ロシア:欧州裁判所に従い残虐行為の終焉を 北コーカサスでまん延する、人権活動家の殺害を含めた暴力の脅威

 HRWの新しい報告書が発行されました。以前から欧州人権裁判所では、チェチェン問題について、ロシア政府の敗訴が続いていましたが、最近は被害者への賠償金の支払いを渋ったりするケースが出てきています。事実関係から考えると、かなり悪質だと思います。以下では一部を引用します。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書で取り上げられている事件の1つに、ハージ-ムラト・ヤンディエフ(Khadzhi-Murat Yandiyev)氏に関わる事件がある。2000年2月2日、母親のファティマ・バゾルキナ(Fatima Bazorkina)氏は、夜のニュースで連邦軍が息子を逮捕している映像を見た。映像では、ロシア陸軍准将のアレクサンダー・バラノフ(Alexander Baranov)が兵士たちに「来い、来い、来い、やってしまえ、こいつを連れていけ、とどめをさせ、撃ち殺せ!」と叫び、その後ロシア兵がヤンディエフ氏を連行していくシーンを映し出していた。以後彼は消息を絶ち、遺体も発見されていない。

2006年、欧州裁判所は、ロシア政府はヤンディエフ氏を不法に逮捕し、殺害したあげく、彼の失踪に関して適切な捜査を行わなかった、との判決を下した。今日まで母親のバゾルキナ氏は、ロシア捜査当局から息子の消息について何の情報も得ていない。

欧州人権条約の締約国として、ロシアは欧州裁判所によって決定された損害賠償金と法定費用の支払いに従う義務がある。ロシアはこの支払いには応じたが、これのみならず、個々の事件に対応し、類似の違反行為が発生するのを防ぐために、政策や法の改定を行う必要がある。

2005年から2009年の間に下されたチェチェンに関する欧州裁判所の判決は、1999年から2004年までチェチェンで行われた、ロシア軍及び情報機関の作戦における違反行為と関連がある。殆ど全てのケースにおいて、同裁判所は、ロシアは自国軍兵士が犯した犯罪に対する効果的な捜査を、日常的に怠っていた、と判断。このような事件における違反行為を是正するための重要な措置のひとつは、ロシアが捜査を行い、犯人を裁判にかけるということである。しかし、欧州裁判所の判決が下された後でさえ、ロシアは捜査を事実上行っていない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。

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