタのつく話ではないでしょう。してみると、ともかくもロシアによる「殺す・奪う・破壊する」をやめさせる、犯罪者は処罰する、を実現させることがまずもって何よりの課題だと思います。それすらかなわないというのか!

たとえ今、不正義が支配していようとも、暴力の記憶を記録すること、その記憶を分有することは「変わることの始まり」だと思います。我々が暴力に加担しないためにも。

【編集者より】おっしゃるとおり、問題はチェチェンではなく、まずロシア側にあるので、結論は「ロシアが戦争をやめれば戦争は終わる。以上」です。でもそれでは解決になっていないので、今後の号でもう少し考察するつもりです。ご意見ありがとうございました。

Y氏には非常に共感

2003.06.23 T.I. 男性、大学生
チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

Y氏の言い分には非常に共感しました。その通りかは知りませんが、私はそう思えます。今までの話より説得力がありました。私が、チェチェン問題を考えるときに、根本的な質問があって、それは、「なぜあまりメリット=ロシアの国益を感じないような戦争をするの?」ということです。無知をさらけ出しそうで、恐くて言えませんでしたが、一番の質問はそこです。

そして正直、私の質問(これが分かっていなければ、話にならない。本当に根本的な、重要な質問)に対する説明が、当然多面的な理由の中で起こっていることなので、はっきりと一つを挙げて言えないのということは分かりますが、不十分だと感じます。それを皆が一緒に、それぞれの私見を述べてみて欲しいと思いました。確かにそれを説明する記述が今までもありましたが、はっきり言ってどれもしっくりこないのです。そんな中でY氏の発言は、今までの中ではかなり「う〜ん。そーなのかも」と思いました。

【編集者より】「チェチェン戦争ってどうして起こったんですか」という質問は、結構聞かれます。でも、原因を特定するというのはなかなか難しい。だっていくらでも考えられるじゃないですか。そういうわけでしばらく原因を考えるのは放っておいたのですが、きちんと押さえなくてはと思って書きました。

ロシアは領土を保全しようとしているのではないか

2003.06.23 O.I. 男性、ジャーナリスト
チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

今回の号で、チェチェン戦争が行なわれる理由が論じられていましたが、その理由のもう一つに、統一国家としてのロシアを保とうということもあるでしょうね。当然すぎて書かなかっただけかもしれませんが…

20代前半のロシア人の友人と最近話していた時、その人は「チェチェンの独立を認めたら、ロシア全体がバラバラになってしまう。あっちもこっちも独立を宣言するから」と言っていました。あれだけ広大な面積を持ち、民族も100以上いる国ですから、たしかに統一体を保つのは大変でしょう。それに、チェチェンだけでなく、たとえば第二次大戦の頃にフィンランドと戦争をしてブン獲ったカレリア地方とか、ダゲスタンやイングーシにしろ、独立というか、ロシア連邦から分離できるならしてやろうと思っている共和国とか地方はけっこうあるんじゃないですかね。

僕と話していた友人自身も極東の出身で、「モスクワはもう別の国。距離的にもすごく遠いし、メンタリティーも全然違うし」と言っていました。

ただその人も、クレムリンが検閲しコントロールするロシアのTVしか見ていないので、劇場占拠事件のことも「特殊部隊が突入しなかったら、全員が殺されていたから、多くの犠牲者は出たけど、まあしょうがない。悪いのはチェチェンのテロリスト」というふうに思っているようでした。もちろん、第二次チェチェン戦争の口実になったモスクワのアパート爆破連続爆破事件の容疑者たちが捕まっていて、その中にチェチェン人はひとりもいないなどとということも、当然知りません。どうも一般的なロシア市民は、プーツィンのメディア・コントロールによる洗脳にすっかりハメられているようです。

チェチェンの悲惨な状況が改善されるためには、われわれ外国にいる人間たちが状況を見つめることも大事ですが、戦争を行なっている当時国の、一般の人たちにその実態が伝わり、市民の間から大きな反戦運動のうねりが起こらないと難しいのかな、という気がします。ベトナム戦争を終わらせたアメリカの反戦運動のように。もっともアメリカ政府もあの戦争の経験から、マスコミの戦争取材を徹底して管理するようになり、国民を洗脳するための技術を非常に洗練させていますけどね。

まして多元的な視野というか、さまざまな立場から、それぞれの意見を発言すると言うことに国民が慣れていない――これは日本もかも知れませんが――ロシアでは、そういう市民運動みたいなものは、なかなか実現しにくいのかな、とも思いますが。

僕は1991年のモスクワ・クーデターを取材して、あの時はロシアのピープルズ・パワーのようなものを感じたんですけど、考えてみると、あの時も反クーデター側にエリツィンという非常にカリスマ的なリーダーがいたんですよね。ロシア人はカリスマに盲目的にしたがいやすい国民性なのかもしれない。皇帝とか、レーニンとか、スターリンとか、エリツィンとか。

その点でも日本に似ているような気がしますが。

【編集者より】領土保全の点、漠然としか考えていませんが、2号ほど後で書くつもりでいます。エリツィンの仕事も、もっと後になってみないとまともに評価はできないんでしょうね。改革派の雄としてドゥダーエフさえ尊敬していた時期があるようです。晩節を汚すとはああいうことをいうのでしょう。

今はチェチェンにカリスマ性のあるリーダーがいないから、ぼろぼろです。アメリカのように金ずくの上層階級がメディアをコントロールして国民の同意を作り上げてゆくのがよいか、それともカリスマが人を従えてゆくのがいいのか。アメリカとロシアを見ているとどっちもどっちと思います。日本が別の道を見つけ出すことができるか、それともチェチェンが絶滅のふちで何かをつかむのが早いか、そんなことを考えています。

ロシア人にはプーチンが平和主義者に見える

2003.06.23 N.K.女性、チェチェン支援ボランティア
チェチェン独立の可能性を考える<第2回>について)

今日ちょうど夫と、Yさんの話に似たようなテーマを話していました。

「もうすぐ大統領選挙だったような気がする」と夫が言いました。だとするとチェチェンで何かがおこるよね、前回みたいに和平交渉のポーズとか。私は、「それはないよ」と答えました。戦争がうまくいってなくて国民の不満が高いときには戦争をやめなきゃ大統領にはなれないけど、プーチンの場合は反対だと思う。

イラク攻撃に反対してチェチェン攻撃を正当化したので、ロシア人にはプーチンが平和主義者に見える。テロリストを撲滅しなきゃ大統領にはなれないよ。だからやめないし、バサーエフなどは必需品だね。バサーエフがほんとにFSBかどうかより、プーチンにとってなくてはならないチェチェン人。

【編集者より】イラクからは話がやや飛びますが、チェチェン戦争は91年以来旧ユーゴスラビア紛争の裏番組というか、B面だったような気がしています。するとチェチェンとユーゴにおけるロシア政府の政策が比較できるはず。

たとえば99年のコソボ紛争の際、新ユーゴに対する「人道的介入」(空爆)に、ロシアは最後まで消極的でした。そのわずか4ヶ月後にはチェチェン戦争を始めるつもりだったので、無理もありません。もし西側が論理を一貫するなら、モスクワ空爆もありです。こういう問題についてはN.チョムスキーの議論が参考になりますが、すいません、話がそれちゃいました。