#334 『アンナへの手紙』練馬上映会

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INDEX

* モスクワ連続爆破事件に犯行声明
* 『アンナへの手紙』練馬上映会

* イベント情報

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モスクワ連続爆破事件に犯行声明


 29日にモスクワで起こった連続爆破事件について、コーカサス首長国のドッカ・ウマーロフから犯行声明が出た。日本のメディアも国際面で報じている。


 チェチェン独立派犯行声明 モスクワ連続爆破 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010040102000194.html
 モスクワ地下鉄テロ「プーチン氏に報復」 武装勢力声明 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0401/TKY201004010143.html
 モスクワ地下鉄爆破テロ:イスラム武装組織が犯行声明 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/m20100401k0000e030021000c.html
 などなど。


 マスメディアの情報には、重要なディティルが抜けていたので、カフカスセンターの元記事を読んでみた。

 http://d.hatena.ne.jp/chechen/20100401/1270111904

『声明の中でドッカ・アブ・ウスマンは、地下鉄への攻撃が、2月11日に、イングーシのアルシュティ村で、貧しい住民たちが野生のガーリックを摘んでいた際に、ロシア侵略者が虐殺行為を行ったことに対する復讐であり、懲罰だと明らかにした』

 ?? 野生のガーリック、ニンニク・・・ギョウジャニンニクの事件のことだ!

 こういう事件だった。

 「チェチェンも季節は春。この山菜は芽吹いたばかりで、人々は珍味を求めて山へ行った。バターでも動物の脂でもおいしく食べられる」

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20100221/1266766192

 ・・・という記事を読んで、優雅だなあと思っていたのだが、チェチェンは地方にいくほど貧困に悩まされているようだから、これはやっぱり、食べ物がない人たちが山に入ったのではないかと思っていた。

 そのとき、ロシア特殊部隊が、14人の市民を殺害した。ヘリによる空襲で、武装勢力20人だけでなく、ギョウジャニンニクを摘みに山に入った一般市民が殺害された。

 今回の声明で、あのとき犠牲になった人々の「報復」なのだという主張はわかった。各紙がそれを見出しにしている。

 しかし、やはり振り返りたいのは、チェチェンでどれだけひどい人権侵害が起こっていても無視するのに、モスクワで爆破事件が起こると一大キャンペーンが始まることだ。マスメディアというものが抱える、なにか構造的な欠陥があるのだろう。

 チェチェンに対する戦争が低調になると、今度はダゲスタンやイングーシに拡大してきた。一見これは「テロリストがチェチェンから出てきた」ように見えるが、それは違う。

 チェチェンでの弾圧の激しさもさることながら、コーカサスの他の地域でも大規模な人権侵害や虐殺が(今回のニンニク摘みの件のように)あるから、やはりそこでも抵抗の武装蜂起が起こっているのだ。「北コーカサステロリズムが広がっている」という最近の言い回しには、注意が必要だ。

 復讐という言葉が出てくると、かならず訳知り顔に「復讐の連鎖を断て」とか、「テロに屈してはならない」と言い出す人がいる。はっきり言って、それは間違いだ。

 独立を宣言したチェチェンに対する徹底した弾圧がなければ、こうまでこじれることはなかった。暴力は円環状に続いているのではなく、始点がある。それは、1991年に、ロシア内務省軍がチェチェンに進駐したときに始まっている。最初の間違いに誰かが責任をとらなければ、抵抗も、人々の憎しみも終わらないだろう。

 一方で、ロシア側が、どんな謀略を使って「テロ」をおこさせるかということも、考えてみなくてはいけない。モスクワ劇場占拠事件を挑発したのは、ロシア側が送り込んだスパイだった。

 2004年に、ベスラン学校占拠人質事件の裏面についてのエレーナ・ミラシナ記者の記事が翻訳された。ぜひ読んでほしい。(大富亮)

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20100401/1270107514
 
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 ■『アンナへの手紙』上映会 in 練馬

 チェチェンとロシアを巡り、静かな感動を呼ぶ映画、
 『アンナへの手紙』が、練馬区で再び上映されます。
 チェチェン音楽や、写真のパネル展示なども予定されており、
 練馬に「小さなチェチェン」が現れるとのことです。
 ぜひとも、足をお運びください。


