#377 プーチン、孔子平和賞を受賞す

 中国の民間団体が、プーチンに「孔子平和賞」というものを与えるという。この賞は、去年、中国の反体制派、劉暁波氏にノーベル賞が与えられたことに対抗してつくられたものだった。今回のプーチンの受賞理由は驚くなかれ『チェチェン戦争を起こしたこと』。国家の分裂を防いだという功績らしい。

 こんな人に平和賞を与えて委員会。

 とはいえノーベル平和賞も、アフガン戦争を続けるアメリカの戦時大統領・オバマがもらっている。どっちもどっちだろうか。なんにせよ、もっとまともな人に与えてほしい。

(ニューヨークタイムス、11月15日)

 中国の「孔子平和賞委員会」は、ロシアのプーチン首相に本年度の孔子平和賞を与えると発表した。受賞理由は「1999年に第二次チェチェン戦争を開始する決断をしたこと」だ。

 同委員会のプレスリリースによれば、「あの戦争によって、プーチン氏の鉄腕こそ、ロシアに安全と安定をもたらすことができると、人々に広く理解された。彼は対テロの第一人者となっただけでなく、国家の英雄になった」という。高校生にして「優秀なプロパガンディスト」となり、大学生のときにKGBソ連時代の国家保安委員会)を志したプーチン、ついには元首となって「チェチェンの非合法武装勢力に対する大規模な軍事行動を決断した」。

 「草の根の賞」であることを自称する孔子平和賞は、16人の学者のグループが選定する。うち4人は、「中国国際平和研究センター」に所属している。11月13日に開かれた授賞者発表の記者会見は北京の中心部の公園で開かれたが、不思議なことに中国のメディアではあまり報道されなかった。ツイッターなどでは、プーチンチェチェングルジアとの戦争で賞をもらったということは、中国に何か政治的な企てがあるのではないかという噂がもちきりだった。

 NYTの電話取材に対して、孔子平和賞委員会のキャオ・ダモ委員長は「あれは、正しい戦争だったのです」とはっきり言う。「プーチン氏は、国の分裂の危機と戦ったのですから」

 実際にはチェチェン戦争は、ロシア軍と親ロシアのチェチェン治安部隊による人権侵害─レイプ、拷問、殺害の嵐で、数々の人権団体が非難している。

 キャオ氏によれば、他に8人の候補がいた中から、投票でプーチンが選ばれた。チェチェン戦争の他に、プーチンNATOリビア空爆に反対したことも評価されたという。

 孔子平和賞は、昨年のノーベル平和賞が中国の反体制活動家、劉暁波氏に与えられたことに対抗して創設された(が、中国政府のお墨付きは得ていない:訳注)。今年の授賞式は12月9日に予定されており、委員会は金めっきの孔子の胸像と賞状を、直接プーチン氏に授与したいと希望している。

 昨年の受賞者は台湾の政治家、連戦氏だったが、受賞したことを本人が知らず、授賞式にも欠席したので、賞状と胸像は、連戦氏と関係のない少女が代理で受け取った。

 プーチン首相のスポークスマンであるペスコフ氏は、「授賞については報道で知った。われわれはこの賞についてよく知らない」とだけ答えた。

 プーチン氏の他の候補者には、ビル・ゲイツや、ドイツのメルケル首相、南アフリカのズマ大統領、アナン元国連事務総長、そして中国政府がチベットの霊的指導者パンチェン・ラマとして指名した少年の名が上がっていた。なお、インドに亡命したダライ・ラマ14世パンチェン・ラマに指名した少年は中国政府に誘拐されている。

http://www.nytimes.com/2011/11/16/world/asia/chinas-confucius-prize-awarded-to-vladimir-putin.html
====================================
チェチェンニュースは、ロシア南部で続くチェチェン戦争に反対し、平和的解
決を求める立場から発行している無料のメルマガです。ぜひ、発行継続のための
カンパをおねがいします。いくらでも結構です。

  〈郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室〉
  〈ゆうちょ銀行 019店 当座 0742287 チェチェンニュースヘンシュウシツ〉
  ツイッターやってます: http://twitter.com/#!/genpatsu_diary
  転送・転載・引用歓迎です。印刷物への転載の際は事前にご相談ください。
  よろしければご意見、ご感想や情報をどうぞ: editor@chechennews.org
  新規購読はこちらから: http://chechennews.org/
  発行部数:1390部 発行人:大富亮
http://chechennews.org/ [チェチェン総合情報]
http://d.hatena.ne.jp/chechen/ [チェチェン総合情報 Annex]

====================================