ロシア政府の新戦略?:ウマーロフ殺害、カディロフとガンタミロフの交代

(カディロフは中央に「栄転」させられ、その代わりガンタミロフ(元グローズヌイ市長)に権力が手渡されるだろう、という情報。信頼性の程度はわからないが、今のカディロフ体制にはロシア側も手を焼いている側面があるので、計画の存在そのものは荒唐無稽でないと考えて、掲載する チェチェンニュース)

7月30日カフカスセンター:コーカサス首長国指導部の情報源によると、ロシア政府は、ソチオリンピックまでにムジャヘディーンの抵抗運動を撲滅するために、新しい計画を採用する模様。

 クレムリンは次の二つのことを認識している。ひとつは、プーチンが行ってきた「カディロフ計画」が、すでにすべてのリソースを使い切り、限界に達していること、もうひとつは、ムスリムの連合体としてのコーカサス首長国が、コーカサスにおいてもっとも危険な要因であることである。

 この状況は、新しいアプローチを要求している。コーカサス連邦管区のクロポーニン代表は、そう主張する。「コーカサスの支配者」としての彼の任務は、現在の状況と、新しいクレムリンの戦略を構築することにある。

 この、新しいクレムリンの戦略の中でもっとも重要なのは、チェチェンを、コーカサス首長国から分断することにある。さまざまな破壊工作を使って、ムジャヘディーンの活動を、相当程度低下させることによって。


クレムリンの新計画の骨子はこうである:カディロフを辞任させる。モスクワに呼び、連邦内務省副大臣に任命する(封じ込める)

 次に、ベスラン・ガンタミロフを、チェチェンの親ロシア派のトップに任命する。武力面ではサイード・マゴメッド・カキエフチェチェン内相に据える。これには他の候補も挙げられている。

 この計画により、ガンタミロフは交渉権限を与えられ、ムジャヘディーンの一部を含む「国家統合政府」を発足させる。政府に取り込まれたムジャヘディーンは、シャリア法(イスラム法)を部分的にチェチェンに適用することが許される。その目的は「ワハビスト」の影響力をそぐことである。

 クレムリンによる、カディロフ一派に対する工作はすでに準備されており、カディロフの実質的な失脚は現在の状況でも可能である。

 ドック・ウマーロフは、クレムリンにとっては絶対に受け入れがたい人物であり、暗殺攻撃の対象である。ウマーロフ暗殺は、ガンタミロフの対話路線にいたるまでの露払いであり、ロシア政府の面子を保つために必須である。

 FSBは同時に、ウマーロフ殺害のために、アフメド・ザカーエフに大金を渡し、親ザカーエフの司令官がチェチェンで活動していた時期もある。(ザカーエフに対するディスインフォメーションか? 訳注)
 
 一連の工作は、ソ連共産党1920年代にチェチェンとダゲスタンで採った政策を踏襲しているようだ。その当時、シャリア法廷の一時的な承認が行われ、北コーカサス首長国のシェイフ・ウズン・ハジは、チェチェンとダゲスタンでシャリア法を広めることを許された。

 その後、共産党と軍の力が増強されてくると、ウズン・ハジは毒殺され、それまでの体制は破壊された。シャリア化は反革命で、反ソビエト的だとのレッテル張りがなされるようになる。国民の支持を得たイスラム指導者達は殲滅されていった。強制移住や、KGBによってチェチェン国土に対する爆撃や放火があり、社会は破壊された。

 「ガンタミロフ」計画によって一時的に合法化されたムジャヘディーンのリーダーたちも、同じように最終的には殲滅され、シャリア法も廃止され、さらなる人民虐殺が進むだろう。

http://www.kavkazcenter.com/eng/content/2010/07/30/12334.shtml