プーチン・カディロフ会談と経済危機


 プーチン首相とラムザン・カディロフチェチェン親ロシア派大統領)の定例会談が3月20日に行われ、プーチン首相はチェチェンの経済状況を話題に載せた。カディロフはこれに対して「経済はロシアで一番安定してますし、経済危機の影響がもっとも少ない地域です。(チェチェンで最近起こった)地震の影響や失業率の問題はじき解決されるでしょう」と答えた。

 こういう場面がわざわざ放送されるのは、政府のきまぐれな思いつきの類ではない。とりわけ、ロシア連邦中央と地方の関係が緊張しているような時には。
 普通の視聴者や読者は、「この調子なら、チェチェン復興への支出はぐっと減らせるんじゃないか?」と思うだろう。プーチンも、一時的な困難はすぐ克服できるだろう、という見通しを口にする。「いくつかのプロジェクトをリスケジュールするべきだが、どれ一つとして諦める必要はない」と。
 
 一方、カディロフが連邦財務省から金を引き出すべく、ひどく苦労しているのも見逃せない。たとえば、今月初めにコーカサス・ノット(ロシア人権団体の連合サイト)が報じたところでは、資金不足のために、チェチェンのいくつかの工場が閉鎖され、工事延期になった現場もあるという。とくに目立つのは、首都グローズヌイのレニンスキー地区の300室の集合住宅の現場が停滞していることだ。また、発電・送電施設や、アルグンの自動車工場などが資金不足のために操業停止している。

 共和国中で給料の遅配が起こっており、昨年12月分の給与がようやく支払われたとか、給与そのものが半分以下に減らされたという報告もある。

 これらはとりたてて大きな問題ではないーーロシア中どこでも状況は似たり寄ったりだからだ。しかし、チェチェン人は他のロシア市民よりはるかに、不平を口にする機会も権利も少ない人々である。

 会談はなんともアジア的なもので、「白い」支配者と「色つき」の農奴の関係を思わせるものがあった。カディロフがこう言う:

「そうなんですよ、財務省とわれわれは、何て言いましたっけ、いい関係でして」

プーチン:「友好的?」

カディロフ:「友好的! それですよ、プーチンさん」

 会話はグロズヌイに造られたアフメドハッジ・カディロフ・モスク(カディロフの、暗殺された父親にちなんでいる)に及んだ。

プーチン:そうだね、詳しく聞こうか。モスクはもう完工しているのかな。見たところそれなりの規模のイベントを開いているようだが。

カディロフ:ええ、モスクは作ってまして、宗教活動ができるようになってます。みんな、あなたのお陰だって理解しています。預言者の生誕を祝ったり。そりゃすばらしいですよ。ありがとうございます、あなたはモスクを作ってくれた最初の大統領です。

プーチン:で、もう完工しているのかな。

カディロフ:もちろんです。感謝するばかりですよ。

というような光景であった。

http://www.watchdog.cz/?show=000000-000004-000002-000075&lang=1