カディロフ、人権活動家殺害を否定し、西側を非難

ラジオ・リバティによるインタビュー。人権活動家ナターリヤ・エステミロワの誘拐と殺害に関して。8月8日に、カディロフの自宅で行われた。

ラジオ・リバティ(以下リバティ): 大統領、あなたのチェチェン復興計画について聞かせてください。

ラムザン・カディロフ(以下カディロフ): 私の復興計画じゃない。父(暗殺されたアフメド・カディロフ元大統領)が準備したものだ。どんなものができるか、どれだけの資金がかかるか、正確なところは言えないな。毎年、経済はひどくなるし、明日はどうなるかわからない。たったひとつ言えるのは、チェチェンは完全に復興するし、すべての社会的問題は解決するだろうということだ。チェチェンはロシアだけでなく、世界でもっともすばらしい国になるはずだ。

リバティ:どうしてそう信じておられるのか、説明していただけませんか?

カディロフ:私はチームの一員なんだ。これはすごいチームだ、そして私はチェチェンのために奉仕しているんだ。

リバティ:西側では、チェチェンのイメージはずばり暴力ですが、その点どうですか?
カディロフ:いちばんひどい暴力があるのは西側だ。イラクでも、アフガンでも、大勢殺されているじゃやないか。パレスチナ人だってそうだ。人権なんかないじゃないか。強制収容所だ。自由なんか西側にはない。誰かが間違ったことを言えば、すぐ敵にされる。

 だがチェチェンはロシアの一部なんだ。どこでもロシア法が適用される。ああ、人権侵害だってあるよ。どこにでもあるじゃないか。ここでは、法を犯したら、警官だって特殊部隊員だって、処罰されるが。

リバティ:国際人権団体は、チェチェンが不処罰のはびこる土地だと言っています。ヒューマンライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、人権活動家は、人権侵害をしているのは当局だと信じてますが──あなたのところのです。こういう批判に、どう答えますか?

カディロフ:全部の治安組織がチェチェン大統領に従ってるわけじゃないということは、言っておきたいな。そういう組織の頭はロシア大統領が決めている。私みたいに。チェチェンにいる連邦保安局(FSB)もだ。だが憲法体制の擁護者として、そういう組織がチェチェン政府に従うように働きかけているところだ。

 われわれは天使じゃないんだ。人権は世界中で侵害されている。アメリカは世界中に圧力をかけているじゃないか。それには誰も何にも言わない。グルジア人が南オセチアを分捕ろうとしてもだ。アメリカ人は夜になるとこっそり動いて、人殺しをするんだ。誰もそれには文句を言わない。

 父は殺された。知ってる人たちもたくさん殺されたさ。親戚、クラスメート、友人と。誰もカディロフの知人が殺されたなんて言わないが、俺にだって権利があるだろう。だれもそう言わないが。誰かがグロズヌイの真ん中に爆弾を仕掛けて、警官や子どもを殺したって、人権活動家はだんまりだ。誰が俺の権利は守ってくれるんだ? カディロフは何もかも失ってるってのに。だがチェチェンで何かあるたびに──ここには100万人がいるが──誰かが法律を犯したとなれば、いつも俺ひとりが非難されるんだ。

リバティ:シャリア法の導入についてですが、チェチェン社会はもっと宗教化されるべきだと思われますか? シャリア法はロシアの法律と同居できますか?

カディロフ:ロシアの法律は、ここでは100パーセント有効だ。ロシアとチェチェン憲法を侵害する権利なんか、誰にもない。だが祖先が守ってきたイスラムの伝統にも従うんだ。われわれは祖先に従うし、ロシア憲法も侵害しない。どっちがどっちを妨害するようなものじゃない。

 われわれはモスクを作ってる。8月22日には、ロシア・イスラム大学ができる。キリスト教徒のために教会だって作ってる。イスラム過激派には反対だ。表現の自由、宗教の自由がチェチェンにはあるんだ。どの宗教を選ぶのも、自由だ。

リバティ:あなたはナターリヤ・エステミローワの殺害についての客観的な捜査とその監督をすると約束していますが、彼女の同僚たちは、むしろあなたが彼女を殺したと非難しています。どうして客観的な捜査のために、独立した捜査官を任命しないのですか?

カディロフ:どうしてここにも法律があるのに、外から人を呼ばないといけないんだ? ロシアでの捜査は他の国よりひどいと? きちんと捜査してるさ。

 (メモリアルの)オレグ・オルロフは俺のことを非難している。人権活動家が、俺の人権は侵害するわけだ。彼は俺という個人を擁護して、自分の言ってることを考えてみたっていいんじゃないか。だが彼は俺のことを殺し屋だって言いつづけてる。カディロフはエステミロワを殺したってな。俺は言った。「オルロフさん、あなたも大人だろう。本気で俺の権利を侵害したいのか?」と。こう言ってきたさ。「そういう意味じゃない。あなたが大統領だって言ったんだ」と。

 彼らはみんな法律屋だ。みんな法律用語を書きまくる。オルロフは、俺が大統領で憲法体制の擁護者だってのに批判する。すばらしい奴らだよ。答えてもらおうじゃないか、どうしてカディロフが、誰も相手にしないような女を殺さなきゃいけないのか。

 エステミロワは恥知らずだ。俺はあいつを市民社会諮問委員会の委員長に任命してたんだ。グロズヌイ市長が副委員長でな。俺は公平にやろうとしてたんだ。だがあいつがそれを拒否した。俺は言ったさ。「あんたは女だ。そしてわれわれは人々のために何かをしようとしてる。だがそれがうまくいかなかったとしても、悪く言ったりするなよ」と。俺は市の予算をあいつに見せて、改善するところあればやってくれと言った。こう答えてきたよ。「ええ、わかりました」って。

 俺はその委員会を解散するって言った、働いてくれてありがとう、だけどあんたは信じないよってね。そりゃ、愛してるとか言ってみたり、紳士的に扱ったりはしなかったさ。ありのままを言っただけだ。お互い専門家として働いてるんでね。彼女は委員長、俺はチェチェンの大統領、彼女が仕事をしやすいようにしてやっていたんだ。なんで非難されなきゃいけないんだ? 捜査官とかに、やってもらおうじゃないか。俺か、部下を批判するんなら、牢獄にでも送ってもらおうじゃないか。

リバティ:プーチン首相やメドヴェージェフ大統領との関係はどうですか?

カディロフ:プーチンはおれの英雄だ。愛してる。尊敬してる。俺にとって、あんな人は他にいない。誰より大きな借りがある。俺の人生、あの人あってのもんだ。個人的には、そんなところだ。チェチェン大統領としては、メドヴェージェフこそ、我が大統領だ。彼は強くて賢い、生まれながらの政治家だ。

 彼が大統領の座を降りたら、プーチンはまたあの強さを人々のために役立てるだろう。そうなっても、俺の気持ちに変わりはないし、ますます命を捧げるのさ。

リバティ:もういちどプーチンに大統領になってほしいですか?

カディロフ:もちろんだ。ロシア国家の命運のためにもな。

http://www.rferl.org/content/Chechen_Leader_Kadyrov_Denies_Blame_For_Killings_Accuses_West_Of_Violence/1795686.html