カディーロフ、プーチンに面会した代償を払う

 アンナ殺害犯として新たに逮捕されたチェチェン元地区長官について、4年前のGazeta.Ruから情報を拾ってみました。内容を一言で総括すると、この人物はラムザン・カディーロフのパパと非常に仲が悪かったようです。ロシア当局の捜査、胡散臭すぎでは…。

カディーロフ、プーチンに面会した代償を払う

2003年9月17日 GAZETA.RU
原文: http://www.gazeta.ru/2003/09/17/Kadyrovtopay.shtml

 大統領公使であり、サンクトペテルブルグの有力な知事候補でもあるヴァレンティナ・マトゥヴィエンコが最近告訴されたが、それに類似する訴訟が、チェチェンの現大統領アフマッド・カディーロフに対しても起こされた。チェチェン大統領候補のシャミーリ・ブラーエフは、先月アフマッド・カディーロフがウラジーミル・プーチンと会談したことが報道された後、カディーロフから出馬資格を剥奪するよう裁判所に要求した。

 マトゥヴィエンコがクレムリンプーチンと会見したことが報道された責任は、公正に言ってメディアにあり、彼女自身が告訴によって影響を受けることはないだろう。一方、カディーロフの立場は、彼女ほど安定しておらず、クレムリンが告訴を利用する可能性もある。

 火曜日、チェチェン選挙委員会のブヴァイサリ・アルサハノフ副議長がインターファックスに語ったところによると、チェチェン大統領候補シャミーリ・ブラーエフの選挙スタッフが、現チェチェン大統領アフマッド・カディーロフを、チェチェン共和国最高裁に訴えたという。

 アルサハノフの説明によると、アチホイ・マルタン地区の前行政長は、カディーロフ大統領がウラジーミル・プーチン大統領のソチの別荘でプーチンと会見したことが今月上旬にチェチェンのテレビで報道されたことを受けて、カディーロフ大統領が選挙法に抵触したと批判している。

 ブラーエフの訴えはさらに多岐にわたるが、選挙担当職員は詳述しようとしなかった。ブラーエフの補佐官は、裁判所が水曜朝にも告訴の検討を始めるだろうと発表したが、共和国最高裁は告訴についてコメントしようとしていない。連邦北西管区担当の大統領公使であり、サンクトペテルブルグの有力知事候補のヴァレンティナ・マトゥヴィエンコに対しても、今月上旬に同様の訴訟が起こっている。

 マトゥヴィエンコとカディーロフに対する訴訟は酷似している。大統領公使は、地元に地下鉄と堤防を作るための追加予算を要求するために、9月1日にプーチンクレムリンで面会した。カディーロフは、戦争中に自宅を破壊されたチェチェン住民に対する補償金を求めて、9月11日にプーチンに申し入れをした際の様子が報道された。プーチンはマトゥヴィエンコとの会談にアレクサンドル・クドゥリン財務大臣を同席させた。プーチンはカディーロフと会談した際にはミハイル・カシヤノフ首相を同席させた。カディーロフもマトゥヴィエンコも公式には選挙前の休暇中ということになっていたが、プーチンは両者の会見を公務と見なした。

 そして、ついに二人はライバルに告訴されたのだった。サンクトペテルブルグでその役割を果たしたのは、アンナ・マルコヴァ副知事だった。ロシア公職選挙法第48条にもとづき、彼女は、マトゥヴィエンコだけでなくプーチンに対しても、公的な地位を選挙目的に利用したとして告発した。

 シャミーリ・ブラーエフが、同様にプーチンをも告発しようとしているのであれば、おそらくサンクトペテルブルグでなされた主張を繰り返すだろう。カディーロフが閣僚を解散させ、すべての地区の行政長を解任して以来、ブラーエフはカディーロフと決裂して不仲になっていた。カディーロフの被害者の一人が、アチホイ・マルタン地区の行政長シャミーリ・ブラーエフだったというわけだ。

 ブラーエフはカディーロフに対する復讐を誓い、チェチェン共和国選挙委員会は大統領選の候補を受け付け始めた。ブラーエフも申請を行った。ブラーエフは、選挙運動の目的の一つがカディーロフに嫌がらせをすることだと言ってはばからない。

  「(私の望みは)私の地区で彼の票を奪うことだ」と彼は報道陣に明かした。「私は理由もなく解雇されたのだから」。一方、マトゥヴィエンコとカディーロフに対する訴訟には明らかな違いもある。マトゥヴィエンコのライバルはあまりに動きが鈍く、彼女をレースから蹴落とすための貴重な時間を失ってしまった。選挙は翌日曜日で、法律は選挙前5日以内に候補者の被選挙権を奪わないことを定めているのだが、その期限がすでに切れていたのである。一方、カディーロフについては、クレムリンは彼が大統領になることを心底望んでいるようには見えない。ウラジーミル・プーチンは、大統領公使に関しては、彼女がサンクトペテルブルグの知事職に最も相応しい候補だと考えている旨を公式に語っている。ところが、カディーロフは、これまでプーチン大統領からそのような評価を与えられたことはない。

 カディーロフの勝利を確実にするためのあからさまな努力にもかかわらず、いまだにクレムリンは、チェチェン共和国で総じて人気のないカディーロフへの支持を公式に表明していない。カディーロフの最も強力なライバルだったアルサンベク・アスラハノフが大統領補佐官の座を約束されて大統領レースから離脱し、今月上旬にマリク・サイドゥラーエフがチェチェン最高裁から候補資格を剥奪されて以来、チェチェンの選挙運動は有力候補者がカディーロフ一人という出来レースになった。そして、今なお選挙までは2週間以上の余裕がある。カディーロフが大統領に値しないとモスクワ政府が判断したとすれば、彼を大統領レースから消すための時間はたっぷり残されている。