「戻ってきた小鳥」

「ノーヴァヤ・ガゼータ」2003年1月23日付け
アンナ・ポリトコフスカヤ追悼文集「何の咎で?」より

 戻ってきた小鳥。
 税関が、国際的に名誉ある「勇気あるジャーナリストの活動」をたたえる賞を返してくれた。支援してくださった方々に感謝したい!
 たった今「ノーヴァヤ・ガゼータ」のアンナ・ポリトコフスカヤ記者が2002年10月に「勇気あるジャーナリストの行動」をたたえる賞で授与されたガラスの小鳥の一件が落着した。これは思想と言論の自由のシンボルだ。
 権威あるシンボリックなものであるにもかかわらず、数ヶ月前にこの小鳥は向こう側からロシア国境を越えるときに、めざとい税関に止められて201ドルを要求された。結局何に対する税金なのかわからないままだ。だいたいシンボル税なんてものがあるんだろうか‥‥?
 2ヶ月というもの、税関の陰気な倉庫でこの小鳥が囚われていた間に、まあいろんなことがあり、もう再びまみえることは期待できないかと思われた。税関の役人が裁判も捜査もなしに火葬に付してしまうぞと脅かしたり、モスクワ-クルスク輸送検察の検事補ナタリヤ・ジェレズニャコワからノーヴァヤ・ガゼータの記者を「法律を守らない罪」(つまり要求された金を払おうとしない)で訴えると脅かされたり。
 しかし、すべて過ぎ去ったことだ。この一件をよく調べてくれた人たち全員に感謝し、ばかばかしくも難しい悲喜劇の最終章をすべて引き受けてくれたフェデラル・エクスプレスのロシア側ブローカーの皆様(ことにニコライ・プシカレフ)に感謝する。