 日 時 2010年4月2日(金)19:00〜21:30(くらい?) 開場18:30
 会 場 大泉学園ゆめりあホール 西武池袋線大泉学園駅
http://www.neribun.or.jp/oizumi/

 参加費 一般1,000円 高校生以下500円
 主 催 市民の声ねりま(チケット申し込み、お問い合わせは)
     練馬区東大泉5-6-9 池尻成二事務所 03-5933-0108
     siminnokoe[at]nifty.com

上映後、トークイベント開催!
鼎談  寺中 誠(アムネスティ・インターナショナル日本事務局長)
      林 克明(ジャーナリスト)
    大富 亮(チェチェンニュース)


ドキュメンタリー映画「アンナへの手紙」
2008年 スイス ドキュメンタリー 83分
監督:エリック・バークラウト
作品提供: Refugee Film Festival (難民映画祭)
日本語字幕:日本映像翻訳アカデミー

 プーチン大統領が54歳の誕生日を迎えた2006年10月7日、ロシア政府をもっとも厳しく批判し続けたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤは、モスクワにある自宅のエレベーター内で暗殺された。娘に子どもが生まれることを喜んでいた矢先の悲劇だった。

彼女は、一党独裁に近づくロシアの各地を歩き、格差の広がる地方の人々の声を拾い集めた。そして、世界から見捨てられた、チェチェン共和国への軍事侵攻の実態を暴き、弱者に常に寄り添ってきた。

 一人の女性の人生を辿りながら、ロシアの闇に切り込むドキュメンタリー。彼女の死から3年。決して忘れられてはならない人が、ここにいる。

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 ■イベント情報

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★ 4/2 大泉学園:『アンナへの手紙』上映会

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20100318/1268923017

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★ 4/4 東中野:Sana フィルムフェスタ in cafeポレポレ座

http://peacetv.jp/

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★ 4/7 田町:「日米同盟」の将来と2010参議院選

http://kaze.fm/

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★ 4/23 御茶ノ水:宜野湾市伊波洋一さん講演会:
   普天間基地最低でも県外移設を 対米追従が日米関係を歪めている

http://apc.cup.com/

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★ 4/24 早稲田:総合シンポジウム 
  「トルストイと現代−トルストイ没後百年記念−」

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20100317/1268923387

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■映画・連続講座

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★ 『クロッシング

北朝鮮、脱北と引き裂かれた家族の衝撃
http://www.crossing-movie.jp/

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★ 『アメリカ帰還兵(IVAW)イラクに誓う』

  許しを請うのではなく──
  イラク帰還兵士が、自らの意志で再びイラクを訪れ、誓った。
  この戦争と占領を終わらせるために、
  イラクや世界の人々とともに歩みつづける。
http://www.peacetv.jp/movie.html

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★ 『南京・引き裂かれた記憶』

間違いなく、あったことなんです──
  7人の被害者の証言と、6人の元日本兵の証言から浮かび上がる、
  「南京大虐殺」の記憶。
http://nanking-hikisakaretakioku.com/

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★ wam de video 2010 兵士が加害を語るとき
    〜日本・アメリカ・イスラエルからの証言〜

  中国を侵略した元日本軍兵士、イラクから帰還したアメリカ兵、
  パレスチナ占領の実態を語るイスラエル兵が語る加害行為。
  彼らはなぜ、語り始めたのか──
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091219/1261215475

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★『鶴彬 ーこころの軌跡ー』

万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た──
数多くの鋭い反戦川柳を詠んで戦争反対を貫き、獄中に果てた鶴彬の生涯。
http://tsuruakira.jp/

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★『沈黙を破る』

考えるのをやめたとき、僕は怪物になったーー
「祖国への裏切り」と非難されながらも加害行為を告白する、
若いイスラエル兵士たちがいた。
http://www.cine.co.jp/chinmoku/

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★『チェチェンへ アレクサンドラの旅』

孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン
http://www.chechen.jp/

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★『ビリン・闘いの村』

  パレスチナ暫定自治区ヨルダン川西岸のビリン村。
  若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。
http://www.hamsafilms.com/bilin/


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